つけちゃだめだって
「つけちゃだめ」
「つけようよ」
「つけない方が好き」
「じゃ、今日はね」
「好き、なんだけど」
「…………」
「……なに、改まって」
「暗いほうが言えるから」
「明るくても言えばいいじゃん」
「それはハズい」
「おれはいつ言われてもうれしいけど」
「じゃあ、もう一回。好き」
「いつから」
「最初から」
「嘘でしょ。ぜんっぜん目合わなかったじゃん」
「見れなかったんだよ」
「じゃあ今は」
「暗いからずるしてる」
「ふふ。ずるいなあ」
「……付き合って」
「はや」
「好きって言った。嬉しいって返ってきた。揃ってるでしょ」
「もうちょっと駆け引きとかさ」
「苦手なの知ってるでしょ?」
「そか。……いいよ」
「ほんとに」
「いいよ」
「ね、手出して」
「見えないんだけど」
「いいから。——あ、いた」
「……つめた」
「そっちもでしょ」
「……おんなじくらいだ」
「あっためてよ」
「……こう?」
「……うん」
「……いい匂いする」
「シャンプー変えた」
「きのう?」
「きのう」
「もうちょっと近くていい?」
「来れば」
「……息、かかる」
「……いいよ」
「鼻ぶつかるよ」
「ぶつかればいいじゃん」
「——あ」
「ふふ。ほんとにぶつかる」
「……おいで」
「…………」
「唇かたいよ。緊張してる?」
「……うっさい」
「……ん」
「……そっちも震えてんじゃん」
「うるさい」
「もう一回」
「……ん」
「……ねえ、触っていい」
「……どこ」
「……ここ」
「……うん」
「…………」
「……心臓、はやい」
「そっちも」
「わかんの」
「おんなじくらいだから」
「……ねえ」
「ん」
「顔、見たいな」
「——むり。いま絶対むり」
「いいじゃん。——つけるよ」
「ちょっ——」
「——あー、もう曇ってきたか。曇り止めどこだっけ」




