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知と記憶の回廊を抜けて:異世界で二度目の生を  作者: 三木 天
オード村編

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第五話 この世界の魔法の基礎

今日から本格的な魔法の訓練が始まる。

そこで俺は早速昨日の件について尋ねてみた。



「ヴィヴィさん、昨日魔法をお見せしたとき僕の魔法は飛ばなかった理由が知りたいです」


「あら、いきなりそこからなの?まあいいわ。あなたが言うのはこういうことよね」



そういうとヴィヴィは手を前に出した。

途端、急に水球が現れた。

魔法の名前も言わずに。

そして発射されたのだ。



「これが昨日なぜ飛ばずに落ちたかの理由はね、魔法を発動させたときに魔力を集める感覚あるでしょ?それを最後に押し出さないといけないの。あなたの場合集めたところで終わってしまっているだけ。簡単でしょ?」

「といっても、あなたのお父さんのような、日々の生活でしか魔法を使わないような人はこの感覚がないのよね」



そんな簡単な理由だった。

たしかにレイルが家で魔法を使う際、わざわざ火を飛ばしたりしてないからな。納得だ。



「もう一つ質問なんですけど」


「なにかしら」


「どうして今、魔法の名を言わずに発動できたのですか?」


「いい質問ね。そしたらまず、魔法ってどういう風に発動させてるかは知ってる?」


「はい。お父さんが言うには基本、魔法は魔法名を言えば発動できると」


「うん。じゃあ追加でこれも覚えておいて」

「あくまで魔法名を言って発動するのは基本の魔法とそれに近い応用よ。日常で使う魔法とかがそうね。そして上位の魔法、例えば規模の大きい魔法とかね、これらには詠唱が必要になるの」

「そしてさっき私が発動させた「ウォーターボール」、これを魔法名を言わずに発動できたのは簡単な話。慣れているからよ」


「慣れると、言わなくても発動できるんですね」


「それはそうよ。対人や強い魔物なんかは魔法名を口に出すと対策されやすいからね。私たちのような冒険者とか国に仕えてる兵士なんかは、基本の魔法程度あれば皆出来るはずよ」



そういわれるともっともな気がする。対人において相手が撃ってくる魔法がわかれば対策しやすくなるのは当然だな。



「その理論でいくと、上位の魔法とかも詠唱とか魔法名を言わずに発動できそうですけど」


「理論上はね。ただ上位の魔法は基本の魔法とはわけが違うから難しいのよ。そういったことができる人物は、おそらくいないわ」


「僕はできそうですか?」


「何言ってるのよ、まだ基本の魔法を飛ばすことすらできないのに、現状じゃ絶対無理よ」

「だけど今後次第ね」



一応俺は転生してきてるから、何かしらそういったところで他の人にはできないこととかあればいいのだが、今の所その様子は皆無だからな。

しっかりここで特訓しないとだな。



「よし!それじゃあ魔法の知識の補足はこんなところにして、まずは飛ばせるようになるところから始めましょ」


「はい」



そういって魔法を飛ばすための特訓が始まった。

まずは昨日の復習からだ。

集中、魔力を感じ、それを掌の先に収集、



「ウォーターボール」



そしてこの魔力を押し出す!


ビュン!……パンッ!


俺の発動した魔法は見事に飛んだ。

ヴィヴィを見ると、彼女も驚いた顔をしていた。



「驚いたわ。まさか一回聞いただけで飛ばせるなんて。あなた魔法の才能があるんじゃない?」


「そうなのですか?」


「ええ。一般的には5歳になってから魔法について教わるけど、あなたはすでに魔法を発動するだけじゃなくて、飛ばすところまでできている。私ですら、飛ばせたのは7歳なのよ」


驚いた、この歳でここまでできるのは珍しいのか。

俺には前世の経験があるとはいえ、こうはならないだろう。

ただ、初めて魔法を発動させるときも、飛ばすときも、どちらもやり方を聞くまでは全く見当もつかなかったのに、聞いてからいざ実際にやろうとした途端、なんとなくだが体が覚えているような感覚があった。

例えるなら、昔やってたゲームを久しぶりにやったら、最初は知識としての操作は曖昧なのにいざプレイすると、体が覚えていてプレイできてしまう感じだ。

前世には魔法なんてものは存在しないのに、なんとなくこうすればできるのがわかるこの感覚はなんなんだ……


しかしここでとある問題が浮上した。


魔法を発動させることに慣れるために訓練を続けていたんだが、4回目の発動も成功した途端急な眠気に襲われ俺の意識は途絶えた。



目を覚ますとそこは知らない天井……

ではあるが雰囲気は家と一緒だ。

辺りを見回すと、知らない部屋のベッドで眠っていたらしい。

ここはいったい……



「あら、起きたのね」



振り返るとヴィヴィがいた



「魔力切れで寝ちゃったから、私の部屋で寝かせてたんだけど体調はどう?」


「ありがとうございます。特に問題はなさそうです」


「それならよかったわ。今日はここまでにしましょ。あんまり無理をさせても、カエルに怒られちゃうしね」


「先生」


「先生?!今そう呼んだの?」



あっ、ついうっかりそう呼んでしまった。

まあいいか。



「はい、ダメですか?」


「いえ、それは構わないけれど」


「コホン、それで、どうしたの?」


「魔力切れを起こさないようにはどうしたらいいですか?」



俺の魔力、基本の魔法を四回発動させただけで切れてたんじゃ、この先不安すぎる。

どうにかして増やしていきたいが……



「それなら今後、私が面倒を見れない日とかもあるでしょうから、そういう日に魔力切れを起こすまで魔法を使うこと。今はまだ使い始めだから、気を失ったりするでしょうけど、だんだんそういったことはなくなって、動けなくなったり、体がだるくなったりするだけになるわ。魔力量は限界まで使えば増えていくのよ」


「先生は、どれくらいの魔力量なんですか?」


「私?うーん……最近はそんな限界まで使ってないけど、基本の魔法なら一日200回ぐらいは行けると思うわ」



200?!魔法を普段使う人はそんなに行くのか。



「あっ!一つ、今後魔法を使っていくうえで絶対守ってほしいこと。それは、絶対に限界になったらそれを超えてまで魔法を使わないこと。魔力量はその人の生命力といっても過言じゃないから、それを超えて使うっていうのは、限界を迎えてる命を削って使うようなものだからね。いい?」



なるほど。

魔力量が生命力でもあるのか。

このことに関してはしっかりと覚えておこう。

何かの手違いでまた死にたくないしな。

ヴィヴィ・ドレイク 28歳

職業:Bランク冒険者

魔術:上位魔法の一部まででき、基本の魔法程度であれば無詠唱で発動できる。

性格:お姉さん気質

母カエルの元パーティメンバー、当時はCランク、紫っぽい黒色の魔女帽子にマントを羽織っており、前世の常識からすると露出度の高めな服を着ている、スタイルは母カエルよりいい(アルケウス談)

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