表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

あくしゅ

「諸君、我々の世界は今なお脅威にさらされている」

「議長、本日の議題は」


「平和だ。いつだってそうだ」

「援助は試しました。食料を分け合い、分け合い、分け合った。結果、奪い合いが起きた」

「武力行使もやった。争いを潰すために争った。笑えない話だ」


「外からの圧力は」

「腕がものを言う時代は終わったんだ。締め上げたところで恨みが残る」


「では教育は」

「何世代もかかる。我々にそんな時間があるかっ」

「その通り、そんなに待てません!いま、現にあの火の前で、仲間が——」


「……君は、まだ若い」

「関係ないでしょう!毎日誰かが、冷たく、横たわっていくんですよ!」


「関係ある。長くこの世界を見てきた我々にはわかる。そう簡単に——」

「簡単じゃないから聞いてるんです!」


「…………」

「……我々には、もう打つ手なしでしょうか」


「…………いや。ひとつだけある」

「議長?」


「握手だ」

「…………は?」


「ヒトの気持ちに訴えかけるんだ。力でも駆け引きでもない。心と心を交わす。直接向き合って、手を取り合う。我々はいつも遠くから手を打とうとしてきた。でも手を差し伸べたことが一度でもあったか? 同胞だというのに、なぜ触れようとしない。握手なんだ。たった一度、手を握り合うだけで——」

「握手だと? 愚策だ!」

「甘い! もっと壁を!」

「悪い手だ! 理想論で腹は膨れん!」

「それは、無謀です!」


「……君もか」

「無謀ですよ。だって——」


「何度でも言おう、君はまだわからんのだ。若すぎる。ヒトは分かり合える。なぜ手を取ろうとしない!」

「…………議長」


「やれば分かる。握手だ。さあ、隣の者と手を取り合ってみろ」

「…………」

「…………」

「…………」


「……なぜ誰も動かん」

「いえ、あの……動いては、いるんですが」

「全員こう、胸ビレをぱたぱたしてるだけでして」


「…………」

「…………」


「……いや、わしはあるからさ。八本。ほら」

「あ、いま伸ばしたら——」

「ん?……うおぉぉぉお!!」

「…………あーあ、手なんて開くから。唐揚げか煮物かしらね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ