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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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ワイバーン戦 後編

 残り8匹になったと思ったら、7匹が連続ダイブの様相を示した。回避に専念して、何とか最初の3匹をやり過ごす。剣の状態が悪く、カウンターで斬り付けるのは危険だ。


「がぁぁぁ!」


 一匹が声を張り上げる。


「ストーンウォール!」


 俺はかまくらで愛用している壁を本能的に展開した。


ドォーン!


 壁が吹き飛び、俺も一緒に吹き飛んだ。


「エアクッション!」


 風の防御魔法で、防御力が乏しい魔法使い御用達の呪文だ。このおかげで大地を強打せずにすんだ。


『火の魔法だよ』


 羽虫が解説してくれる。ワイバーンは魔法を使えないはず!


 現実から目を背けてはいけない。あいつは魔法を使った。あいつはなんだ?


「うおぉぉぉ!」


 生憎と考える時間が無い。バランスを崩した俺目掛けて2匹がダイブしてくる。かわす事は不可能。怪我覚悟でカウンターを打ち込む。


 2匹はお互いぶつかる事を辞さない進入コースだったため、俺は見事に大怪我を負った。何とか頚動脈と腹を斬って倒したが、俺の方は左腕を持って行かれた。両足もワイバーンの巨体に潰され、骨折した。次元収納に放り込めなければ、原型を留めない形で粉砕されていた。


『左腕、痛覚遮断ね』


 もはや意地だけで回復魔法を使い、止血と骨繋ぎをする。完璧では無いが、後少しなら動く。動かなければ死ぬだけだ。羽虫は良い仕事をしてくれる。左腕は次元収納に入れた。後でくっつくと信じる。


 地上に降りた一匹が俺目掛けて走ってくる。鈍足とは言え、あの巨体だ。かすっただけでピンチだ。その上、魔法ワイバーンが口からファイアボールを放っている。


 俺の回避と迎撃コースを遮る形で炎弾がばら撒かれる。地上のワイバーンにも当たるが、ワイバーンは気にしてない。魔法防御が高いだけある。


 しかし、連係は出来ていない。ゆえに俺とワイバーンが交差する場所に炎弾は撃てない。そこで勝機!


 俺はワイバーン目掛けて走る。


「ロックパレット」


 長方形の岩をワイバーンの頭にぶつける。ノーダメージだ。しかし、一瞬視界が塞がる。俺がワイバーンの首を落とすには十分な時間だ。


 魔法ワイバーンが炎弾を乱発する。俺は今殺したワイバーンの翼の下に隠れる。敵の死体を盾にすれば、上の攻撃を無効化出来る。回収するだけが能じゃない。


 空に残っていた一匹が近くにダイブして来て、そのまま尻尾をワイバーンの死体にぶつける。俺は剣で尻尾を切断。バランスを崩したワイバーンが仰向けになる。翼の下から飛び出て、首を落とす。


 俺はこの2匹を次元収納に放り込む。地上2、空2。やっとここまで数を減らした。空の一匹が馬鹿の一つ覚えでダイブして来た。いつものやり方で殺す。


パリィィン!


 遂にこの時が来たか! 俺の愛剣が木っ端微塵になった。残っている武器は執事の剣だけ。ワイバーンの鱗を奇跡的に斬れても、精々一回。


 魔法で倒す。それしかない!


 しかし、どうやったら有効打を与えられる?


 ワイバーンの魔法防御の本質が分かれば、打つ手があるはず。俺は執事の剣を鞘ごと構える。


 ワイバーンはもう一本剣が出て来たのに、気にせず近寄ってくる。魔法ワイバーンは事態を見守っている。どうもあいつだけは他のワイバーンより知恵があるみたいだ。俺の動きを見て、次の一手で確実に仕留める腹だ。


 残念だが、俺の奥の手はまだまだある。有効か確信を持てないが、生きていれば試せる。何か一つくらいなら、多少は効くだろう。


「行くぜ!」


 俺は掛け声と共に2匹に突っ込む。


 魔法使いは遠距離から攻撃する。そしてその攻撃はワイバーンに通用しない。俺の魔法攻撃は掠り傷を付ける程度の威力はあった。その攻撃は距離に関わらず通用した。


 俺はワイバーンの牙を回避し、零距離でロックスピアを打ち込んだ。


「ギャアアア!」


「良し、効いた!」


 もう一匹のテールスイングをジャンプでかわして、同じ様にロックスピアを打ち込む。ワイバーンの尻尾がちぎれた。


「体の表面に魔法を弾く膜みたいなのがあるのか?」


 何となく体感的に理解出来た。それが正しいかは不明だが、とにかく殺せる。ならやる事をやるだけ。


 首筋や腸にロックスピアを打ち込み、素早く2匹を倒す。魔法ワイバーンも焦ったのか、炎弾が降り注ぐ。


 一対一になれば、魔法ワイバーンには負けない。俺はロックスピアとウィンドシェイバーを連発して魔法ワイバーンのバランスを崩させる。飛び続けるのは無理と悟ったか、地上に降りてきた。それはダイブでは無く、少し距離を置いての軟着陸だった。


「やはり手強い!」


『宿主様、もう限界だよ!』


 羽虫を無視して戦いに集中する。HPとMPは既に枯渇寸前。立っているのすら一種の奇跡だ。恐らく勝負は一瞬。相手は広範囲高威力のファイアブレス辺りを使うはず。さもないと降りてきたメリットが無い。


 俺はそれに耐え、接近して一撃で首を落とす。落とせれば勝ちだ。


 駆け出す前にステータスを確認する。MP残量からして、2発は撃てる。そこで予想外のスキルが目に付く。《魔力障壁 1》。ワイバーンが魔法に強いのはこのためか!? 発動すれば、魔法ワイバーンに安全に近づける。


 しかし、そうなると魔法攻撃に使えるMPが無い。


 俺は執事の剣を抜く。一回なら耐える。


 いざ、勝負。


 俺は《魔法障壁》を展開し、駆け出す。ワイバーンが炎の息を吐いて、一面を火の海にする。障壁無しで突っ込んでいたら、数秒で黒こげになっていた。


「貰った!」


 魔法ワイバーンは何故俺が燃えないのか理解出来る暇も無く、執事の剣にその首を落とされた。剣に大きなひびが入ったが、折れなかった。


 俺は魔法ワイバーンを次元収納に仕舞い、左手を回復魔法でくっつける。指の感覚が無い。右腕の時より悪い状況だ。しかし、もう限界だ。


 土魔法でかまくらを作り、その後すぐに意識を失った。

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