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Artificial Magi  作者: 津賀
第3章 第一学園編 前編
29/34

武術大会 - 4 -

誤字脱字等ありましたら連絡していただけると喜びます

朝、ごはんを食べて家を出る。

今日はちょっと遅い時間に試合が始まるため、いつもよりものんびりだ。

いつものメンバーで学園へと向かう。


学園に着くと、すぐに闘技場へと向かう。

第一試合が僕とイヨの試合なので、控え室へ行って自分の剣をロッカーにしまう。

そしてこの武術大会用に革鎧を着て、傍においてある木剣をつかむ。

さぁ、これで準備完了だ。

あとはアナウンスを待つだけだ。


『準決勝第一試合はカムイ=カミシロ選手対イヨ=ヤマガミ選手です!』

お、呼ばれた呼ばれた。そろそろ入場かな。

『それでは、選手両名の入場です!』

アナウンスと同時に歓声が起こり、僕とイヨは並んで闘技場の中心へと向かう。

「カムイくん・・・負けないよ」

「俺だってやられるつもりはねぇ」

お互いにしか聞こえない声だったが、イヨもやる気満々なようだ。


『只今より準決勝第一し・・・・』

試合開始のアナウンスの途中で、闘技場の外から轟音が響く。

「な、なんだ!?」

僕とイヨがお互いに見合っていると、強い殺気を上から感じたため、反射的にその場を飛び退く。

その瞬間、僕の立っていた位置に一つ目の巨人が立っていた。

離れた位置からイヨの声が聞こえる。

「サイクロプス!?S級の魔獣がどうしてここに!?」

アレがサイクロプスかー・・・ってどうやってここまで入り込んだんだよ!?

僕が混乱していると、サイクロプスは問答無用に棍棒を僕に向けて振るってきた。

「っ!【身体強化】!」

瞬時に魔術を使い、棍棒の間合いの外に出る。

そして反射にも近い形で【エクスプロージョン】をサイクロプスに向けて放つ。

すると、上級魔術であるはずの【エクスプロージョン】がかき消されることなくサイクロプスに命中する。

闘技場にかかってる魔術が解けたのか?いや、疑問に思うのは後だ、とりあえずこいつを倒さないとここだけじゃなくて街にまで被害が及んでしまう。

「【スモーク】!」

煙幕をサイクロプス中心にして張る。

これでちょっと時間が稼げるはずだ。

でも、ここで全力の魔術を使ったらいろいろな人を巻き込んでしまうかもしれない。

そこで僕は全力で

「全員逃げろ!」

と叫んだ。


-----------------------------------------------------------


観客席で見ていた私達は突然の乱入にただただ驚くことしか出来ませんでした。

相手はサイクロプス、ギルド所属の最強の冒険者がパーティーを組んでも倒せるかどうかわからない相手です。

ですが、どうやらお兄様は戦うつもりのようです。

お兄様は逃げろとおっしゃってますが、上級魔術が使えるようなのでパーティーメンバーとして足手まといにならないようにしつつお兄様の援護をしましょう!

「アリアン、行きましょう」

と声をかけたもののアリアンは既に戦闘準備を整え終えていました。

「了解です。お互い死なないようにしましょう」

「もちろん」

アレを見てもアリアンは全く怖気づいていないようです。さすがです

「申し訳ありませんがヒロシさん、観客の方の避難誘導をお願いしてもよろしいでしょうか」

「あ、あぁもちろんだが・・・お前たちは行くのか?」

呆然としていたヒロシさんが私の声に反応して我を取り戻す。

「えぇ、もちろんです。これでもお兄様のパーティー『アブサード』のメンバーですので。リーダーが戦う気なのにおめおめと逃げれないですわ」

「そうか・・・全員死ぬなよ」

ヒロシさんと別れ、アリアンと頷きあい、闘技場へと降り立つ。


-----------------------------------------------------------


「お兄様、加勢しますわ!」

「同じく」

ユウナとアリアンが闘技場に降りてきた。

「わたしも戦うよ!」

イヨもどうやら戦う気らしい。

「お前らは逃げろ!」

相手がS級となると、僕ももしかしたら皆を気にしながら戦うことが出来ないかもしれない。

「お兄様の邪魔にならないよう遠くから援護をしますわ」

ユウナの言葉を聞き、少し考える。おそらく恐れてる様子も感じられないし、ユウナは本気で戦う気だろう。

「ここまできちゃってるんだったら、そうだな・・・絶対近づくなよ!」

まだサイクロプスが怯んでるのを確認し、仲間全員に【外装】を掛ける。

「ユウナ、早速で悪んだけど、僕の剣を控え室から持ってきてくれないか?」

「わかりました!」

っとと、サイクロプスが体勢を立て直したようだ。

「【限定解除】」

僕は自らにかけていた【バインド】の効果を消す。

そして、【身体強化】を解いて【フィジカルバースト】と【硬化】を掛け、サイクロプスに相対する。


カムイとサイクロプスが同時に動く。

サイクロプスは常人では到底追いつけないような速度でカムイへと向かっていく。

だが、カムイもカムイでサイクロプスが己のもとに到達する前に魔術を発動する。

「喰らえや!【雷の鉄槌】!」

魔術が発動した瞬間、サイクロプスは高密度の雷に包まれる。

「オオォォォォ!!!」

雷の中からサイクロプスの叫び声が聞こえる。

どうやらダメージも入ってるようだが

「足止めにしかならないか」

そうカムイが呟いたところで魔術による豪雷が消え、サイクロプスが姿を現す。

ぱっと見た感じだとサイクロプスに対して有効打となっているようには見えない。

しかし、サイクロプスはカムイに向かうことなくその場で棍棒を振り回し始めた。

「なんだ・・・?もしかして、視力が戻ってないのか!?」

サイクロプスは豪雷から発せられる閃光を直視してしまったために一時的に目が見えない状態になっていた。

「イヨ、アリアン!魔術を!」

カムイは仲間に合図を送り、全員で魔術の一斉放火を行う。

「いっくよー!【リジッドアクア】!」

「【極光:(つるぎ)】」

イヨの発動した【リジッドアクア】による巨大な水の塊に押しつぶされ、サイクロプスの動きが一時的に止まる。

そこにアリアンの使えるほぼすべてのオドを込めた【極光:剣】がサイクロプスの胴を捕らえる。

しかし、サイクロプスが大きく動いたため、【極光:剣】は少し胴を切り裂く程度のダメージしか与えることが出来なかった。

「まだだ!【カノン】!」

カムイの膨大な魔力を込めた砲撃がサイクロプスに命中し、水の塊もろともその身を吹き飛ばす。

闘技場の壁にサイクロプスが激突し、轟音があたりに響く。

カムイはこの時、手応えを感じていた。

しかし、カムイの予想に反してボロボロながらもサイクロプスは起き上がる。

「なっ!?」

カムイがあっけにとられている間にサイクロプスの接近を許してしまう。


我に返ったカムイはサイクロプスに振るわれた棍棒を躱し、強化した脚力を利用してサイクロプスの足を蹴りつける。

しかし、カムイの蹴りに対しても多少ぐらついたもののサイクロプスはダメージを受けることなく、逆にカムイに対して棍棒を振り下ろす。

あわてて回避するカムイ。

(クッソ、壁を蹴ったみたいに硬いぞ・・・)

その時、ユウナが闘技場に帰ってくる。

「お兄様!剣をお持ちしました!」

サイクロプスの攻撃を躱しながらカムイは応答する。

「よし!こっちに向かって投げてくれ!」

「え、な、投げるんですか?」

剣を投げて渡すことに戸惑うユウナ。

「あぁ、問題ない!そのまま真っすぐ投げてくれ!」

「・・・わかりました!」

ユウナは振りかぶって剣を真っ直ぐ投げる。

その瞬間、カムイは【知覚加速】を使うことでサイクロプスの攻撃を避けつつ剣の軌道を予測し、見事に剣をキャッチする。

そして剣に【魔力付加】を掛け、サイクロプスの胴を両断するべくアリアンの魔術で傷ついた部位に向かい、その剣を振るう。


カムイの剣は胴をわずかに裂いたが、それだけだった。

カムイは剣を引き抜き、追撃に備えるためにバックステップで距離を取る。

と同時にオドの消費が激しい【知覚加速】を解除する。

サイクロプスは既にカムイに向かって走り出していた。

剣を装備したカムイは再びサイクロプスと接近戦を開始する。


カムイはサイクロプスの棍棒を回避しながら剣で切りつけるという戦術を取っていたが、

一瞬の隙を突かれ、回避することが出来ずに剣で受け止めてしまう。

すると、到底剣で受け止めたとは思えないような鈍い音が響き、剣を支えるカムイの足元の床にヒビが入った。

(何とか受け止めれた。が、なんつー力だ。手がしびれて感覚がなくなっちまったぞ)

サイクロプスは棍棒を押し付けて来たが、カムイは無理やり横に逸らして離脱する。

しかし、それを良しとしないサイクロプスはすぐさまカムイを補足し、追いすがる。

サイクロプスの苛烈な攻めにカムイは焦っていた。

(ここまで激しいと魔法を使うことも難しい、どうする・・・)

おそらく【硬化】を突破できるほどの攻撃力は無いと思われるが、殺しきれなかった衝撃で気絶してしまったら仲間を危険に晒すことになる。

サイクロプスとの打ち合いの最中に必死で打開策を考える。


カムイはサイクロプスが雷の閃光で目が使えなくなった時、しばらくまともな行動をとれていなかったことを思い出した。

(奴の弱点は目か・・・?でもあの位置にある目を狙うのは難しいぞ・・・)

サイクロプスは5mを超える身長であるため、そこまで飛び上がって攻撃しなければならない。

(せめて足を止めることが出来れば・・・)

ここでカムイにある考えが浮かぶ。

迫り来る棍棒を躱し、足を切りつけたところでカムイは叫ぶ。

「イヨ!ユウナ!こいつの足元を凍らせることはできるか!?」

「いけるよっ!」

「・・・できます!」

二人から頼もしい返事が帰ってきた。

ならば

「こちらから合図したらイヨは右足を、ユウナは左足を頼む!」

「「了解!!」」

そこから何度かサイクロプスの攻撃を躱す。

そして、縦に振るわれた棍棒を回避し、脚に渾身の力を込めて蹴りを叩きこむ。

蓄積された切り傷も相まって、今度はサイクロプスが大きくよろめく。

「今だ!」

カムイが叫んだ瞬間、イヨとユウナ二人が同時に同じ魔術を発動する。

「「【氷結の檻:コンプレス】」」

魔術の効果により即座にサイクロプスの脚が分厚い氷に覆われ、地面に固められる。

それを見たカムイはサイクロプスの背後からジャンプして、その目に思いっきりルーンを発動させた剣を突き立てる。

しかし

「浅かったか!?」

剣は中腹まで刺さっているが、まだサイクロプスは棍棒を振り回していた。

カムイが着地したところで、自分を飛び越える影が見えた。

「アリアン!?」

影の正体はアリアンで、彼女はカムイの刺した剣に対して思いっきり拳を打ち付ける。

サイクロプスに刺さっていた剣は刃の根元までその目に刺さり、グリップと刃の境目で折れた。


-カンッ


剣のグリップが地面に落ち、同時にサイクロプスは絶命した。


-----------------------------------------------------------


「最後のいいところはアリアンに持ってかれちまったなー」

「無事倒せたから良いではないですか」

「まぁね」

アリアンの言うとおり、全員無事に生き残ることができてよかった。

と皆でしゃべっていたところで入り口からサトシさんなど、見たことある冒険者の人たちが次々と入ってきた。

倒れているサイクロプスを見てサトシさんが驚きの声を上げる。

「俺は信じられねぇんだが、そこに倒れてるのはサイクロプスだよな?お前たちだけでやったのか?」

「えぇ、そうです。『アブサード』のメンバーだけで討伐しました」

答えを聞いたサトシさんが辺りを見回し、頷いた。

「まぁ、全員無事なようで何よりだ」

「サトシさんたちは冒険者ギルドからの増援ですか?」

「そうだ。まぁ、必要なかったけどな」

サトシさんが苦笑する。

「ま、お前ら疲れただろ。この報告は俺達がしとくから、お前たちは家に帰って休め。明日辺りに多分マスターから呼び出しが来るはずだ」

「すいません、ありがとうございます」

サトシさんの気遣いに感謝し、僕達は家に帰る。


帰り道で、イヨが疑問に思っていたことを口に出す。

「ねーねー、武術大会はどうなるのかな?」

「会場もかなり壊してしまいましたし、中止になるのではないでしょうか?」

「えー!せっかくカムイくんと戦えると思ったのに!」

本気で残念そうな声を出してるイヨの頭を小突く。

「いたいよっ」

「まぁ、全力でいいならいつでも相手するぞ」

「そんなー!」


家に帰ってきた僕たちはヤマトさんとアザミさんに心配されたが、僕達の元気な様子を見るとホッとしたみたいだ。

いつもよりのんびりお風呂につかって、いつもよりちょっと豪華なアザミさんの料理を食べたところで猛烈な眠気に襲われた。

やっぱ疲れてたんだなと思いつつ、僕はいつもより早く眠りに落ちた。


スピード感あふれる戦闘描写をしたいです


これにて武術大会は終了です。

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