第二十話 第三ダンジョン調査報告
管理棟から少し歩いた場所にある喫茶店。
高瀬は窓際の席に座っていた。
テーブルの上にはアイスコーヒー。
隣には分厚い資料の束。
「早かったですね」
「近かったからな」
「注文しますか?」
「アイスコーヒー」
「奢りませんよ」
「知ってる」
店員へ注文を済ませる。
高瀬は資料を開いた。
「第三ダンジョンの調査ですが、一応終わりました」
「どうだった?」
「十五階層から先は正式に十六階層から十八階層として登録される予定です」
「やっぱり増えてたか」
「はい」
「魔素濃度も上昇しています」
高瀬は資料を見せる。
「十五階層で十五・八、十六階層で十六・四、十八階層では十七・三でした」
「第六よりは低いな」
「そうですね。ただ、出現する魔物が変わっています」
「ゴブリンか」
「はい」
「ゴブリン主体です、ポイズンスパイダーも出ています」
「それならDランクだな」
「探索者庁も同じ判断です」
高瀬は資料をめくる。
「第一階層から十階層までは以前と変わりません、初心者講習も続ける予定です。現在追加調査中ですが、暫定的に十一階層以降はDランク以上の方にのみ探索許可を出すことになりました。調査の妨げにならないようにしていただく前提ですが」
「なるほど」
「正式なランク変更は?」
「まだです、探索者庁としては暫定Dランク相当としています。調査が終われば変更されると思います」
アイスコーヒーが運ばれてくる。
一口飲む。
「興味ありますか?」
「まぁな…Dランクになったなら、一回潜ってみるか」
「危険ですよ」
「俺はこれでもCランクの探索者なんだが、Dランクダンジョンなら問題ない」
「それもそうですね」
高瀬は資料を閉じた。
「佐伯さんもありがとうございました」
「俺は入口を見つけただけだ」
「十分ですよ」
会計を済ませる。
もちろん別々だ。
店を出る。
空は少し赤くなり始めていた。
第三ダンジョン、少し前までは講習用のFランクだった。
今はゴブリンが徘徊する暫定Dランク。
ダンジョンも変わる、探索者も変わる。
さっそく東京第三の探索許可をもらって、潜ることにするか。
さて、そうと決まったら、帰って明日の弁当の準備でもしよう。
探索者の朝は早い。




