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空を見ると日が傾きかけており、物の影が徐々に成長を始めた頃に二人は再びトンネルへと向かう城門の前にたどり着いた。

まばらではあるが兵隊らしき人達がせわしなく動いており、丸太のような木材を持って町の外へと出て行った。


門のそばに立っているトニーを見つけると、兵隊たちの邪魔にならないように近づき声をかける。


「よぉお前たちどうしたんだ!?もしかして俺に会いに来てくれたのか?」


二人に向かってかけたような言葉だが、瞳はラシェルの方のみ向いている。

俺はお呼びでなかったかとアキラは独り言ちたが、ラシェルはそうだよーと気さくに会話を続ける。


「アンディに偶然会ってさー、この先の調査を依頼されたのよ。今向こうってどうなってるの?」


親指をクイクイっとトンネルの方へ傾ける。


「なんと、こんな素敵な女性を危ない所へ送りだそうだなんてアイツは何を考えてるんだ!」


トニーってこんなキャラだったのか。

初めて会った時は口は悪いが頼れる兄ちゃんってイメージだったが今はただのナンパ男のような表情になっている。

あのアンディと一緒にいた時に気に入ったのだろうか、まぁ確かにラシェルの見た目はかなり良くはあるが・・・。


「なんかこの町の人は行く事が出来ないって言ってたからよそ者のあたし達がね。何人か丸太を担いで走っていったけど柵でも作ってるの?」


「あぁそうだ、こちらへの侵入を少しでも防ぐ為にトンネル付近に作ってそこで見張る」


常に人を待機させて常時監視を行うらしい。


「ただ人員にも限りがあるのでどれだけこの流れを維持できるのか、アンディは自ら王都に応援の懇願をしにいくと言っていたが俺個人は期待が薄いと思っている」


特殊業務(よろづや)協会なんてあてにならないと手を振り、顔をしかめた。

自分たちはまだ接していないので雰囲気が掴めないが、トニーの中では協会の信頼度はかなり低いようだ。

アンディの話しぶりからも当てにしていない様子が伺えるので協会自体の世間の評価は厳しいものと考えられる。


「その点お前たちなら一度行って戻ってきた実績もあるから、協会なんぞよりも信用は出来るわな」


俺個人としては危ない事はして欲しくないんだがとラシェルの手を取り見つめる。


「大丈夫大丈夫、こそこそ隠れて見て回るだけだから。危なくなったら走って帰るし」


取られた手を勢いよく離すと、力強く腕を振り走っているゼスチャーをする。


「ははははそれなら大丈夫か!わかった、行く時はまた武器を貸すから声をかけてくれ。ただ今から向かうと日が落ちてくるから明日にしたほうが良いだろうな」


朝には兵舎にいるようにするよと言うと、トニーは手を振り丸太を持った人たちとトンネルへと向かっていった。

今から行って帰りが遅くなると心配させてもいけないし、どちらにせよリジー達には話しておく必要があるだろう。


「今日の所は引き上げるか」


「そうねー、まぁ明日ササっと見に行ってみよう。特に急ぐ予定も無いし、その後王都に行けばいいよね」


王都ってビザとか無いよね?と答えを出すことのできないこの世界のシステムについて話をしつつ、今日も厄介になる宿泊先へと二人並んで帰っていった。


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トンネルを囲むように何とか柵作成を終えると、トニー達は疲労のあまりその場で倒れこんだ。

道にいる魔物の駆除、重たい丸太の搬送と普段では滅多に行わない作業の連続に体も悲鳴を上げていた。

そのおかげでここまでの道の魔物はほぼ殲滅することが出来、かつ1日での突貫工事ながら中々の柵の出来栄えに、作業に携わった人間一同満足した表情をしている。

襲われないか不安の中での作業ではあったが魔物の類はトンネルを抜けてこず、エンヤ達との戦闘を行う必要が無かったため1日での完成に至ったと言える。


「あとはここから先に行かせないように死守しなくちゃな」


本来なら城壁での防衛を行えばよいのだが、城壁からトンネルまでの途中に王都へと別れる道がある。

そこを通行できるよう維持しなくては物資の輸送が出来なくなり防衛もままならなくなるのだ。

以前から改善してほしい旨、アンディと共に領主に出しているが過去問題が起こっていないという実績と、費用の捻出などを考えると無理だろう。


「みんなお疲れさん、今日は俺が残るから明日以降に備えて英気を養ってくれ」


トニーは近くの石に腰かけると未だ倒れている数人に声をかけ、帰宅を促す。

いつまで行うかはわからないが終わる時まで、常時監視できる状態を維持しなくてはならない。

帰っていく者たちの背中を見届けると、武器を傍らに置きトンネルを見つめる。


それにしても何で今更こんな採石場を魔物が襲ったのだろう。

ここから出る石の類は主に日常品の加工用で魔物が使うには無用の長物と思う。

噂に聞いた光る石という物を探しに来たのだろうか?

どちらにせよ魔物に着飾ったり、家具を作ったりというイメージが湧かないので結論を出すには至らなかった。


「すまない」


そんな事を考えていると不意に後ろから声をかけられた。

まだ誰か残っていたか。

そう感じて後ろを振り返るとそこには見覚えのない3人が立っていた。


「ハフの町と言うのは何処だろうか?」


「あ、あぁちょうどここから反対側の方角だ。あんたら何処から来たんだ?」


「王都の特殊業務(よろづや)で情報を聞きつけて来た。ハフの町の領主に会いたいんだが」


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