トリコロール
「らっしゃい!何にします?」
「おれは断然こいつだな!」
「お。ぼくも決めてるのがあるよ」
「ふーん、わたしはあれかなー」
「OK! じゃあ一番票の多かったやつに合わせようぜ!」
「「賛成」」
「じゃいくぜ、せーのっ!!」
「イチゴ!」「ブルーハワイ」「ミルクしか勝たん」
「っはぁー!?かき氷と言ったらいちごだろ!」
「いやいや、夏のイメージは青だよね」
「あんたらガキ過ぎ。ミルクが一番おいしいじゃん」
「わっかんねえかな。夏の風物詩と言えば、かき氷!スイカ!花火!ぜんぶ赤いもんなんだよ。考えてもみろ?ツヤツヤをかじったときのジュワッとしたイチゴをよ!夏を吹っ飛ばす甘酸っぱい赤!完全にイチゴ味で決まりだ」
「決めつけは良くないでしょ。ぼくの夏は海とか山とか、自然のもっと落ち着いた色なんだけど」
「味は悪くないけどさ、普通に赤じゃなくない?」
「そうそう、どっちかって言うと青だよね。ほら、朝一番の海。まだ誰も入ってなくて、足首まで浸かると底の石ころが透けて見えるくらい澄んでてさ。あの水を、そのままガリッてやりたいんだよね」
「だからこその赤だろ?景色食べてどーすんだよ」
「青に青って映えないんだよねー」
「やっぱここはミルク一択っしょ!他には無いトロッとした舌触りに優しい甘さが口いっぱいに広がるし、あんたらみたいにうるさくない落ち着いた色、もう考える必要なくない?」
「かき氷に欲しいものじゃないんだよね、もっと爽やかさとか、涼しさみたいなさ」
「絶対にねえ、ミルクだけはねえ」
「ぶーたれやがってめんどくせえ、味のイチゴだ!」
「どうして分からないのかな?涼しさのブルーハワイでしょ!」
「うるっさいわね、包容力のミルクだって!」
「……あー、盛り上がってるとこわりぃんだけどよ、そろそろ決めてくんねえか。後ろが来てるんだ」
「ごめーんおじさん、もう決めるから!あとちょっとだけ待ってよ。ね?」
「決めるったってどうすんだよ、いつもお前ら引かねーじゃん」
「んじゃ、スペシャルサービスだ。おじさんからの提案なんだが、三つ別々にかけるのはどうだ?カラフルできれいだし、イチゴの味、ブルーハワイの涼しさ、ミルクの包容力、ぜーんぶ独り占めだ!」
「やだね」
「いやだ」
「嫌よ」
「っなんでだよ!三つも味わえたらお得じゃねえか」
「そりゃ、なんかこいつらに負けたみたいになんだろうが!おれはやだぞイチゴがいい」
「ぼくも青を諦めたことにはなるよね」
「そういうこと。分かってんじゃん」
「……どれもいっしょだろうが。もうさっさと決めてくれ」
「すいません!!」
「お、わりーな待たせて。坊主は一人か?」
「うん!かき氷ください!」
「おめーらちょっと避けてな、決まったら声かけろ。んで坊主は何味にすんだ?」
「……うーんとね……うーんと、あ、ブドウ!」
「ブドウかー。わりぃ、うちブドウ味はやってな、……いやいけるか。ブドウ、四つな」




