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探検隊のように輝くヘルメットを被った2人はトンネルの入り口付近でライトを消すと周囲を見渡す。

1度来た時と変わらない様子の外に、ひとまずは敵がいないと判断しトンネルを出て茂みに身を隠した。


「しかし、かなり強引だったな。見てて冷や冷やしたよ」


先ほどのトニーとラシェルのやりとりを思い出す。

まさか出まかせを言ってまで入るとは思っていもいなかったので焦ったが、まぁ結果オーライと言えるか。


「あのままだと何も無いまま終わってたでしょ? そんなのせっかく来たのに悔しいじゃん。それに解決した後に来ても石も貰えないかも知れないし」


少し離れた茂みでラシェルが返事をする。

もしかしてジャケットをらしくないと弄ったことを少し気にしてくれているのかもしれない。

危険を承知の上でもここに来る行動を取ってくれたラシェルに、届くかどうかわからない感謝の念を送った。


茂みから先を見渡すが動物などが動いている様子もなく、閑散としている。

居住区への道は蛇がうねったような曲がりをして直線とはなっていないものの、側道に生える木々の合間からある程度先までは確認する事が出来た。


「何もいないようだな…」


先に行った人たちの気配すらしないという事は既に居住区辺りまで進んでいるのかもしれない。

しゃがんだ状態から立ち上がると、二人は周囲を警戒しつつ居住区へと歩き始めた。


「もし上手く採石場までたどり着けて、先に行った人たちが魔物とかと戦っている最中だったら隙を見て良さそうな石を持って帰っちゃおうよ」


「そんなの出来るか? 出来たとしてもその時に身に危険が及ばない状態である事を祈るよ…」


歩み緩やかに、警戒しつつ進むが一向に気配を感じられない為、心なしか気持ちが大きくなりどんどん歩速が上がっていく。

夜の遊歩道とも変わらない、そんな雰囲気の中を歩き続けると居住区らしきものが遠くに見える場所までたどり着いた。


「静かだな…」


先ほどと同じく茂みに隠れて様子をうかがう。

トンネルから周囲を見渡した時と同じように、遠巻きからではあるが居住区も閑散としており大きな動きは見受けられない。

つまり戦闘などは行われていないという事だ。


「先発の人たちは何処に行ったんだ?」


少なくとも自分たちよりも先に出たはずなので、もう居住区辺りにたどり着いていてもおかしくはない。

にもかかわらずそれらしき気配も感じないという事は…


「やられた後…」

「さっき通った道で人が通ったような痕跡があったんだけどそっちを歩いて行ったのかな?」


そうだった。

獣道ともいうべきか、道中で草木がなぎ倒された部分があったがその時は動物とかが作った物かとあまり気にしてはいなかった。

ここまでに血痕や倒れた屍もない。

そこを通って行ったと思った方が自然…、いや良いかもしれない。


「正面からじゃなくて、後ろから奇襲ー!ってのを狙ってるのかな?」


自分たちにはわからないが何か隙をつく案を思いついたのかもしれない。

どちらにせよ、居住区は落ち着いた様相を呈している。

このままここで待機してても仕方がないので、素人なりに考えた死角であろう位置を取りつつ目的地へと近づき始めた。



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「ねぇねぇ、あれってそうじゃない?」


しゃがんだ状態でラシェルが指す先に黒い塊が見える。

その塊は居住区の門に乗っかり、無風の中ではあるがまるで括り付けられた風船のように不規則に揺れていた。


「エンヤか…」


「多分ね、見張りか何かだと思う」


よく見ると門の上だけでなく、支柱付近と少し離れた位置にそれぞれ黒い塊があり、計4匹となった。


「なんか見た感じ寝てるっぽいけど」


「昼行性かもな、もし猿がベースなら」


距離のせいもあるかも知れないが向こうはこちらに気が付いておらず、また周辺を見渡しているわけでもないので一見寝ているように見える。

ただ、寝てるからと言ってラッキーという訳にはいかないだろう。

獣のきゅう覚鋭く、近くを通ろうものならまず間違いなく見つかる。

門を外れて別の場所からという手もあるが、これだけの見張りをここにつけているという事は他所からの侵入経路は無い…もしくは他所も同等の数を配置しているかだ。



ここまで来て得る物なく帰るか。


先人たちが行動を起こすまで待つか。


それか、真っ向からぶつかっていくか…


普通に考えるともっとも選ぶ手段ではないのだが、昨日の検証の続きを試しておきたい。

そしてそれによりこの状況を打開できると、何故かはわからないがそういう自信がアキラにはあった。


「なぁラシェル、イチかバチかアイツらに奇襲をかけたいと思うんだがどうだろうか」


「おっ、その考えあたしは嫌いじゃないよ。で、どうするどうやる?」


嬉々とした目でこちらに聞いてくる。

中々武闘派な奴だ。


「食事の際に、オレンジが真の力だと言ったな」


「そうだっけ? まぁけど食べ物出せるって便利じゃん」


「厳密にいうとあれは嘘だ、というかおまけみたいなもんだ」


無限袋(インフィー君)に腕を突っ込みペグノン君(ギター)を取り出す。


「正確には演奏した曲目によった効果が演奏中に発揮されるという力だ」


電源を入れ、ボリュームを最大にする。


「それを今からお披露目したいと思う」


「おおー!良いね良いねー! してどういう感じにやるの?」


「シンプルに言うと、あのエンヤ達をボコボコにする」


茂みから立ち上がり、塊を見据えて構える。


「良し!やってみよーよ! で、そのお題は?」


後ろのポケットからピックを取り出すと弦に当て、奏でる。


「聞いてくれ! 10000の拳テンサウザンドフィスト!!!」

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