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どちらさんだろうか?


女性らしき声がしたほうを向くと、今いる平地林に似つかわしくない人物が颯爽(さっそう)と姿を現した。

キャンプ場にいそうな山ガール格好のいで立ちならあるあると言いたいのだが、それとは真逆の全身タイトな黒の服を身にまとい、体系・姿勢の良さも相まってモデルかと錯覚する。

アキラとは異なる目鼻立ちのしっかりした顔で人形かと思う程に白く、ストレートで肩程の長さの金髪を揺らしながら近づいてくるとエアの横に立ち二人に挨拶をする。


「あたしはラシェル・バートン、この子にこのエンヤ()ってのを探してほしいって頼んだんだけどまさか倒すとは思ってなかったよ」


横目に倒れたエンヤを見るとやるじゃんとエアに声をかける。

続けてリジーに向けて手を合わせると


「あなたの弟さんを危険な目に合わせてしまったみたいでごめんね、お願いがちょっと軽率だったかも」


申し訳なさそうな顔をして、自分の行為を謝罪した。


想像もしなかった、見たことも無いような人物の介入にリジーは


「いえっ!あの…そのっ……!」


どう返して良いか判断できず、しどろもどろの返事をしていた。


かくいうアキラもラシェルと名乗った人物を見て固まっていた。

あの恰好、この世界の人間とは思い辛い、恐らくは彼女も。


「あれ?あんたもしかして?」


「どうやらそうらしいな。俺はアキラ、シモザキ・アキラだ」


今更ながらフルネームでの挨拶を行うと、手を差し出しお互い握手を交わした。


「ふーん、まぁ聞きたい事はあるけどとりあえず後にしようか」


「奇遇だな、俺もそう思ってたよ」


互いの含み顔に気がついたのか、


「兄ちゃん、ラシェル姉ちゃんとは知り合いだったの!?」


エアが二人を見ながら聞いてくる、頬を膨らませやや俺に怒っているように見えた。


「あぁーほら、もしかしたら故郷が一緒かもなと思ってな。お互いこの辺じゃ珍しい恰好だろ?」


ジーパンにTシャツ、元の世界では駅前あたりで必ず見かけるありきたりの格好だがリジーとエアの服と見比べると、この世界では珍しいと思える。


「確かに、この辺りではお二人のような服を見た事はありませんね」


リジーはラシェルのジャケットを少しつまむと指触りを確かめる。

かなり年季の入った革製のジャケットのようだが質感を気に入ったのか、うはーっと声を漏らし触り続けていた。


「そんな事よりラシェル姉ちゃん、さっきのヤツまた食わしてくれよ!!」


エンヤを退治したから良いだろ!とぴょんぴょんとラシェルの周りを飛び跳ねる。

はいはいとエアを手で制すると、ラシェルは転がった死体に近づき、腰に付けたポシェットに手を突っ込みそこから刃物や布・袋を取り出す。

扱うにはやや大きく見える(なた)のような刃物を軽々持ち上げると首をはね、逆さにした状態で袋に押し込み、刃物などを取り出したポシェットに袋ごとねじ込んだ。


「あれはアキラさんと同じ魔法ですか?」


「恐らくそうだと思うよ」


あれは紛れもなく転移特典の無限袋(インフィー君)だ。

こいつも俺と同じ望みを言ったんだな、とアキラは眼を細めてラシェルの作業を見守っていた。


「さてと、ここで立ち止まるのも何だからあたしのキャンプ地に行かない? 」


荷物も回収したいし、もしこの子達の来た町に連れてって貰えるならそうして欲しいしさ、とキャンプ地の方角を指さし行動を促す。


「あれもまだ残ってるから食べさせてあげるよ」


「ホント!約束だよ!?」


エアは飛び跳ねを継続したまま指さした方へ勢いよく跳ねていくと、リジーも慌ててエアを追いかけた。


「おい、いったい何を食べさせたんだよ?」


「ふっふー、あんたもきっと大好きなものさ!」


正解は着いてからのお楽しみ!と腕を前に出し、握った拳から親指を立てる。

どうだと言わんばかりの顔でこちらを見つめてくるが、いきなりそんな顔をされてもどんな事をしたのか内容がわからないので反応がしにくい。

ただ唯一わかったのはこの女性も見た目とのギャップが激しいという事位だった。


「あっ、そうだこれも入れとかないと」


置いたままの血がついた鉈を布で拭うとと一緒にポシェットに突っ込む。

手品のようにポシェットに吸い込まれると姿を消した。


「その袋。やっぱりお前も女神に連れてきてもらったんだな」


「そうだよ、あんたもなんだね。同じ境遇の人がいるとは想像もしなかったよ」


アキラはラシェルの言葉とは異なり、この地に自分以外の転生者がいる事は知っていた。


『勇者は既にその世界へ旅立った』


ただ、この言葉も自分が女神に質問したから答えてくれただけであって、質問しなければラシェルと同じ認識をしていたかもしれない。

そしてこの出会いで 勇者 |以外| も この世界に存在する事がわかった。

果たして何人位こちらに来ているのだろうか?


「あんたも早くおいでよ、とびきりのアレを味合わせてあげるからさ!」


意識が固まりそうになる所をラシェルに手を引かれ、よろめきながらキャンプ地へと足を進めた。

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