表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/43

29

雑貨屋から落胆交じりの表情で出てくると、商店が多そうな通りに向かい歩き出す。


「付き合ってもらって悪かったな、今度はラシェルが行きたい所に付き合うよ」


「おぉーあんがと!じゃあ早速食料品関連の店に行ってもいいかな?」


何か前世界になかった材料(主にカレーに投入する)物が無いかを見たいという事で、通りを歩いている人に場所を聞き青果店を目指す。


「そういえば残念だったね、トゲトゲ」


「あぁ、まぁ仕方ないかな。ただ一回探し出すとどうしても欲しくなるんだよな」


何となく買おうかなと思う物があり、それを探すが買う事が叶わない時。

アキラはどうしようもないほど買いたいという欲求が高まるタイプの人間だった。

この性格のせいで色々な物を散財したどうしても欲しくなるので仕方がない。


(あぁー欲しいなぁあのトゲトゲ。明日にでも王都に発とうかなぁ……)


先ほどの店主の話だと王都にだったら売っているかも知れないという話だった。

ここの感じだと恐らく何処へ行っても同じ、それなら王都で探した方が賢明だ。


「しかしどの位の値段で買えるんだろうか」


「なんか高そうな感じで言ってたよねあの人。採石場で見つけれたらタダなのにねー」


「いや、それはそれで盗掘とかになるだろ。流石に法律も何もわからない世界で捕まりたくはないぞ」


「あぁそっか。そこにいる魔物とかを追い払ったらお礼でくれないかなーなんて」


そりゃあ占拠されてる場所を取り返すなんて事が出来たら交渉の余地はあるかもしれないが。


「どちらにせよ俺は追々王都に向かおうと思ってる、ラシェルはどうするんだ?」


「うーん、あたしはどうだろうね?とりあえずこの場所で新しい物があれば勉強のために暫くここにいるかも」


そんな事を話していると、紹介された青果店にたどり着いた。

広く開かれたスペースに所狭しと青果が並べられているが、


「えっ?これだけ?」


殆どのスペースが同じ物で埋め尽くされており、小麦らしき袋の山、たまねぎやじゃがいものような物、バナナ、レモンのような物といった具合だ。


「いらっしゃい、どれがいるんだい?」


肥えた初老らしき男性が顔を出し声をかけてくる。


「あれ?あんた達はリジーと昨日一緒にいた人達じゃないか」


昨日の人だかりにいたのだろうか、リジーとも面識があるようで名前を上げて近くに寄ってくる。


「えぇ。リジーとはお知り合いで?」


「今日も果物を買っていってくれたよ。よかったら兄さんたちも買っていってくれ」


両手を大きく広げて売り場全体を覆うようにアピールしてくる。


「種類ってこれだけですか?」


ラシェルが置いてあるものを一つ一つ手に取り状態を確認している、顔はどこか不満気だ。


「これだけって、この店はハフの町1番の品揃えさ。ここ以上は王都にでも行かないと無いと言ってもいい」


これなんて凄く大きくて良いものだ、とたまねぎを手に取りラシェルに渡す、

ラシェルは頭部をチェックするとありがとうと店主に言い、受け取ったたまねぎを戻した。


「所で兄さんたちはどこから来たんだ?見た感じこの辺の雰囲気ではないし王都の人間でも無さそうだ。もっと遠くから来たのか?どの位の距離ある?何でここに来たんだ?」


「えぇ、まぁこの辺では馴染みの無い所ですよ。見分を広めるためにぶらぶらと旅してます。そうだ、この辺りの名産品はどれなんですか?」


ぐいぐいと近づいてくる店主の話を何とか切り上げようと質問をしてみる。


「この辺りでは地質が悪くて食べ物はあまり育たないんだ。ほぼ王都からの仕入れに頼っている状態さ」


この町からは鉱石を売って何とかやっているんだと続けた。


「そんな中例の魔物が占領したって話だろ?早急に奪え返さないとこの町の経済が持たないよ」


ため息が重い、そこからどれほどのウェイトを採石が占めているかを感じられる。

話している最中に横っ腹をラシェルに突っつかれる。


「ありがとうございました、他にもよる所があるのでこれで」


「あぁ次は色々買ってくれ」


そういって店主に手を振ると、そそくさとお店を後にした。


「あの店はダメだよ、というかこの町自体かも知れないけど。さっき並べられてた物の殆どが状態が良くなかった。目利きが悪いのかそもそも卸されている物自体が悪いのか、名が通っている店でこのレベルなら他の物も期待薄かな……」


ラシェルがブツブツと呟きながら歩いていたかと思うと急に肩を捕まれる。


「決めたよアキラ君……!やっぱあたしも王都に行くよ」


どこぞやの教授にでもなったつもりか君付けでこちらの名前を呼ぶ。

悩む時間はほぼ無かったようだ。


「そりゃ結構、そしたら明日辺りから行動するようにするか」


よっしゃー!とラシェルが腕を振り上げて気合を入れる。

そう考えたら善は急げだ、今日の夜にでもリジーに話して出立しよう。


「で、王都ってどっちにあるのかな?」


そこは流石に知らないので誰かに聞くしかないだろ。

アキラはさっきの時にルートも確認しておけばよかったと後悔しつつも、ダーリントンの話が長くなるのを避けるため、アンディを目的地として再び兵舎へと歩み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ