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31歳中堅探索者、今日も潜る  作者: 上畑 優平
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第二十三話 東京第三ダンジョン 3

 十五階層から十六階層へ降りる階段を下りる。

 簡易測定装置を見る。

 十七・一。

 少しずつ上がっている。

 ただ、第六ほどではない。

 通路を進む。

 気配察知。

 人が三人、魔物が二匹。

 距離は四十メートルほど。

 通路の先で三人組がゴブリン二匹と戦っている。

 前衛の男、槍を持つ女。

 後方で端末を操作する男。

 探索者庁の調査班らしい。

 前衛の男が踏み込む。

 剣が閃く。

 だが、ゴブリンは身を低くして避けた。

 空振った勢いで男の体勢が僅かに流れる。

 その瞬間、後ろにいた女が一歩前へ出た。

 槍が真っ直ぐ伸びる。

 鋭い突き。

 切っ先はゴブリンの胸を正確に貫いた。

 ゴブリンは数歩よろめき、声を上げる間もなく魔素へ還る。

 残る一匹。

 岩陰へ回り込んでいたらしい。

 後方の男が叫ぶ。

「左!」

 前衛の男は振り向く。

 迷わない。

 半歩踏み込み、横薙ぎ。

 剣先はゴブリンの首を捉えた。

 首と胴が離れる前に身体は崩れ、淡い粒子となって消えていく。

 床に残ったのは二つの魔石だけだった。

「終わったみたいだな」

 三人はこちらを見る。

 前衛の男が口を開いた。

「探索者か?」

 短剣を腰に差した男が立ち上がる。

「ああ…佐伯、Cランクだ。探索許可をもらって潜ってる」

 男は納得したように頷いた。

「探索者庁調査班の宮本だ、槍使いの村井、後ろのは岩崎」

 村井は軽く頭を下げる。

 岩崎は端末から顔を上げた。

「測定値は十七・一です」

「こっちも同じだ」

 佐伯は簡易測定装置を見せる。

 数値は一致していた。

「魔物はどうだ?」

「ゴブリンばかりですね」

 宮本は水の入ったペットボトルに口をつける。

「数は多い、魔素も増えてる。ただ、それだけだ」

「思ったより普通だな」

「そうなんだよ」

 村井は苦笑した。

「俺達も最初は身構えてたんだ。未知区域、魔素上昇、暫定Dランク。絶対面倒なことになると思ってた」

「結果は?」

「ゴブリン祭り」

「それはそれで面倒だな」

「探索者は稼げるから文句はないだろう?俺たちはいくら魔石が出ようと同じだ。あんまり多いと特別 手当は出るが、ゴブリンくらいなら知れてるしな」

 宮本は笑う。

「ゴブリンの魔石が一万五千円、十匹倒せば十五万、探索者が集まる理由には十分だ」

「違いない」

 岩崎は測定装置を確認する。

「十六階層で十七・一、十七階層は十七・四でした、十八階層はまだ見てません」

「俺もこれから降りるが、一緒に行くか?」

「いや」

 宮本は首を振る。

「少し休憩してからだ、こっちは後から行くよ」

「了解」

 十六階層、十七階層、魔素は増えている。

 ゴブリンも増えている、ただ、それだけだ。

 暫定Dランクという評価は間違っていない。

 後は十八階層を見るだけ。

 せっかく許可をもらったんだ、最後まで確認して帰ることにしよう。


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