第十三話 臨時パーティ 2
翌朝。
午前七時五十分。
東京第六ダンジョン管理棟前。
俺が到着すると、既に二人の姿が見えた。
修司は壁にもたれながら缶コーヒーを飲んでいる。
隣には彩花。
端末を操作しながら何か確認していた。
「おう!」
修司は俺を見つけると手を振る。
「久しぶりだな」
「二年ぶりくらいか?」
「一年十か月です」
彩花が即答した。
「細かいな」
「佐伯さんが覚えてないだけです」
「そうかもしれない」
彩花は笑う。
変わらない。
落ち着いた雰囲気。
修司が暴走すると止める役。
夫婦というより保護者だ。
「それで?」
「測定装置ってどれだ?」
彩花はリュックから銀色の箱を取り出した。
弁当箱くらいの大きさ。
画面とボタンが付いている。
「探索者庁製です」
「魔素濃度と魔物討伐数を入力すると、自動で記録してくれるそうですよ」
「便利だな」
「便利ですが重いです」
「二キロあります」
「それで俺か」
「そういうことです」
修司は笑う。
「俺が持つと壊しそうだしな」
「壊すな」
「彩花は?」
「回復役に荷物持ちは無理です」
「納得」
三人で管理棟へ入る。
受付には探索者庁職員がいた。
「藤堂パーティですね」
「はい」
「本日はこちらを」
紙を受け取る。
内容は簡単だった。
十五階層から二十階層。
一階層ごとに測定。
異常個体を確認した場合は記録。
帰還後、装置を返却。
それだけ。
「本当に探索のついでですね」
彩花が言う。
「そうですね」
「探索者庁としても、現時点では異常とは判断していません」
「ただ」
「三組中二組が同じことを言うなら、一応確認しておこうという話です」
「役所だな」
「役所ですから」
どこかで聞いた返事だった。
転移陣を抜ける。
第十五階層。
湿った洞窟。
苔の匂い。
遠くから獣の鳴き声が聞こえる。
修司は大剣を肩へ担ぐ。
「久しぶりだな」
「三人パーティ」
「四人だろ」
俺は測定装置を持ち上げる。
「こいつも数に入れるならな」
彩花は苦笑した。
「元々は四人でしたね」
「由香も元気にしてるみたいですよ」
「大阪第八でしたっけ?」
「ああ」
「この前子供が生まれたって連絡が来た」
「そうか」
「幸せそうで何よりだ」
修司は笑う。
「お前もそろそろ結婚しろよ」
「無理だ」
「何でだよ」
「探索者は将来が不安だからな」
「その歳で言うことじゃねぇ」
「三十一だから言うんだ」
その時だった。
気配察知に反応。
三体。
距離は二十メートル。
「来るぞ、ホブゴブリン三匹」
修司は笑う。
「よし」
「まずは肩慣らしだな」
三人は武器を抜いた。




