仮想編第2話Act1-4
Act1-4
~I’m a super hero!~
「Smaaash!」
目の前のゾンビ型ロボ目がけて光線剣を払う!
触れただけで奴らは2体まとめて茶色いポリゴン片をまき散らしながら消滅した!ダブルダウン!
ロボを斬っている間に近づいてきた妖精っぽい少女が無表情で左手を伸ばしてきた!体をそらして躱す!すれ違い様に肘打ち!彼女も白黒のポリゴン片を撒きながら消滅した。妖精が立っていた地面にはポーションの小瓶が落ちていた。躱しきれずに盗られてしまったようだ。
(?)
目の前に黒い人工物が?
「グレネード!」
手榴弾だった!とりあえずそいつを蹴り飛ばす!投げた妖精2人の方に転がり爆発!閃光が消えた時には2人とも地面に倒れていた。ノッキムが素早く近寄りストンピング!倒れた2人も消滅した。Lvと装備のおかげだろう。ミサイルが後頭部に直撃してもダメージをほとんど受けない。転がされるけどね。このエリアなら完全無敵と言っても過大ではなさそうだ。残った兵士が躰全体を180°回転させて・・・そのまま全速前進を始めた!奴らの向かう延長線上には・・・別のバーティーが!
・・・止めるまでもなく決着はついた。不意打ちと物量作戦が得意な敗残兵たちの破れかぶれの特攻はスラムでの狩に慣れた猛者には通用しなかった。すなわち、兵士たちは血しぶきの代わりにポリゴン片を吹き出しながら消滅した。
(3か月ぶりになるな。何かの縁だな・・・)
6人チームなのだろうパーティに近づく。だが、私の向かう先に存在している全員が斧、本、さらにはミサイルランチャーなど手持ち武器を私に向けて構えている。とても”仲良くしましょうね”なんて言う雰囲気ではない。
「・・・これだからメイド服は嫌いだ・・・」
一張羅だけど、mobと間違えられて撃たれるくらいなら全裸の方がましかもしれない・・・この服、敵と見分けがつかないくらい似ているとは思わなかった。残念ながら、公の場で服を持っている限り脱ぐことはできないようになっている。さて、どうやって説明しようか・・・。
「お客さんのおかわりよ。招いてないけどね」
(?敵!早すぎる!)
6人パーティと私たちの間に透明な人型が!敵出現の前兆だ。だが、全滅させてから1分と経っていない。
(休憩なしか・・・)
透明だった人型に皮膚が生成され、さらには迷彩服、緑と茶色と黒だから森林迷彩だろう服も同時に生成される。人型の数が多い。10体分以上はある。
「・・・上!上!!!」
6人パーティの内、ラフな黒いファー付きコートを着ていた男が叫んだ!絶叫というよりも悲鳴に近い。確かめないわけにはいかなかった。上を向くと、建物のバルコニーに目の前の奴と同じ透明な人型が・・・。見える限りすべてのバルコニーに存在しているのだ。20体以上は確実にいる。
「退路を塞がれてるわ!」
後ろからノッキムの声。
「誰よ!!!ボスエリアに踏み込んだ奴!」
白いワンピース姿の少女の絶叫・・・ヒステリーに近い。考えうる限りの怒りと恐怖が含まれている声だと思う。
「Take this!」
手のひら大の黒い物体が大量に落ちてきた!確かめる間もなく手榴弾だ!前方には炎を吹き出しながら飛翔する物体?!wth・・・
「Boo!」
・・・埃をこぼしながらなんとか起き上がる。さっきのパーティから引きはがされてしまったおようだ。破片と煙で白かった服がカーキ色に変わってしまった・・・。反撃にしたいところだが、石ころではバルコニーを狙うことはできない。とれる方法は・・・さっきの6人パーティに飛び道具を借りることだ!できれば・・・じゃなくて必ず人間ごと!
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走る!ひたすら目の前の敵、ソルジャーに向かって全力疾走!私たちは現在、このスラムで悪名高い兵士どもに隙間なく囲まれている。100人単位でいるのかもしれない。後ろなんて振り向く余裕はない。左右はミサイルが直撃しても壊れそうにない白く濁ったショーウィンドーとドアで逃げられそうにない。正面からは機銃弾とミサイル、上からは手榴弾と榴弾がひっきりなしに飛んできている。こんな天気なら早く晴れてほしい。さらに上?ご丁寧にまだ崩れていない屋根のせいで逃げられない。何が何でも目の前の兵士共を倒さなければ進めないのだ。だが進めない。原因はあの忌々しい炎を吹き出し、私に殺到する飛翔体だ!しゃがんで躱し損ねては吹き飛ばされ、ジャンプに失敗して吹き飛ばされ、手榴弾を踏みつけて転んだ上にミサイルの直撃で吹き飛ばされ・・・兵士共に近づけないでいるのだ。私は空飛ぶ爆発物に好かれるなんて遠慮したい!今すぐすべて持ち主に返したい!利子つきで!対策は・・・要撃だ!要撃を発動させれば強引に突破できるだろう・・・と考えたが、何度もミサイルの直撃を受けているにも関わらず、発動のためのSPゲージが溜まらない。
(?!!!omg!!)
黒のファー付きコート男とワンピース少女の姿が見えない!兵士共の向こう側に4人しかいない!3人までもがHPが半分以下になっている。これでは残ったメンバーもそう長くは持たないだろう・・・。もしあの4人まで死んだら、飛び道具を持たない私たちは周りにいるサディスト共になぶり殺しにされてしまう!
(今とれる対策は・・・)
光線剣を順手から逆手に持ち替える。
「こうなったら・・・」
「ちょっと!何やってんの!」
・・・突きを繰り出す!
「ahh・・・!」
ターゲットは私、丁度切腹のような状態だ。HPが目に見えて減少していく・・・
「フルフル!自殺願望を成就するのはまだ早いわ!」
「プランBだ!」
HPが10%を下回ったところで剣を引き抜いた!
同時に”背水之陣”の効果が発動!SPが最大になった!
「私のターン!」
前方のソルジャーがミサイルを発射!・・・?
(ミサイルの軌道が見える・・・!)
今までは相手のランチャーの方向から予測するしかなかったのに・・・今はミサイルの飛んでくる様子が見える!ビデオのスローモーションを見ているようだ。
(時間感覚加速の効果なのか)
また吹き飛ばされるわけにはいかない!とるべき対策は・・・要撃を発動!強引な前方ダッシュで突破!
「Ugyeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee・・・」
なぜか兵士が間延びした情けない声を上げた。スローモーションで聞いているからだろうか?野太い悲鳴で鈍るような攻撃はしない。どこぞの野屑の如く斬って捨てる!確認したわけではないが、奴が生きていないことは確実だろう。
「こんなところでサヨナラなんて嫌―――――!」
それよりも正面のHPゲージが減り過ぎて真っ赤になっている少女に向かって飛ぼうとしている飛行物体をどうにかする方が優先だ!走っていては間に合わない!
「イヤー!」
彼女の悲鳴をバックにHPポーションⅣを手に持ち・・・全力ストレート!
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土煙の中に彼女らしき人影が立っているのが見えた!HPゲージは変わらずレッドゾーンに突入中だが、かろうじて回復が間に合ったようだ。彼女は水色のオーラを全身から発しながら小瓶に入った液体を体に振りかけていた。HPゲージが伸び始め、赤から黄色に変化した。こちらの方を見ているが後ろからミサイルが近づいている!
(今度は間に合う!)
ダッシュしつつミサイルに向けて袈裟切りを放つ!
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「こんなところでサヨナラなんて嫌―――――!」
私の前では仲間二人を殺した兵士がミサイルを放とうとしている、後ろからは光線剣を持ったユニークモンスターっぽいメイドが全速力で迫ってきている。真黒なオーラを全身から吹き出しながら何かを取り出そうとしている。多分閃光手榴弾だろう。閃光手榴弾なんて投げられたらソルジャーからの攻撃がかわせなくなっちゃう。私のHPは20%を切っている。要撃を発動させたけど、とてもミサイルの直撃には耐えられない。例え耐えたとしても4人ともMPは空っぽ、射手は2人とも死んでしまった・・・もうおしまいなの・・・
「イヤー!」
バルコニーに立っている兵士の持っている筒からオレンジ色の光と灰色の煙が噴き出しているのが見えた。
(冷たい?)
水かな?冷たい液体が背中にかかるのを感じた?同時にHPが回復?
(お情け?)
せっかくイエローゾーンまで回復したHPがミサイルのせいでまたレッドゾーンに・・・でも助かった。
「後ろへ!」
映画の早送り中にセリフを言うヒロインのような早口だ。彼女の言葉に素直に従う。
「前からミサイル!」
・・・迫ってくるミサイルを彼女は斬った!光線剣で真っ二つにした?2つに分かれて私の両側を飛んでったのだから間違いない。映画の1シーンのような出来事だった。
(もしかして、お助けNPC?)
私じゃあやれと言われてもできなさそう・・・
「第二弾が来る!」
・・・確かにミサイルは命中した・・・自身を発射した射手にだ。これはバルコニーで爆発と閃光、さらに地面に頭から落下してくる兵士からの推測したことだ。盾以外の近接武器ならミサイルを打ち返せるってBBSに書いてあったのを思い出した。それと、まぐれ当たり以外でできた人はいないことも。私もそう信じてた・・・10秒前までは。
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“背水之陣”の効果のおかげだろう。ピッチングマシーンから投げられる野球ボール程度のスピードに見えた。ミサイル自体もボールよりも巨大だから、当てやすい。私が光線剣を振るスピードもゆっくりに感じたが、それでも何とかなった。ミサイルは射手と別れるのが嫌だと言いたそうな感じで発射した兵士のもとへ飛んでいった!
「Ugyeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee・・・」
こいつも情けない悲鳴をあげながらバルコニーから道路へ落下した。そしてそのまま肉片の代わりにポリゴン片を撒きながら消滅した。
前は掃討した。残りは後ろだ。
「下の方はきれいにしたから、上を頼むわ」
ノッキムが全身に青いオーラをまといながら、すなわち要撃を発動させながら合流した。
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兵士たちが頭から墜落する!兵士たちが立っているバルコニーはあと1つだ。
「Getaouta Dodge!!! Go !Go !Go !」
生き残った兵士が急に建物の中に引っ込んでしまった。戻ってくる様子はない・・・
「またか!汚ねえ・・・」
男3人の内、赤黒ツートンカラーのフルフェイスと同配色のライダースーツを着た方が呟いた。BBSで見たここのボスの撃破が難しい理由だろう。どうやら逃がさずに全て倒さなければならないようだ。
「・・・とりあえず脅威は去った」
負け惜しみっぽいが、そう思うしかないだろう。
「Boom!」
派手な音と同時に廃屋の壁が吹き飛んだ?
「お早いお帰りだ!・・・?」
廃屋から出てきたのは兵士共の残党ではなかった。皮膚はなく、筋肉むき出し、さらに申し訳程度の布さえ無し。見えてしまうとレーティングに影響する器官も付いていない。ゾンビロボの方だった。その軍団がショーウィンドーのガラス片をまき散らしながら飛び出してきたのだ。
「自己紹介したいんだけど、後でいい?」
「すぐできるようになるさ」
後ろからのつぶやきに答えた。




