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現実を嫌悪する者へ  作者: Nexnem
仮想編第1話
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仮想編第1話Act1-7

Act1-7

~初日を終えて~

 「セーフティーエリアに侵入しました」


システムメッセージが聞こえてきた。初日の狩りは終わった。出迎えてくれたのは門とその上にくっついてる大砲だけだったけどね。


「宿をとるわ」

「もうクタクタ・・・飢え死にしちゃいそう」

「?別に何も問題ないはずよ」

「あるよー!HP減り始めそー!腹減ったー」

「アスラムが走り過ぎからだろう?」

「フルフル姉が動かな過ぎなのよ!」


宿屋街に向かう3人。こんなのに付き合ってくれるやつは・・・あいつしかいないな。そいつの襟首を掴む。


「待った!」

「離せ!はぐれちまう」


はぐれるのが目的なんだから。


「どうしたの?」

「テウルギアと話がある。二人で先に行って欲しい」

「夜戦?デート?それとも・・・」

「・・・まあ」

「?」

「私の躰のことでね・・・」

「・・・わかった。じゃあ、先行くわ」


2人が見えなくなってから向かい合う。


「朝の話だ・・・付き合ってくれっていったろ?」

「いきなりだな・・・ディナーを予約しとけばよかった!アスラムに俺とフルフルは相部屋って言っとこう!」


・・・はた迷惑極まりない話だ。私の抜刀にすら気づかないほどの浮かれ具合だ。盛大過ぎる勘違いをしているようだが、やるべきことは1つだ!


「オツキアイしよう♥」


奴の眉間めがけて突きを放った!


「初デーーーーーーーッッッッッッッッッッッ!」


この上なく下品な台詞を吐きながら回転ダウンした。起き上がろうとする敵に向かって唐竹割を放つ!間違いなく急所に光線剣の切っ先が引込まれていった!


「いきなり激しいな!」


もう勘違いはしてないようだ・・・口以外は。


「お突き合いだ!」

「ここでしたいのか?○ン○ォ○ニアめ!いいぜ!足腰立たなくなるまでヤろう!」


草と石畳を蹴り、突撃を開始した!


                   ⋮


「STMが・・・」

「はしゃぎ過ぎたからだ」


テウルギアのHPがセーフティエリアなのに減っていた。

やり過ぎたようだ。街中で荷物と所持金をばら撒かれても困る。

引き摺ってでもホテルに連れて行かなければならない。


「走れそうか?ジャンプもステップも問題ないな?」

「STMだけだ!」


                   ⋮


柔かそうな黄色い物体に赤いペーストがかかった料理が目の前に出された。そいつをスプーンですくう・・・。すんなり切れて乗っかった。黄色い物体の下に赤白の粒状の物体が見えた。スプーンに乗っているやつを口へ運ぶ・・・卵のふわふわ感とケチャップライスの酸味とチキンの旨味が口の中に・・・!現実のレストランメニューと遜色ない食事が仮想空間内でできるなんて・・・あんまり食いすぎるとリアルであまり飯が食えなくなるかも!


「引退記念、どうするんだ?」

「今の私の考えを言うと・・・“私がいたという証を残す”・・・だ」


茶色くて粘度の高そうな流体と白い粒状の物体を搔き込む友人に答える。


「目標は・・・“トップニュースにフルフルの名を出す”・・・だ!Bossの最速撃破とか・・・パッケージに描かれてた浮遊要塞の最速占領なんかいいかな?ニュースに出た後は・・・デートと“結婚”かな?“古今無双の英雄は電撃婚し、その後の行方は誰も知らない”・・・古臭いけど物語のヒーローっぽいかな?」

「予想はつくけど・・・」

「そっちは男子禁制だ」

「ッチ・・・いいじゃないか!ド派手でインパクト満点の引退セレモニーだ!歴史書に残るぜ!」

「・・・」


                   ⋮


(誰もいないよな・・・)


取り敢えず初見は自分で見るに越したことはない。

ドアを開ける。露天風呂だ。でも、のぞかれる心配はないって説明書には書いてあった。檜じゃないことしかわからない木製の浴槽だ。スイミングはできそうだがシンクロは無理そうな深さだ。部屋は視界10m位かな?鍵を閉める。これで誰も侵入できない・・・はず。

装備画面を開く。・・・”服”を選択する。・・・”全衣服解除”を選択する。・・・それだけだった。


(・・・私の躰・・・)


間近で見る“私”の躰・・・子供の頃を思い出すな・・・あの時のエリー姉になった気分だ。

風呂に入る前にお湯をかける。


(温かい・・・)


もう、どこかの旅館の大浴場にいるみたいだ。


(これが現実ならよかった)


躰を洗い、石鹸を全て流した。やわらかくてプルプルする・・・


(永住できそう・・・)


湯船に入って・・・本来の目的を忘れそうだ。このままここで女の子やっててもいいかな?・・・否!


(ここへ来たのは私の願望なのか?・・・否!)

(VRに骨を埋めに来たのか?・・・否!)

(では、何故来た?・・・別れを告げるためだ!)

(これは卒業式だ!・・・今の私ならVRなしてもやってけるはずだ!)


そのために悔いの残らないように行動する!


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