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31歳中堅探索者、今日も潜る  作者: 上畑 優平
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第四十二話 結果

 第十五階層での戦闘を終えた一行は、そのまま地上への帰路についた。

 目標は達成している。

 無理に探索を続ける理由はない。

 体力にも余裕はある。

 だが、それと続行するかどうかは別の話だ。

 高橋を先頭に隊列を組む。

 神谷が前衛。

 西野が中央。

 水島が最後尾。

 帰り道も隊列は崩れない。

 行きに通った通路を戻るだけ。

 それでも気を抜く者はいなかった。

「思ったより静かですね。」

 西野が小声で言う。

「帰りに事故る奴は多い。」

 佐伯が答える。

「探索者が死ぬのは戦闘中より戦闘後だ。」

「気が緩むからですか?」

「ああ。」

「終わったと思った時が一番危ない。」

 四人は真剣な表情で頷く。

 結局、地上へ戻るまで戦闘は一度も起きなかった。

 管理棟へ戻る。

 時計を見る。

 午後三時過ぎ。

 予定時間内だった。

「お疲れさまでした。」

 高瀬が受験者達へ声を掛ける。

「これで実地試験は終了です。」

 四人が一斉に息を吐いた。

 緊張が解けたらしい。

「結果発表は一時間後に行います。」

「それまでは自由に休憩してください。」

 受験者達は会議室を後にする。

 高瀬は資料を机へ並べた。

「どうでしたか?」

「悪くなかった。」

 佐伯は椅子へ座る。

「四人とも合格でいいと思う。」

「理由を聞いても?」

「まず高橋。周りを見てる、盾役としても悪くない。

指示も落ち着いてた。」

 高瀬が頷く。

「神谷は?」

「最初は焦っていた、が、途中で修正した。

人の話を聞ける奴は伸びる。」

「水島は?」

「一番危なかったな。」

 高瀬が顔を上げる。

「ただ、自分の意見を引っ込めることが出来た、突っ込みたがる奴は多い。

でも仲間の判断に従えるなら問題ない。」

「西野さんは?」

「一番安定してた、魔法使いは焦ると魔力を無駄に使う。

あいつは撃つ場面を選んでた。」

 高瀬はペンを置いた。

「かなり高評価ですね。」

「Dランクは強さの証明じゃない。

最低限、安心して背中を預けられるかどうかだ、今日は全員問題なかった。」

 一時間後。

 受験者達が再び会議室へ集まる。

 高瀬が立ち上がった。

「結果を発表します。」

 四人の表情が固くなる。

「高橋さん。」

「合格です。」

「神谷さん。」

「合格です。」

「西野さん。」

「合格です。」

「水島さん。」

「合格です。」

 一瞬の静寂。

 次の瞬間、全員の表情が緩んだ。

 神谷が小さく拳を握る。

 高橋は安堵したように息を吐いた。

 西野は目を閉じる。

 水島は天井を見上げて笑っていた。

「おめでとうございます、本日をもって、皆さんはDランク探索者となります。」

 高瀬が頭を下げる。

 拍手が起きる。

 探索者庁職員達も笑顔だった。

「佐伯さん!」

 神谷が駆け寄ってくる。

「ありがとうございました。」

「俺は何もしてない。」

「それでもです。」

 神谷は頭を下げた。

「前に助けてもらった時も、今日も。

本当にありがとうございました。」

「礼なら高瀬に言え。

実力を示して、合格を決めたのはお前達だ。」

 神谷は少し笑う。

「そうですね。」

「でも、一つだけ覚えておけ。

Dランクになったからって強くなったわけじゃない。」

明日からもやることは同じだ、生きて帰る、だ。」

 神谷は真剣な顔で頷いた。

「はい。」

 窓の外を見る。

 夕方の光が管理棟へ差し込んでいる。

 今日、四人の探索者が一つ上のランクへ進んだ。

 きっとこれから失敗もする、怪我もする。

 それでも生き残れば、また次がある。

 探索者という仕事は、その繰り返しだった。


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