第二十二話 東京第三ダンジョン 2
ゴブリンを片付けて先へ進む。
第三ダンジョンの十一階層は通路が広い。
壁は岩肌むき出し、天井は少し高い。
構造そのものは以前と変わらないようだ。
ただ、出てくる魔物だけが変わっている。
気配察知。
三体。
距離は三十メートル。
ゴブリン二匹。
ポイズンスパイダー一匹。
「蜘蛛まで出るのか」
ポイズンスパイダーは大型犬ほどの大きさがある。
足は長く、牙には毒。
討伐自体は難しくないが、噛まれると面倒だ。
ゴブリンが地面を蹴る。
短剣を持った個体が先行し、棍棒を持つ個体が半歩遅れて続いた。
動きは悪くない。
ただ、人間相手の戦いを知らない。
俺は足を止めたままロングソードを抜く。
一匹目が飛び込む。
短剣が喉元を狙う。
剣を軽く傾ける。
金属が擦れる音。
弾かれた短剣は大きく流れ、ゴブリンの身体が無防備になる。
踏み込む。
振り下ろす。
袈裟斬り。
肩口から腰まで切り裂かれたゴブリンは声を上げる間もなく魔素へ還った。
二匹目は怯まない。
棍棒を頭上まで振り上げる。
遅い。
半歩前へ出る。
懐へ潜る。
横薙ぎ。
腹を裂かれたゴブリンは数歩よろめき、そのまま崩れ落ちる。
身体は淡い粒子へ変わり、床には魔石だけが残った。
残る一匹。
ポイズンスパイダーは壁を蹴り、高い位置から飛び掛かってきた。
牙には紫色の毒液。
噛まれれば解毒剤が必要になる。
面倒だ。
俺は身体を捻る。
牙が肩先をかすめて通り過ぎる。
着地。
隙が出来る。
剣を振る。
一閃。
前脚が二本飛ぶ。
蜘蛛は体勢を崩した。
逃がさない。
踏み込む。
首元へ剣を突き立てる。
ポイズンスパイダーは足を痙攣させ、数秒後には魔素となって消えた。
残ったのは魔石だけだった。
ポーチへ入れる。
魔石は七個。
午前中だけで十万円は超えている。
十二階層、十三階層。
戦闘は続く。
ゴブリン。
ゴブリン。
時々ポイズンスパイダー。
十五階層へ着いた頃には、戦闘回数は十回を超えていた。
簡易測定装置を見る。
十六・八。
少し上がっている。
「第六ほどじゃないな」
周囲を見るが、人の気配は無い。
探索者庁の調査班は十六階層以降にいると言っていた。
時計を見と、まだ昼前。
十六階層までは、あと少しだ。
せっかくせっかく来たんだ、調査班の顔くらいは見て帰ろう。




