第十六話 臨時パーティ 5
昼休憩を終えた俺たちは、十八階層へ降りていた。
通路はさらに広くなり、天井も高くなる。
壁面に埋まった鉱石の数も増え、青白い光が足元を照らしていた。
彩花は測定装置を操作する。
「十八階層到達。時刻十二時四十分。魔素濃度は正常です」
「相変わらずだな」
「そうですね」
彩花は苦笑した。
「測定器だけ見れば、今日の依頼はもう終わったようなものです」
「十五万円もらって帰れるなら十分だろ」
「三人で分けるんだぞ」
「分かってる」
修司は笑いながら大剣を肩へ担ぐ。
「探索者庁って意外と金持ちなんだな」
「事故が起きる前に確認したいんでしょう」
「閉鎖なんてしたら面倒そうだしな」
「役所は面倒なことが嫌いなんです」
「探索者も同じだ」
三人で歩き始める。
気配察知に反応があった。
五体。
距離は三十メートルほど。
「来るぞ」
「何だ?」
「ホブゴブリン三匹。リザードマン二匹だ」
修司は口元を緩めた。
「久しぶりに多いな」
「前は任せます。佐伯さんは右をお願いします」
「了解」
通路の先から魔物が姿を現した。
ホブゴブリンは粗末な剣を持っている。
リザードマンは槍を構えていた。
修司は一気に距離を詰める。
大剣が振り下ろされる。
一匹目のホブゴブリンは反応できず、そのまま吹き飛んだ。
残る二匹は左右へ散る。
俺は右側へ動いた。
リザードマンが槍を突き出す。
速い。
ただ、避けられないほどじゃない。
身体を半歩ずらす。
槍先が肩をかすめる。
ロングソードを振る。
刃は鱗を裂き、リザードマンは後退した。
「少し粘るな」
「前からこんなもんじゃないか?」
修司はホブゴブリンを切り伏せながら言う。
「そうかもしれない」
俺は踏み込む。
二撃目。
三撃目。
リザードマンは剣を受け止めようとしたが、力負けした。
身体は魔素へ変わり、魔石だけが床へ転がる。
修司も最後の一匹を倒していた。
戦闘は終わった。
彩花は測定装置を確認する。
「異常なしです」
「数値も変わらないか」
「変わりません」
彩花は端末へ記録を入力した。
「戦闘技術が少し上がっているように感じた、と書いておきます」
「採用されると思うか?」
「難しいでしょうね」
「だろうな」
修司は魔石を拾い集める。
「まあいい。異常が無いなら仕事は終わりだ」
「二十階層まで行くんだろ」
「そうだった」
「帰ったら焼肉行かないか?」
「報酬が振り込まれてから考える」
「現金だな」
「探索者なんてそんなもんだ」
彩花は苦笑しながら荷物を背負い直した。
「次は十九階層ですね」
俺は測定装置を持ち上げる。
まだ時間はある。
二十階層まで行っても、管理棟へ戻る頃には夕方前だろう。
今日の夕飯が焼肉になるかどうかは、修司の気持ち次第だった。




