第四十七話 十八階層
第三ダンジョンを進む。
十一階層。
十二階層。
以前と比べて大きな違いはない。
ゴブリン。
時々コボルト。
出現する魔物は変わっていなかった。
「魔素は?」
修司が振り返る。
彩花が測定器へ視線を落とした。
「少し高いですね、前回より一割くらいです。」
「誤差じゃないのか?」
「毎回同じなら誤差です、でも今回は違います。」
彩花は苦笑する。
「最近はどこも少しずつ上がってるんですよ。
第五も第六もです。」
「面倒な話だな。」
「探索者庁も頭を抱えてますよ。」
ゴブリン二体。
修司が前へ出る。
盾で棍棒を受け止める。
その横を佐伯が抜ける。
ロングソードを振る。
一匹目の首が飛ぶ。
魔石を残して消滅。
二匹目は距離を取る。
逃がさない。
ダガーを投げる。
刃が太腿へ突き刺さった。
転倒。
修司がとどめを刺す。
「相変わらず投げるの好きだな。」
「逃げられるのが嫌いなんだ。」
「俺もだ。」
魔石を回収する。
一万五千円。
ゴブリンは第五のコボルトより稼げる。
人気が出る理由も分かる。
十五階層。
十六階層。
魔素は少しずつ濃くなる。
ただ、異常というほどじゃない。
「十八階層到着です。」
彩花が地図を確認する。
ここまでは前回も来ている。
問題はここから先だ。
修司が剣を抜く。
「気配は?」
「四体。」
佐伯が答える。
「ゴブリン三。」
「あと一体。」
「少し大きいな。」
修司が笑う。
「いたか。」
「ああ。」
「いる。」
通路の先。
広間。
最初に見えたのはゴブリン三体。
その後ろ。
頭一つ大きい影。
粗末な革鎧。
片手剣。
木製の盾。
ホブゴブリンだった。
「一体だけか。」
「前回と同じですね。」
彩花が呟く。
「どうする?」
「予定通りだ。」
修司が前へ出る。
「俺が前。」
「彩花は支援。」
「佐伯は遊撃。」
「了解。」
ホブゴブリンがこちらへ気付く。
剣を構える。
ゴブリン三体が走る。
「先に雑魚を片付ける!」
修司が叫ぶ。
ゴブリンが飛び掛かる。
盾。
受け流す。
佐伯が踏み込む。
一閃。
一匹目が消える。
二匹目。
棍棒を振るう。
半歩下がる。
空振り。
返す刀。
肩口から胸まで切り裂く。
三匹目が逃げる。
「行かせるか。」
ダガーを投げる。
太腿へ命中。
転倒。
近付く。
ロングソードを振り下ろす。
ゴブリンは魔石を残して消えた。
残るは一体。
ホブゴブリン。
修司と向き合っている。
ホブゴブリンが動く。
速い。
ゴブリンとは別物だった。
剣を振るう。
修司が盾で受ける。
重い。
金属音が広間へ響く。
「力は強いな!」
「見れば分かる!」
修司が押し返す。
ホブゴブリンは後ろへ飛ぶ。
すぐに体勢を立て直す。
剣を構える。
「ゴブリンの動きじゃないな。」
「武器を使う魔物ですからね。」
彩花の火球。
ホブゴブリンは盾で防ぐ。
「器用だな。」
「だからCランクなんだろ。」
佐伯が横へ回る。
ホブゴブリンが気付く。
剣を振るう。
避ける。
修司が踏み込む。
盾で殴る。
体勢が崩れる。
「今だ!」
佐伯が走る。
ロングソードを振る。
ホブゴブリンが盾を出す。
止まる。
だが、その一瞬で十分だった。
修司の剣。
ホブゴブリンの脇腹を捉える。
血が飛ぶ。
ホブゴブリンが吠える。
振り向く。
その隙を逃がさない。
佐伯が踏み込む。
一閃。
剣が首を捉えた。
ホブゴブリンの身体が揺れる。
数歩。
後退。
そして静かに崩れ落ちた。
数秒後。
身体は魔素となって消える。
残ったのは魔石だけだった。
「終わったか。」
修司が息を吐く。
「ああ。」
「やっぱり一体だけだったな。」
彩花が測定器を見る。
「魔素は高いです。」
「でも異常値じゃない。」
「微妙なところですね。」
十八階層。
ホブゴブリン一体。
魔素濃度上昇。
調査結果としてはそんなところだろう。
問題はない。
ただ、楽観できるほどでもない。
「行くか。」
修司が階段の先を見る。
十九階層。
第三ダンジョンの未知領域。
調査は、まだ終わっていなかった。




