18犠打目
ついに来たベスト16。残り4つ勝てば甲子園! ここまでくれば全高校が強豪だ。
10校が甲子園出場経験ありで13が私立高校。そのどちらにもあてハマってないのは津浜ともう1校だけである。
勢いののる津浜ナインは今日も今日とて、極端に狭いグラウンドでせせこましいバント練習の最中。キャプテン白縞のバント技術はあがらないままだが。
「あと4つだぞ、島中!」
「こっからが難しいんだろ、こっからはシードの強豪校と当たりまくる」
「4つ勝ってきたんだからあと4つは勝てる!」
「……でもバント攻撃は前の川野相手に封じ込まれたぞ、適切なシフトとバントをさせない投球でな。これから対戦する高校は川野を参考にして攻めてくるだろ」
「そのうえを行けばいい」
「なんかアイデアあるのか……」
「うちには今宮と平野がいる……あいつらは自分で打開する力がある」
「なんだよ、他人任せかよ……」
「信じてるんだよ、二人をな!」
べスト16の対戦高校は甲子園出場春夏合計8回の超強豪“港南台大付属学園”である。
エースはプロ注目の147キロ右腕菅原だが、彼は津浜相手には温存される見込み。
「舐められたな、本当……次戦を考えて投げさせないを宣言か」
「いいんだよ皆うちを舐めてもらって、それで投手を温存してもらってこっちが漁夫の利を得ればいい」
「でも菅原温存でも田原とか川上とか今までの4校よりよほど手強いのが投げてくるらしいぞ」
「バント対策が知られて投手レベルも今までの数段上! まさに相手にとって不足ないな!!」
「オレらがむしろ相手にとって不足だらけだろうが……」
トーナメントが上に行くほど試合間隔はつまってあっという間に当日となる。
この辺りだと全校応援も当たり前で寂しかった津浜スタンドも久々の旋風で盛り上がりつつある。
それでもマンモス私立の港南台大付属と比べると比較にはならない。
「まだあの当時の盛り上がりまではいかないな」
港南台大付属コーチ大和康介48歳、津浜OBであの30年前のベスト4旋風の主力である。
「まさかこんな上の方で母校とやるとはなあ……まあぶっ潰すだけだがな。目標20ー0!!」
かつての旋風を起こした大先輩が相手ベンチにいるとはつゆ知らずの津浜ナインは高すぎる壁にも意識過剰にならず、徐々にテンションを上げている。
ところがここで思わぬバットニュースが舞い込んできてしまう。
「ええ?平野が練習で右足をくじいた!」
平野といえばバント野球の要で遊撃守備も試合を重ねるほど精度を上げてきた誰がどう見ても令和の津浜旋風の主役である。
その平野が軽い怪我とはいえスタメン落ちとなれば戦力は大幅ダウン確実だ。白縞は代替選手に悩む。
「2番ショート……どうしますか監督」
「ショートできるのは3年生の荒木ととりあえずどこでも守れれる便利屋緒方と……」
「僕も行けますよ」
「白縞じゃ遊撃に飛んだの全部ヒットにしてしまうだろ! 緒方でも守れるだけで平野とは比較にはならない」
「ということは荒木ですか……」
「荒木か……うーんあいつしかいないが荒木ねえ、荒木荒木……」




