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31歳中堅探索者、今日も潜る  作者: 上畑 優平
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第十六話 臨時パーティ 5

 昼休憩を終えた俺たちは、十八階層へ降りていた。

 通路はさらに広くなり、天井も高くなる。

 壁面に埋まった鉱石の数も増え、青白い光が足元を照らしていた。

 彩花は測定装置を操作する。

「十八階層到達。時刻十二時四十分。魔素濃度は正常です」

「相変わらずだな」

「そうですね」

 彩花は苦笑した。

「測定器だけ見れば、今日の依頼はもう終わったようなものです」

「十五万円もらって帰れるなら十分だろ」

「三人で分けるんだぞ」

「分かってる」

 修司は笑いながら大剣を肩へ担ぐ。

「探索者庁って意外と金持ちなんだな」

「事故が起きる前に確認したいんでしょう」

「閉鎖なんてしたら面倒そうだしな」

「役所は面倒なことが嫌いなんです」

「探索者も同じだ」

 三人で歩き始める。

 気配察知に反応があった。

 五体。

 距離は三十メートルほど。

「来るぞ」

「何だ?」

「ホブゴブリン三匹。リザードマン二匹だ」

 修司は口元を緩めた。

「久しぶりに多いな」

「前は任せます。佐伯さんは右をお願いします」

「了解」

 通路の先から魔物が姿を現した。

 ホブゴブリンは粗末な剣を持っている。

 リザードマンは槍を構えていた。

 修司は一気に距離を詰める。

 大剣が振り下ろされる。

 一匹目のホブゴブリンは反応できず、そのまま吹き飛んだ。

 残る二匹は左右へ散る。

 俺は右側へ動いた。

 リザードマンが槍を突き出す。

 速い。

 ただ、避けられないほどじゃない。

 身体を半歩ずらす。

 槍先が肩をかすめる。

 ロングソードを振る。

 刃は鱗を裂き、リザードマンは後退した。

「少し粘るな」

「前からこんなもんじゃないか?」

 修司はホブゴブリンを切り伏せながら言う。

「そうかもしれない」

 俺は踏み込む。

 二撃目。

 三撃目。

 リザードマンは剣を受け止めようとしたが、力負けした。

 身体は魔素へ変わり、魔石だけが床へ転がる。

 修司も最後の一匹を倒していた。

 戦闘は終わった。

 彩花は測定装置を確認する。

「異常なしです」

「数値も変わらないか」

「変わりません」

 彩花は端末へ記録を入力した。

「戦闘技術が少し上がっているように感じた、と書いておきます」

「採用されると思うか?」

「難しいでしょうね」

「だろうな」

 修司は魔石を拾い集める。

「まあいい。異常が無いなら仕事は終わりだ」

「二十階層まで行くんだろ」

「そうだった」

「帰ったら焼肉行かないか?」

「報酬が振り込まれてから考える」

「現金だな」

「探索者なんてそんなもんだ」

 彩花は苦笑しながら荷物を背負い直した。

「次は十九階層ですね」

 俺は測定装置を持ち上げる。

 まだ時間はある。

 二十階層まで行っても、管理棟へ戻る頃には夕方前だろう。

 今日の夕飯が焼肉になるかどうかは、修司の気持ち次第だった。


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