救出編第1話Act1-2
Act1-2
~休暇~
部屋のレイアウトには持ち主の感情が反映されているということをここの住人は知らないようだ。ラックには巨大な“雄クジャク”が座っていた。剥製の如く微動だにせず、ピンクのベッドで眠る“主”を見守っていた。
“♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪~♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪”
“クジャク”の隣に置いてあったスマートフォンからPopソングが流れ出てきた。
耳元で大音量を聞いてしまった楓が跳び起きた!そして間が抜けた声を発した。
「浅井はただ今お楽しみ中です」
「夜にもっと楽しませてやるよ」
スマートフォンのスピーカーが岬の声で返答してきた。
「?」
「俺の奢りだ」
「是非イタリアンを!」
「・・・予約とれたのはフレンチだけだ」
「・・・財布の覚悟してくださいよ!」
電話を切るや否や着ていたものを全て脱ぎ捨ててウォークインクローゼットへ突撃していった!
2人は岬の約束通りフレンチレストランにいた。
白いテーブルクロスが敷かれたテーブル上には、パーティーでしか食べられないような料理と飲み物が置かれていた。
楓が透明で黄緑色の飲料をシャンパングラスで飲んだ後に口を開いた。
「私の中じゃ岬先輩って仕事オンリーの人だったんだけど?」
「クソチーフがいたからだ!俺は仕事よりもデートの方が好きだ」
岬はミディアムに焼けた肉片を食べた後で答えた。もちろん、“苦笑”に分類される笑顔は忘れなかった。
「その先も?」
「もっとだ!」
吹出しながら出された質問に、苦笑しながら答えた。
「・・・でも、今日はビジネスオンリーだ」
「?」
しばらく沈黙する楓。だが、耐えきれなくなってステーキを口に運んだ。
岬はその困惑を待っていたかのように続けた。
「現在進行形で警戒してる獲物を襲うの好みじゃない」
「どの辺が?」
「パンツ」
確かに彼女はスラックスを穿いていた。楓の表情が驚愕一色になった。
「服で?」
「前に聞いたことがある。”女性が履いてるパンツは脱がしにくい、脱いでもらうことも難しい”って」
“驚愕”から“笑い”へと変化した。
「その先生はさぞかしモテなかったんでしょうね」
岬も“苦笑”ではなく“思い出し笑い”で答えた。
「5000万つぎ込んで成果は・・・ビンタ100発にパンチ5発と・・・エンゲージリング1組だったって聞いたな
「是非とも続き聞きたいですね・・・ビジネスの方を済ませて・・・ブティックでスカート買ってもらってから!
楓の一言は“お笑い番組の観客席”だった2人のプライベートスペースを本来の雰囲気へと変化させた。
「そっちは一言だけだ・・・”俺の仕事を手伝ってくれ”だ!」
「はい!」
「休みが明けたら俺のガネーシャチームが発足する!忙しくなるぞ!」
数秒間、目を合わせた2人は高級フレンチの早食い競争を始めた!




