げんきのおくすり
「こんにちはー!」
「はい、こんにちは。お名前言えるかな?」
「アスカー」
「アスカちゃんね。今日はどうしましたか」
「びょうきなの。たいへん!」
「そりゃあ大変だ」
「熱はある?」
「ないとおもうー」
「ふらふらするとか?」
「それはあるー」
「ご飯食べてる?」
「おくすりのんでるときならー」
「あのね、げんきがないのー」
「はい」
「おくすりのんだら、げんきになるのー」
「お薬飲んでるんですね」
「うん、すっごくきくんだー」
「大丈夫ですよ。これ終わったら渡してあげますからね」
「やったー」
「それで。お薬はもうなくなったんですか?」
「うん。きのうのよるねー、おかあさんがねー、もうないーって」
「はい」
「ないとたてないーって」
「はい」
「だから、アスカがいくーって」
「ひとりですか」
「うん!」
「お母さんは、なんて」
「アスカいいこねーって」
「……そうですか」
「アスカちゃん」
「うん」
「お母さんが一日でどのくらいお薬飲むか、分かりますか?」
「いっぱいー」
「いっぱい」
「おくすりがないとね、つかれちゃうのー」
「……」
「でもおくすりのんだらげんきだよー」
「はい、お薬飲めば疲れなんて飛んでしまいますよ」
「うん!」
「はい、では大丈夫ですよ。お薬出しますね」
「やったー」
「お母さんにちゃんと渡してください」
「はーい」
「アスカちゃんは飲んだらだめですよ」
「えー、おくすりあまいって知ってるんだよー?」
「……いいえ。とっても苦いです」
「おかあさんはあまいっていってるー」
「……」
「だからのんだらげんきって」
「……」
「……アスカちゃん、これも」
「なにー?」
「お小遣いです」
「えっ」
「初めてのおつかいですから」
「いいのー?」
「いいんです」
「やったー!」
「アイス、買って帰りなさい」
「アイスー!」
「お母さんには内緒ですよ」
「ないしょー!にひひ」
「——あ、せんせー」
「はい」
「おかあさんが、おかねわすれたーって」
「……」
「こんどでいいー?って」
「次でいいですよ。お母さんと一緒に来てください」
「おかあさん、これるかなー」
「来られますよ。……必ず」
「ふうん」
「あれ?せんせー、なんか、おくすりへん?」
「そうですか?」
「いつもおかあさんのおくすり、こなこななのに。きょうのはぺらぺら。おてがみだけ?」
「……今日のは、特別に効くお薬ですからね」
「ふうん」
「大事に。ちゃんと呑むようにと」
「だいじに飲むー」
「ええ、お大事にされてください」




