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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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陰謀渦巻く 前編

「兄上様!」


 義妹が猛タックルをかましてきた。


 確か今年で13歳になるはず。


 ウェーブの掛かったブロンドと澄んだ青い目が特徴的な義妹だ。


 将来はかなりの美人になるだろう。


 そして彼女は俺と血の繋がりが無い事を知らされていない。


「マリーメイアは相変わらずお転婆だな!」


 昔の様に接する。


 子供扱いをしたのが、許せないのか、頬を膨らませる。


「心配したんですよ! 馬車が事故にあって、行方が分からなくなって……」


 事故として処理されたか。予想通りだ。


 泣きながら俺の胸に顔を埋める。


 歳の割りに小さい胸が俺に当たる。


 男装のニコルに負けているかもしれない。


「ライ、無事で何よりだ」


 義兄のフィリップが言う。


 今年学園を卒業する予定のフリージア子爵家の嫡男は何をしても絵になる。


「義兄上、迷惑をかけてすまない」


 俺とフィリップは終始穏やかに話す。


 もっと早く連絡しろと言われては、雪溶けを待って連絡する積りだったと返す。


 来るなら前持って言って欲しいと言えば、俺の生存が確定していなかったので、連絡出来なかったと返された。


 終始穏やかで棘のある会話が続いた。


 《復讐者》のスキルが裏切り者を斬れと叫ぶが、俺の意志で無視した。


 それともマリーメイアの前で凶行に及びたく無かっただけか。


 そうなるとフィリップが義妹を連れて来た理由も分かる。


 恐らく、お互いが殺しあわないための安全装置だ。


「もう二人とも、折角会えたのに!」


 マリーメイアが事務的な会話をする俺達にご立腹だ。


「そうね。ライ様も長い遠征でお疲れでしょう。詳しい話は後にしましょう。私もライ様と二人で話し合わないといけない事案が多いのです」


 メイリーズが良い所を持って行く。


「既に風呂の準備が整っております」


 アルフレッドも良いフォローだ。


「それが良い。私もライとは二人っきりで話したい」


「私を除け者ですか? これだからフィリップ兄上は!」


 マリーメイアが怒る。


 フィリップとマリーメイアの仲はかなり悪い。


 学園に居た頃「巨乳に非ずは女性に非ず」とフィリップが発言したと噂されている。マリーメイアは義母に似ず、小さい。それはフィリップ基準ではぺったんこと言えるほど真っ平らだ。それを伝え聞いたマリーメイアはそれ以降フィリップに敵意をむき出しにしている。


「心配無いよマリーメイア」


 俺がマリーメイアを宥める。


 ここまではいつものフリージア家の光景だ。


 ここにオロオロする義父とオホホと笑っている義母を加えたら、王国時代の生活と同じになる。


 俺は既に過去のライ・フリージアでは無い。


 そうだとしても、もうあの生活には戻れない。


「ご主人様、こちらです」


 会話が途切れたのを見計らってメイドの一人が進み出る。


 メイド?


「おまえは確か、ポルルの?」


「はい、ミススと言います」


 そうだ。


 族長補佐の子だ。


 俺がいない間、蛮族の面倒を見ているはずだ。


 それがメイド服を着ている。


 マナーもぎこちないが、不備は無い。


「ミスス、裏切った!」


 ポルルが殺気を露にする。


 俺が咄嗟に腹を抱えなければ、そのまま全力でパンチを放っていただろう。


 ポルルの豹変に皆、驚く。


 メイリーズとアルフレッド辺りはすましているが、心臓の鼓動から少々予想外な事態と受け止めている。


「ポルルちゃん、そんな事は無いの」


 ミススが申し訳無さそうに言う。


「何故、服を着る?」


 ポルルは睨むのを止めない。


 蛮族は服を着る行為が知恵を付ける行為の一つと考える。故に簡単なタオルを腰や胸に巻くだけだ。


 ミススは頭のヘアバンドから足のストッキングまで完全装備だ。


 恐らく下着もしている。


 風呂は一緒に入るなら渋々承諾するポルルが唯一拒否したのが下着の着用だ。


 俺だって必至に説得したが、これだけはガンと受け入れなかった。


 ポルル曰く、下着は死罪に等しい。


 それを知っているだけに、ポルルの怒りは理解出来る。


 とはいえ、ここで血みどろの殺し合いは避けたい。


「ミスス、説明しろ」


 まずは状況確認だ。


「はい、ご主人様。アルフレッド様が解放される前に色々試しては、と進められたので、メイドの真似事をしています」


 ミススが明瞭に答える。


 その声はアルフレッドや俺では無く、フィリップに向かっている気がした。


 ミススの胸は大きい。


 屋敷内にいる25歳以下ではメイリーズに次いで2番目に大きい。


 フィリップなら手を出しそうな体つきをしている。


 無論、俺への手前、まだ手を出していない。


 ただ、ミススの立ち振る舞いからして、もう口説いてはいるのだろう。


「分かった、許可する」


「ありがとうございます、ご主人様」


 ミススが頭を下げる。


「ポルルも良いな」


「主様の命、従う。でも下着は無し」


 俺の一睨みを受けて、ポルルが渋々了承する。


 それでも下着に拘る辺り、ポルルはポルルだ。


「なら風呂に入って、皆で夕飯にしよう。メイリーズとは今晩、義兄上とは明日の朝に時間を取って話し合う」


 俺が屋敷の主として方針を決定する。


 勝ち誇ったメイリーズと苦虫を噛み殺した顔をするフィリップ。


 王国の事情を二の次にしたのだ。


 これ以上無い明確なメッセージだ。

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