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現実を嫌悪する者へ  作者: Nexnem
救出編第1話
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救出編第1話Act2-2

Act2-2

~WoFCo茶会事件~

 明美は投影モニターと向かい合っていた。・・・文書のタイトルは”始末書”。彼女は半泣きになりながらキーを叩いていた・・・。その傍には荒神が立っていた。そいつの顔面はこれから出撃するかの如き形相であり、腕を組み、歯ぎしりをしながら彼女をにらみつけていた。

その荒神を岬を見てはいけないものを発見してしまったかの如き表情で見ていた。


「岬先輩、武田先輩があんなに怒ったとこ、見たことあります?」

「いや・・・そもそも怒ったとこすら見たことがない・・・」


互いにしか聞こえないやり取りとキーストローク音だけがこの部屋で発生した音のすべてだった。


                    


「今日の3時に実験室に集合してほしいんですけど・・・空いてます?」


明美が昼食中の雑談を遮った。


「何やるの?」


目敏く愛理沙が食いついた。


「ちょっとしたティーパーティーです・・・僕の奢りでね」

「奢りだーいすき!」

「いいケーキ予約したの?」


楓も期待を大きくしたようだった。


「内緒!」


                    


「元、何やってるんだ?」


部屋には元と明美だけが存在していた。投影モニターと決して勝敗がつかないにらめっこをしていた元の後頭部めがけて岬が言葉を投げつけた。


「もちろんテストさ」


振り返りながら答える元。


「これが明美が言ってた”ティーパーティー”?」

「?そんな風に知らせたの?まあ、間違ってはないけど?」


元は取り出したるは”ヘッドギア”だとみられる物体だった。それが防具などではなく、ウェアラブルマシンである証拠として、ケーブル類が多数本体から生えていた。そいつが5個、5台のベッドを占領していた。


「・・・テスト込か・・・」

「正解です」


”やっぱりな・・・”という顔が多数、がっかりが少数発生した。


「味には自信あるから、大いに楽しんで欲しいんだ」


                    


森林の中に場違いなテーブルが存在した。木製であり、チェックパターンのテーブルクロス敷かれ、その上には褐色のペーストがかけられた粒状の物体。そいつが5個、トレーに山盛りされていた。物体からはそれに多量の水分が含まれており、なおかつ、高温である証拠として大量の湯気が立ち上っていた。物体が乗ったトレーの横には透き通った黄金色の液体がシャンパングラスに入っていた。液体の内部には無数の気泡が絶えず発生し、グラスの外側には水滴が付着し、底面に滴り落ちていた。

この、種別不明の鳥がBGMを演奏している空間に岬たちは足を踏み入れた。


「?なにこれ?」


岬たちの表情はバーベキューパーティーを楽しみに来たものでも、社員旅行としえハイキングに来たものでもなかった。


「・・・」


腐乱死体を目撃した時の如く鼻と口を押さえた。


「もう許さない!」

「・・・」


あるものは怒りの火山を噴火させ、残りは岬に無言の猛抗議を浴びせた。


「・・・大友、これはテストだ・・・エチケット袋が必要なやつでも食わなきゃならん」


犬の糞を踏んでしまった時のような説得力がない表情で岬が呟く・・・そして、全員をテーブルの前に座らせた。


「・・・やるぞ・・・みんな、構えろ!」


全員の顔は逃げたい気持ちでいっぱいのものだった。


「・・・」


スプーンで粒状の物体と茶色いペーストを掬った。


「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」


気まずい沈黙がこの場を支配していた。


「・・・突撃!」


スプーンごと飲み込む勢いで一斉に口に放り込んだ!


「・・・」


急性胃腸炎を発症したかの如き表情をしながら、シャンパングラスを口に運ぶ!そして、中身を口腔内にねじ込んだ!


「・・・」

「ゲフ!!!!!!!!」

「飲みこめとは言われていない!」


岬たちが入社してから研鑽してきた社会人マナーと対決し、危機に瀕した時の生理現象が勝利を治めたのだった・・・


                    


「やあ、お帰り」


投影モニターから振り返りながら元が声をかけた。


「10秒・・・VRログイン最短時間達成だね」

「・・・」


記録を達成したときの表情などは当然、存在しなかった。


「まあ、それはいい・・・だが、あの甘ったるくて、バカ辛くて、腐肉をまき散らした臭いのカレーはなんだ?俺らに生ゴミを食わせたかったのか?」


皮肉が入らない程の厳しい詰問が返ってきた。


「?レストランの味を再現したはずだよ?」


予想外の質問をされて狼狽する政治家の如き答え方をしてしまった元


「・・・今までの砂粒未満だったよ・・・」


自信なんてものは犬に食わせたような状態になってしまった。


「?・・・なんで?」


元はコンソールに向き直った直後にスタートダッシュをした音が聞こえた。そして、部屋にいる人数が1人減っていた。


その場にいた全員が入口を眺めていた・・・だが、それはセカンド単位のエピソードだった。

元がその体格としては不相応なスピードで走り始めたからだ。残されたメンバーは微動だにしなかった・・・。明美と元が去った入口の横には持ち主不明のタブレットが張り付いていた。

昔のコント番組に出てきたプラカードと全く同じ文句が刻まれていた・・・

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