第11話 バレット
家を造り終えた頃、パルとパロが戻ってきた。
「「ボス―、終わったよー!」」
「おう、お疲れ様。今、晩飯作ってもらっているから、それまではゆっくり休んでおけ」
「「はーい!」」
こいつら、悪戯好きだけど、基本は素直な子達だから楽だな。
そんなことを思いながら、パルとパロの後ろ姿を眺めていたら、ある意味対極の存在である、サラが話し掛けてきた。
「タカシさん? 少し良いかしら」
「おう、サラか。どうした?」
「先程のアースドラゴンに使っていた魔法は、何です? 見た事も聞いたことも無い魔法なのだけど」
「あぁ、あれか。あれは俺が作った魔法だ」
「えぇっ!? タカシさん、魔法を開発できるの!?」
「おう、あれは魔法が使えるようになってすぐに考えたやつだ」
あれはすぐに出来たが、サラには無理かもしれないな。
そもそも、科学的な知識が必要だし。
「私にも出来るかしら?」
「うーん……あれは合成魔術と錬金魔術の知識が必要だからな……そのどちらも分からないサラには難しいかもしれない」
「そう……」
錬金と合成が使えるのであれば、教えるのは簡単だが……いや、教えてみるか。サラには、魔法のセンスがあるんだ。案外、すぐに覚えてしまうかもしれない。
「教えてやろうか?」
「ほんとう!?」
「あぁ、お前の悲しそうな顔なんて見たくないからな」
「ありがとう、そんなタカシさん好きよ」
「お礼は体でな」
「もう……そういうタカシさんは、あまり好きじゃないわよ?」
そんな話をしていると、サラの隣に座っていたミリアがジトっとこちらを見てきた。
「タカシさん、私には教えてくれないのに、サラさんには教えるんですね……。やっぱり、む、胸なんですか……」
「ミリアちゃんも一緒にどう?」
「胸は大小関係なく好きだぞ? それに一度教えたじゃないか」
「それはっ、うぅ、そうですけど……」
「よし、またミリアにも教えるか! そろそろ使える頃だろうし」
「良かったね、ミリアちゃん」
「うぅ、何か釈然としませんが……」
ミリアとサラを連れて、外に出る。
飯はまだ作り始めたばかりだから、まだ時間はあるだろう。
「よしここら辺にするか。ミリアはこっち、サラはこっちな」
「「えっ……」」
その場に座り、左右の地面をポンと叩いて座るよう指示する。
「ほら、飯が出来るまでの時間しか教えないから、早くしろ」
「は、はい」
「分かったわ」
二人を左右に座らせることに成功する。これでいつでも触れる事ができるな。よしよし。
二人には更に近付いて密着するように指示する。
「いいか、まずは見せるからしっかり見てろよ?」
「「はい」」
地面に触れ、魔力を込めて土を掘り、種類別に分ける。
「まずは、こうやって地面に魔力を流して、土を構成している物質を種類別に分けるんだ」
「こうせい? ぶっしつ? しゅるい? ええと……?」
「先日言っていたやつですね。タカシさんが言うには、土は様々な物質が固まって出来ているんだそうです。それは、赤に燃えたり、緑に燃えたりする物質らしいです」
「そ、そう……難しいのね」
まずはそこから、なんだよな。先が思いやられるな……。
「ほら、目を瞑ってみろ。そして地面に魔力を流してみろ」
「「はい」」
「どうだ? 魔力を自分の感覚とリンクさせると、大きな物質や、形の違う物質があるのが分からないか?」
「うーん……石とかは分かるのだけれど……」
「そうですね。ここに小さな石、そこに大きな石とかなら……」
俺と何が違うんだろうな……。
石が分かるってことは、魔力は流せている。でも、もっと小さな物は分からないのか。
「魔力の流し方が雑なんだよ。もっとこう、土の中の中の中という感じで意識を集中して、魔力を流しながら、深く入ってみろ」
「うーん……うぅぅぅん……」
「俺の種類別にした物質を触ったりして、同じモノを探してみろ」
二人に暫く分別したモノを触らせたりして、何度かやらせる。
実際に成分が分かれば何とかなるかもしれない。
「うぅ……違う、うぅーん、あっ! あった! これですね!」
ミリアが土の中から何かを見つけたらしいので、それと同じ物質をかき集めるよう指示しておく。
ただ、サラはまだ唸って地面に魔力を流し続けている。
「サラ、ちょっとここに来い」
「えっ!?」
少し実験したいことがあるので、ミリアに作業をさせている間にサラを抱き寄せて、股の間に座らせる。
「ちょ、ちょっと、何ですか!?」
「いいから、地面に手を当てて魔力を流してみろ」
後ろからサラの手を掴み、地面を触らせ、魔力を流すよう促す。
合わせて魔力も流し、サラの魔力に重ねる。
「サラ・フォン・クドラングの魔力が同じ動きをする」
「な、何を!?」
「いいから、目を瞑れ。今は、俺の魔力を感じろ。集中して動きをしっかり覚えろ。ほら、こうだ」
「す、すごい。何これ、分かる、分かるわ……タカシさんの魔力が流れていくわ! すごい、小さい、細かい。そして広いわ……」
「こうやって、こう。それでまとめて、次はこう」
土の中に魔力を流して、見つけた物質を回収し、新しく見つけた物質と重ねて、更に次の物質を探す。
それを魔力だけで操作し、最後に地面の上に引き上げる。
「すごいわ……そんな複雑な操作をしていたのね……」
「そうだ。これで分かったか?」
「も、もう一度良いかしら……?」
感動したのか、サラが少し涙目になり、遠慮がちに振り向いて、近距離で上目遣いのお願いをしてきた。
そんなもの断れるわけがないじゃないか……。
「お、おう。いいぞ。ちゃんと見ておけよ?」
「えぇ、あぁ……すごいわ……何か、タカシさんが私の中に居るというか、温かいというか、タカシさんを感じるわ……」
「いいな……」
再度同じことをしてやると、ミリアが、こちらをチラチラと見ながら、ボソっと小声で羨ましがっている。次やってやるか……。
「どうだ? 分かったか?」
「えぇ、ありがとう。お陰で私にもできそう、いえ、やれるわ」
「そうか、なら、見せてもらおう」
サラが地面に魔力を込め始めたので、それを見守る。
抱っこ状態なので、ついでに胸を揉んでおく。
「きゃっ!? ちょ、ちょちょっと、タカシさん!? 今は、集中しているのだから、止めてくれない?」
「これは手取り教えてあげた対価だ。ほら、気にせず頑張れよ」
「も、もう……んっ……」
胸を揉まれながらも、地面に集中して魔力を込めている。
合間にビクッとなるのがたまらない。
「で、出来たわ! どうかしら!?」
「どれどれ。採点してやろう」
サラの分別した物質を固めて、燃やしてみる。
少し違う物質が混じっているのか、キレイな七色にはならない。でも、カラフルに燃えている。
「す、すごい、出来た、出来たわ、タカシさん! ありがとう!」
「ちょ、お、おい」
サラが、抱っこ状態からいきなり振り返り抱き付いてきたので、そのまま後ろに倒れてしまう。
「きゃっ、うふふ、ごめんなさいね。嬉しくて、つい」
「あぁ、喜んでくれたのなら良かったよ」
「ありがとう。ちゃんと練習するわね」
「おう。期待しているぞ」
「あの……お楽しみのところ申し訳ないのですが、私も居ることを忘れないでくださいね?」
ミリアが口をヒクヒクさせながら、にっこりと微笑んでくる。
怖いな……。
「じゃ、じゃあ、次はミリア、だな」
「ミリアちゃん、ごめんなさいね。え、ええと、わ、私はこっちで練習しているわね?」
「お、おう」
サラめ。逃げやがったな。
「タカシさん、おっぱいは満足でしたか?」
「あぁ、良かったよ。ほら、ミリアもこっちに来い」
「私は別に揉まれなくても良いので、採点してください」
「え、あぁ、そう、だよな。うん。どれどれ」
ミリアが集めていた物質を固めて、サラ同様燃やしてみる。
キレイな緑色だ。でも、一色だな。
「完璧だな! さすがミリアだ!」
「いえ、私には胸がないですから。このくらいは」
ダメだ。毒舌モードに入っている。
最近ミリアに構っていなかったからなぁ。少しスキンシップしておかないと、ミリアに嫌われたら生きていけない。
「ミリア、こっちに来てくれ」
「だから、私には良いですって……きゃっ」
頑なに拒否するので、少し強引に抱き寄せる。
ついでに空間魔術で浮かせて、先程のサラ同様股の間に収める。
「も、もうっ! 私は良いですって!」
「いいからいいから。さぁ、ほら、いくぞ? ミリアの事だから、一度感じたら後は応用も効かせてくれるだろう」
ミリアの手を握って、サラと同じことをする。
「うわ……何ですこれ!? え、そんなに!? 魔力が細かい……繊細……そして広域……」
サラと全く同じ感想だな。彼女達からしたら、そうなのだろう。俺としては、これが普通なので意外だ。
「どうだ? こんな感じにやるんだが。見分け方も分かったか?」
「はい、分かりました。やっぱりタカシさんはすごいですね……」
ミリアは、魔術的にすごいところを見せてあげると、それだけで尊敬の眼差しになるから嬉しい。
「よし、じゃあやってみてくれ!」
「はい!」
ミリアが集中して地面に魔力を流し始めたと同時に、胸を揉む。もはやお約束である。
「はぁ……やると思いました」
「だろ? というか、ミリア、胸大きくなったな! 驚いたぞ!」
「え、本当ですかっ!?」
もちろん嘘だ。
「あぁ、やっぱり日々成長しているんだな。さすがミリアだ」
「そ、そんな。タカシさんのお陰ですから!」
「下の方はどうだ?」
「下はまだ……じゃない! ちょ、調子に乗りすぎです!」
パンツの中に手を入れたところで、パシンと手を叩かれた。
そんな様子を、今度はサラが練習を中断して見つめていた。
「あの、別に続きをされても、良いですよ?」
「え、いや、ちょ、違います! 続きなんてありませんから!」
何だよこの漫才。
とりあえず、二人を空間魔術で初期位置である左右に、強制的に移動させる。
「ほら、飯までの時間、今やった事を練習だ!」
「「タカシさん、この手は何ですか?」」
「これは俺の魔法を教えた対価だ。良いから練習だ」
「「良いわけないです」」
「いいんだよ、ほら、さっさと練習しろ」
「「もう……」」
こいつら、たまに姉妹ではないかと勘違いするほど、思考や言動が似ている時があるんだよな。
そう考えると、俺は、こういう女性が好みなのかもしれないな。
見た感じだと、サラの方が魔法のセンスはあるようだな。
それでも、二人共ある程度は抽出ができるようになった。
そんな二人をしばらく観察していると、ファラがやってきた。




