表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31歳中堅探索者、今日も潜る  作者: 上畑 優平
PR
15/17

第十五話 臨時パーティ 4

 十七階層へ到着した頃には、時計は十二時を回っていた。

 通路の先には少し広い空間がある。

 壁際には古い木箱が積まれ、床には焚き火の跡も残っていた。

 昔の探索者が休憩場所として使っていたのかもしれない。

「ここなら昼飯にちょうどいいな」

 修司は大剣を壁へ立て掛ける。

 彩花も荷物を下ろした。

 俺はリュックから弁当箱を取り出す。

 蓋を開ける。

 卵焼き。

 ウインナー。

 冷凍食品の唐揚げ。

 昨日の残りのきんぴらごぼう。

「相変わらずだな」

「何がだ」

「弁当」

「自分で作ってるだけ偉いだろ」

「否定はしません」

 彩花は笑いながらコンビニのおにぎりを取り出した。

 修司はカップ麺だ。

 魔道具式の加熱器を使い、お湯を沸かしている。

「由香がいた頃は弁当作ってくれてたんだけどな」

「懐かしいですね」

「もう二年くらいか」

「二年三か月です」

「細かいな」

「覚えてるだけです」

 彩花は少し笑う。

 修司は麺をすすった。

「最初は向こうでも探索者やると思ってたんだ」

「結婚して、子供産んで、今じゃ大阪第八で講習の講師だ。人生分からないもんだな」

「探索者辞めたのか」

「完全には辞めてないですよ、月に一回くらい潜ってるみたいです」

「へぇ」

 修司は俺を見る。

「由香が抜けてから色々探したんだぞ」

「サーチャーか?」

「そう。何人か組んだけど駄目だった。前に出たがる奴、後ろしか見ない奴、戦闘出来ない奴、索敵だけ上手い奴、結局続かなかった」

「俺でいいのか?」

「良くない。愛想悪い、口数少ない、酒飲み、弁当」

「最後は関係ないだろ」

「でも信用は出来ます」

 彩花はお茶を飲みながら言った。

「探索者って強さだけじゃないんですよ、お金をごまかさない、無理をしない、撤退する時はちゃんと撤退する、困っている人を見捨てない。一緒に潜るなら安心です」

「そんな評価されたことないな」

「俺はしてるぞ」

 修司は即答した。

「彩花は?」

「してますよ」

「俺は?」

「半分くらいです」

「何でだよ」

「測定装置壊したことあるから」

「一回だけだ!」

「三十万円でしたね」

「高かったな」

「払ったの俺だけど」

 三人は笑う。

 久しぶりに誰かと飯を食っている。

 話題は昔の仲間。

 装備の値段。

 最近高くなったポーション。

 そんな話ばかりだ。

 ソロは気楽だ。

 誰にも気を遣わない。

 帰りたくなったら帰ればいい。

 ただ、たまにはこういう昼飯も悪くない。

「そろそろ行くか」

 修司は立ち上がる。

「次は十八階層だ」

「食後すぐ動くのか」

「カップ麺一個で腹一杯になる歳じゃない」

「三十四歳が言う台詞か?」

「探索者は胃袋だけ若いんだよ」

 彩花は荷物を背負い直す。

 俺も空になった弁当箱をしまった。

 次の測定地点までは、あと十分ほど歩けば着くはずだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ