第二十三話 東京第三ダンジョン 3
十五階層から十六階層へ降りる階段を下りる。
簡易測定装置を見る。
十七・一。
少しずつ上がっている。
ただ、第六ほどではない。
通路を進む。
気配察知。
人が三人、魔物が二匹。
距離は四十メートルほど。
通路の先で三人組がゴブリン二匹と戦っている。
前衛の男、槍を持つ女。
後方で端末を操作する男。
探索者庁の調査班らしい。
前衛の男が踏み込む。
剣が閃く。
だが、ゴブリンは身を低くして避けた。
空振った勢いで男の体勢が僅かに流れる。
その瞬間、後ろにいた女が一歩前へ出た。
槍が真っ直ぐ伸びる。
鋭い突き。
切っ先はゴブリンの胸を正確に貫いた。
ゴブリンは数歩よろめき、声を上げる間もなく魔素へ還る。
残る一匹。
岩陰へ回り込んでいたらしい。
後方の男が叫ぶ。
「左!」
前衛の男は振り向く。
迷わない。
半歩踏み込み、横薙ぎ。
剣先はゴブリンの首を捉えた。
首と胴が離れる前に身体は崩れ、淡い粒子となって消えていく。
床に残ったのは二つの魔石だけだった。
「終わったみたいだな」
三人はこちらを見る。
前衛の男が口を開いた。
「探索者か?」
短剣を腰に差した男が立ち上がる。
「ああ…佐伯、Cランクだ。探索許可をもらって潜ってる」
男は納得したように頷いた。
「探索者庁調査班の宮本だ、槍使いの村井、後ろのは岩崎」
村井は軽く頭を下げる。
岩崎は端末から顔を上げた。
「測定値は十七・一です」
「こっちも同じだ」
佐伯は簡易測定装置を見せる。
数値は一致していた。
「魔物はどうだ?」
「ゴブリンばかりですね」
宮本は水の入ったペットボトルに口をつける。
「数は多い、魔素も増えてる。ただ、それだけだ」
「思ったより普通だな」
「そうなんだよ」
村井は苦笑した。
「俺達も最初は身構えてたんだ。未知区域、魔素上昇、暫定Dランク。絶対面倒なことになると思ってた」
「結果は?」
「ゴブリン祭り」
「それはそれで面倒だな」
「探索者は稼げるから文句はないだろう?俺たちはいくら魔石が出ようと同じだ。あんまり多いと特別 手当は出るが、ゴブリンくらいなら知れてるしな」
宮本は笑う。
「ゴブリンの魔石が一万五千円、十匹倒せば十五万、探索者が集まる理由には十分だ」
「違いない」
岩崎は測定装置を確認する。
「十六階層で十七・一、十七階層は十七・四でした、十八階層はまだ見てません」
「俺もこれから降りるが、一緒に行くか?」
「いや」
宮本は首を振る。
「少し休憩してからだ、こっちは後から行くよ」
「了解」
十六階層、十七階層、魔素は増えている。
ゴブリンも増えている、ただ、それだけだ。
暫定Dランクという評価は間違っていない。
後は十八階層を見るだけ。
せっかく許可をもらったんだ、最後まで確認して帰ることにしよう。




