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31歳中堅探索者、今日も潜る  作者: 上畑 優平
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第四話 調査依頼

『担当職員が現地へ向かっています』

 早い対応に関心をする。

『申し訳ありませんが、佐伯様には現地にて担当者に、当時の状況説明をしていただきたいのですが』

 そうなるだろうとは薄々思っていたが、一応確認する。

「断ることは可能か?」

『強制ではありませんが、できることならお願いしたいと…』

「わかった、現地で落ち合おう」

 俺は通信を切り、第七階層スライムが現れた場所に赴く。

 多少面倒ではあるが、協力して恩を売っとくのも悪くない。

 それに、レッドスライム程度なら報告だけして終わりと思っていた。

 もっとも、ゴブリンの件も伝えれば話は変わるかもしれない。

 十分ほど待つと、通路の奥から足音が聞こえてきた。

 現れたのは二十代半ばくらいの女性だった。

 黒いジャケット、探索者庁の腕章、腰にはショートソード、背中には短弓。

 探索者庁職員は最低限の戦闘訓練を受けていると聞いたことがある。

 女性は俺を見ると小さく頭を下げた。

「探索者庁第三管理課の高瀬です。佐伯さんで間違いないですか?」

「そうだけど」

「報告ありがとうございます、レッドスライムの確認に来ました」

「もう倒した」

「そうですよね、C級探索者ですし」

「信用されてるのか、面倒事扱いされてるのか分からないな」

「半々です」

 即答だった。

 嫌な答えだ。

「レッドスライムだけならよかったんだけどな」

「他にもいたんですか?」

「ゴブリンが二匹…十階層で倒した」

 高瀬の動きが止まる。

「……え?」

「ゴブリンですか?」

「そうだ」

 ポーチから魔石を取り出して渡す。

「ほら」

 高瀬は魔石を受け取ると、しばらく見つめていた。

「間違いないですね」

「ゴブリンの魔石です」

「東京第三はFランクなんですが……」

「俺もそう思う、ただ出たものは仕方ない。討伐した場所を案内する」

 二人で十階層の採掘跡へ戻る。

 高瀬は端末を片手に周囲を確認した。

 魔物の死骸は残らない。

 床には戦闘の痕跡だけが残っている。

「異常魔素濃度は出ていません、通路の崩落もないですね」

「原因不明か」

「そうなります」

 高瀬は端末を操作しながらため息を吐いた。

「明日、上の人たちに報告します」

「閉鎖になるか?」

「利用者も多いですし、レッドスライム一匹とゴブリン二匹だけで閉鎖は難しいと思います。ただ調査は必要ですね」

「俺は?」

「協力してもらうことになると思います」

「日当は出るのか?」

「危険手当込みで二十万円出します」

「やる」

「即答ですね」

「最近このダンジョンばっかり潜ってて、稼ぎが少ないからな」

「探索者は現金ですね」

 高瀬は呆れたように笑うのだった。


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