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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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ワイバーン戦 前編

 ワイバーンは定期的に狩りに出かける。俺は一匹で行動しているワイバーンに狙いをすまし、ウィンドシェイバーを放つ。


「当たった!」


 ワイバーンには大したダメージにはならなかった。それでも俺を餌と認識し、俺向かってダイブして来た。俺はすれ違い様にワイバーンの腹を切りつけた。


「ちぃ! 腕が!」


 作戦は成功だ。しかし反動で腕が痺れた。


 ワイバーンは未だ生きている。致命傷は間違い無い。


 俺は咄嗟に止めをさすために左手で剣を握り、一気呵成に攻めかかる。


「ギュイ! ギュイー!」


 ワイバーンの叫びを無視して止めを刺す。


「なんとかなったか」


 予想より弱いワイバーンを倒せてほっとする。


 しかし、俺は休む暇が無かった。


『かわして!』


 羽虫の叫びで反射的に前に転がる。俺が立っていた場所にワイバーンが突っ込んだ。後1秒遅れていたら、俺はワイバーンの一撃で粉々になっていた。


「くそっ! 最後のは援軍を呼ぶ声か」


 俺は状況のやばさに気付いた。19匹のワイバーンが空と大地から俺を包囲している。皆殺しにしないと俺に生きる道は無い。


「行くぜ!」


 止まったら死ぬ。全力で駆け出し、振るう剣は一撃必殺を目指す。最初は先程ダイブしたワイバーンだ。


 俺の一閃が首筋に入り、首を落とす。腕の痛みは《光魔法》で強制的に治す。


 100年は手入れ不要と言われた俺の愛剣も刃毀れ激しく、この戦いが終わるまで持つかは賭けだ。


 地上のワイバーンが尻尾で俺を攻撃する。かわす。尻尾が他のワイバーンに当たる。どうやら地上での集団戦は不慣れみたいだ。


「お互い殴ってもほとんどノーダメージか!」


 傷は負わなくても、一瞬バランスを崩したり硬直したらチャンス。ワイバーンの硬い鱗で剣をこれ以上痛ませるわけにはいかない。


 ワイバーンの牙をかわし、首筋の頚動脈を斬る。血を噴出しながら倒れる。俺はその血を浴びて、ワイバーンの嗅覚を惑わす。


 こいつらの嗅覚は鋭いのか? 分からない。


 ヒットアンドアウェイを繰り返し、何とか6匹倒す。俺の剣は上3分の1辺りで折れたが、まだ斬り付けるには十分な長さだ。これが剣士同士の戦いなら致命的な事態になっていた。


「いい加減諦めろ!」


 俺が吠えてもお構い無しにダイブしてくる。ワイバーンを倒すたびに次元収納に仕舞うのがまずいのか? しかしワイバーンは良い値で売れる。激戦で傷が付くと値下がる。それは嫌だ。命懸けで狩っているだ。1Gでも高く売ってみせる!


 ライの知識によるとワイバーンは引く事をしない。ワイバーンより格上のレッサードラゴンならドラゴンの名前が付いているだけあって、犠牲が1割を超えたら逃げる。


「後13」


『追加MP頂戴! もうこっちはギリギリよ』


「必要なだけ持っていけ!」


 羽虫とのやり取りをしながら、もう2匹殺す。定期的に上空のワイバーンに魔法を撃っているが、効果無しだ。ダイブの牽制にすらなっていない。


「ぐわぁぁぁ!」


 ワイバーンの尻尾が遂に俺を捉える。俺はボロ雑巾の様に飛ばされた。俺は狂った様に《光魔法》で回復をはかる。幸い、吹き飛ばされて距離が空いた。他のワイバーン近くに飛ばされていたら、噛まれて死んでいた。


「トラックに比べれば大した事無い!」


 妹のために立ち上がる。突っ込むトラックを指一本で粉砕する力がいる。飛ぶトカゲ如きにこれ以上梃子摺るわけにはいかない。


 一瞬だけ膠着状態が出来た。ステータス確認で《剣術 5》になっていた。13ポイント払って《剣術 7》に上げる。これで人間の限界に並んだ。勇者ならこの上を行くだろうが、ワイバーン程度ならこれで行ける。


 俺は大地に立っている3匹に向かって走る。以前とは比べ物にならない一閃がワイバーンを正面から真っ二つに切り裂く。


 衝撃波か! 驚きを顔に出さず、残り2匹も素早く処理する。剣のリーチより遠くから斬れるのは実に便利だ。


ギチギチ


 剣が! どうやら衝撃波の反動に剣が耐えられないみたいだ。ドワーフの名工が作った剣なのに。市販の剣では一回持つかどうか。


 俺は嫌は記憶を思い出した。ライが読んだ本では、剣聖と呼ばれた人族最強の剣の使い手は決闘時に剣が折れて死んだ。世間では油断大敵の見本扱いだが、剣聖と同じ立場になった今なら分かる。《剣術 7》に耐えられる剣がそもそも無いんだ。

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