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「あんな程度で良かったの?大した事聞けてない気がするけど」


ダーリントン宅を出るや否やラシェルが耳元で聞いてくる。


「あぁ、別にこの町の歴史や魔法の知識などを知りたい訳じゃなかったからな」


僕も話が短く済んでよかったよとエアが眠たそうに答えた。


「そうだエア、もう1つ知ってたら教えてほしいんだがこの町には手芸用品とかを売っている店は無いか?」


「手芸用品って何?」


「服を縫う糸とかボタンとか、装飾用の石とかを打ってる店の事だ」


「うーん、友達と遊びに行くときに良く通る繁華街の方の道にあったかも、行ってみる?」


「あぁ、連れてってくれないか」


先頭を切って歩くエアについて道を進む。


「ねぇ、何でそんな所に行くの?あたしも見たい所色々あるんだから次はあたしに付き合ってよー」


金物屋とか食料品とか、この現地にしかないものを見たいんだけどと、拗ねた表情でアキラを見つめる。


「すまないすまない、次の店に行ったら付き合うよ。どうしても欲しいものがあるんだよ、その店に」


アキラは無限袋(インフィー君)から革ジャケットを取り出すと コレのな と説明する。


「えっ!もしかして私の言ってたメタラーっぽくないってのを気にしてたの!?」


受けるー!と爆笑しているラシェルに内心ムッとしたがまあいい。

ラシェルが言っているようにアレが付いていないとインパクトに欠けるのは確かだ。

ジャケットに付けるトゲトゲが売っていないかを確認したいのだ。

あの程度の物なら、値段はわからないものの先ほど貰った硬貨でさすがに賄えるはず、接着の手間はかかるが今日の夜にでも夜なべしてやろう。


「ここじゃないかな?」


立ち止まったエアと共に店の前に立つ。

何やらブレスレッドやらネックレスやらが店の奥に並んでおり、手前に生地などの素材が展示されている。

若干前世界の町で見かけたエスニック・アジアンテイストのショップのような感じがあり何処となく親近感を感じる。


「それっぽいじゃんか。ありがとうエア」


「あー!エア何してんの!!!?」


アキラがお礼を言うと同時に背後から大きな声が被せられ、感謝をかき消された。

振り返るとエアと同年代らしき女の子がこちらに駆け寄ってくる。


「ジェニー!こんな所でどうしたの?」


どうやら友達のようであるジェニーに驚くと、エアも近づき話し始める。


「今から皆で集まって遊びに行く所、この人たちは?」


「昨日僕を助けてくれたんだ、この町が初めてみたいなんで町を案内してた所だよ」


「そうなんだ、エアを助けてくれてありがとうございます。ジェニー・ボーグです」


可愛らしく頭を下げ、アキラたちにお礼をしてくれる。


「エアも暇なら一緒に行こうって思ったけど今日は仕方ないね」


「ごめんね……、また次遊ぼう」


残念そうにしている二人をぼーっと眺めていると、ラシェルがわき腹を小突いてきた。


「ねぇなにボーっとしてるのよっ、デートさせてあげなよ」


言われて我に返ると何処となくリップサービスなどではなく、お互い本気で残念そうに思っている素振りだった。


「なぁエア、目的の場所にこれたからその子と遊んでおいでよ。多分ここからなら家までも帰れるからさ」


ややモジモジとしているエアの背中を物理的に押してあげる。


「え、いいの!?やったぁ!!」


二人してぴょんぴょんと手を取り合い喜ぶと、行ってきまーすと大きな声で連れ立って走っていった。


「この世界の子供はあの位の年齢でもピュアなものねー」


「全ての子供がそうとも言えないだろ、反抗期とかの奴もいるって」


仲の良い二人を見てると暗くなりそうな気持が何処か楽になった。


「じゃああたし達も楽しいデートでも始めましょうか」


「まったくだ、ご期待に沿えるよう努力するよ」


二人して店の入り口をまたぎ、中へと入る。

帽子・ショール・お香らしき物などの棚を通り抜け置いてありそうなスペースにたどり着く。

ここにあればよいが……と棚に置かれているものを見ようとした矢先にある事に気が付いた。


「すみません」


アキラは奥の会計らしきスペースに座っている男性に声をかける。


「手芸用の材料はここだけですかね?」


「何だって? 何かを修理するのか?」


面倒くさそうに腰を上げると、男がアキラたちの近くに寄ってくる。


「持っている服の補強をしたいんですけど」


「これを?どこも破損してないように見えるが?」


アキラの手に持ってるジャケットを不審げに確認する。

破損をしていない事は良くわかっている。


「いや、見た目をかっこよくしたいんですよ。この店に光ってるトゲのようなパーツは無いですか?シルバーアクセサリーみたいな」


「あぁ、そういうやつはこの町では売れないからないよ。需要が無い」


冷やかしか、男は商売にならなそうな話だとわかると落胆したように元居た場所へと折り返す。


「ここにある装飾はちょっとした魔力増強に使うブレスレッドとかリング程度さ、それを生活のために買う。服を着飾るパーツ何かを買う余力のある奴なんてのはいないよ」


見た時に気がついた事。

ここには武骨な素材感むき出しの小物しかなく、どちらかと言うと石のまま加工した物が多く金属の類は皆無。

点数も少なく売り場の雰囲気もどこか暗く感じる。


「最近は魔力自体も少ない人間が多くなってきた、増強する事すら出来ない奴もいるからもうそのコーナーも辞めようかと思ってね」


先ほどのダーリントンが言っていた時代が進むにつれ魔力が弱まる事により、使える人が限られ需要が減っているせいか。


「もしかしたら王都にでも行けば売ってるかもね、期待に沿えず申し訳ないな」


店主は興味を無くしたのか手をこちらに振り、お帰りを促す。


「そうですか……。わかりました、ありがとうございました」


期待空しく店を立ち去ろうとすると


「あぁ、そうだ。もしかするとだが今後そういった物も出回るかもしれないな」


「え?」


「本当かどうかは知らないけど、町の採石場で最近眩く光る石が見つかったらしい」


「光る石ですか?」


「そうそう、採石場でいままでそんなの出た話は聞いた事がなかったが最近見た鉱夫がいるそうだ。ただそいつはその後何処かに消えちゃったからわからなくなったんだけどな」


ダイヤモンドか何かが発掘されたという事だろうか?

程度にもよるが光る石はごまんとあるので、もし何かしら加工出来るものならそれを手に入れれば作ることが出来る。


「まぁただそれがあったとしても全部王都に持っていかれちゃうだろうな。実際俺たちでは買い付けできないほど高額な物になりそうだしな」


それに今は魔物が占拠してるから確認も無理だろと呟き、興味なさげに背を向けた。

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