第四話 魔力と魔法
5歳になってから数日がたった。
いよいよレイルから実際に魔法を教えてもらえるようだ。
前にカエルが言っていたが、おそらくここで今後魔法が扱えるかがわかるらしい。
「よし。まずは、魔力を感じるところからはじめるぞ」
「いきなり魔法ではだめですか?」
「そうしたいんだけど、まず魔力を感じられるようにならないとそもそも魔法は使えないんだ」
「なるほど」
「いいか?そしたらまず、自分の周りにある魔力を感じるんだ。難しかったら目を閉じで集中してみろ」
目を閉じる。ありがちだが、実際目を閉じるだけでも集中力は上がる。
とは言ったものの、魔力なんて前世にはなかったから、どういう感じが魔力を感じることなのかがわからん。
と思っていたんだが、なんだこの感じは。
風や空気とは明らかに違うこの異質感。
これが魔力を感じることなのか。
だがこの感覚は、以前どこかで……
「どうだ?感じれたか?」
「はい。なんとなくですけど」
「え?本当か?こんな短期間で?本当に?」
「じゃあその感じたものを、手の先に集めるようにイメージしろ、そして魔法を唱えてみろ」
「そうだな、火魔法は少し怖いから、水魔法のウォーターボールでいい」
俺はそういわれて、手を前に出した。
そこに今感じているものを集めるイメージをした。そして、
「ウォータボール」
そう唱えた瞬間、先ほどまで感じていたものがより具体的に感じられ、それらが凝縮したと思った瞬間だった。
掌の先に、こぶし程度の水球ができていた。
そしてそのまま下に落ちた。
あれ?飛ぶんじゃないのか?なんで落ちたんだ?
「お父さん、この魔法は飛ぶんじゃないですか?」
「ん?まあ、戦闘とかで使うときは飛ばすが、すまん。父さん、普段戦闘とかしないから、飛ばし方は知らないんだ。普段なんて飛ばしたりしないからな」
まじかよ、じゃあどうやって飛ばせばいいんだ。
カエルは戦闘こそレイルに勝るけど、魔法は苦手らしいし。
「あら?珍しい人が庭で何をやってしるのかしら」
ん?誰だ、あの女の人は。
服装からしても見た目が明らかに魔法を使う魔女っぽいが。
「おお!ヴィヴィじゃないか!仕事帰りかい?」
「ええそうよ。依頼が無事終わって帰る途中だったんだけど、なにやら珍しい人が、庭とはいえ外に出ているのが見えたから覗きに来てみたの」
「最近見ないと思ったらそういうことか」
「ん?そうだ!いいところに来てくれた!ちょっと頼みごとがあるんだがいいかな?」
「頼み事?私も暇ではないのだけれど」
「よく言うよ。今回だってお金が無くなりそうだから、ギルドの依頼をこなしてきたんだろ?」
そういわれた魔女のような人は図星だったのか目線が泳いでいた。
「ええそうよ」
「わかったわ。で?頼みごとって?」
「いいのか?」
「ええ。もちろん報酬はもらうけど」
「ええ…金とるの?」
「ふふっ。冗談よ。親友の旦那からお金なんか取ったら、彼女に何て言われるか。いいからその頼みごとについて早く言いなさいな」
「恩に着るよ。で頼みっていうのが、息子のアルに魔法を教えてやってほしいんだ」
「息子に魔法を?ああ、そういえばもう5歳になるのね。まったく、時間はあっという間ね」
「ていうか、あなた教えられるでしょ?」
「それが魔法の発動まではできたんだが、飛ばし方がわからなくてな」
「え?飛ばし方?5歳にはまだ早いんじゃない?というか魔法の発動はもうできるの?」
レイルが自慢げに笑い
「アル、見せてやれ」
そういわれたのでもう一度「ウォーターボール」を発動した。
結果は同じく、発動こそすれ飛ぶことはなく下に落ちた。
女の人はたいそう驚いた顔をしていた。
「うそ。まだ5歳になったばかりの子がすでに魔法の発動までできるなんて……」
「僕も驚いたんだ。当初の予定では魔力を感じることができれば今日は十分だろうと思っていたんだが。どうだい?この頼み聞いてくれるかい?」
沈黙が流れた。
二人の反応を見るかぎり、この年で魔法を発動させるのは珍しいのか。
危険分子だとか思われてないか?
レイルは魔法こそ使えるものの、専門は学者業だ。魔法を専門的に扱うであろう人からすればこのお願い事は軽率なのか?
「ええいいわよ。その頼み引き受けてあげるわ」
「ありがとうヴィヴィ。よかったなアル、父さんよりも魔法に詳しい人が教えてくれるそうだ」
とそこで突然めまいが起きた。
なんだこれただごとではない。
しかし、そこで俺の意識は切れた……
―――
その日の夕方に目を覚ました。
ベッドの横でカエルが心配そうに見守っていた。
「大丈夫?どこか具合の悪いところはない?」
とくにはなさそうなので俺は首を横に振った。
「そう。よかった……」
カエルは暗い顔をしていた。
こんな表情になるところを初めて見た……
「あなた!アルが目を覚ましたわ!」
「お!目を覚ましたか」
「お父さん、僕はいったい」
「大丈夫、ただの魔力切れだ。本来はここまでひどいものではないんだが、お前の場合いきなり魔法を発動させたからな。あ……」
なんだ?レイルが急に焦った顔をしはじめた。
そして隣にいたカエルの雰囲気が変わった。
「あなた?それはどういうことです?今日は魔力を感じるとこまでって、話でしたよね?」
「あっ…えっと…」
「詳しく、お話、聞かせてもらいますよ?」
こ、これが元冒険者の雰囲気?!
正直、前世も含めて一番恐ろしかったかもしれない。
その後、今日起きたことと今度についてをカエルに詰められていたレイルは、しっかりと小一時間ほど説明をしていた。
―――
翌日
レイルに連れられ、昨日の魔女ヴィヴィの家に連れられた。
「そうしたらアル、今日から魔法を教えてくれる先生、現Bランク、ソロ冒険者のヴィヴィだ」
「ヴィヴィ・ドレイクよ。よろしくねアルケウス」
「よっ、よろしくい願いします」
こうして俺はこのBランク冒険者のヴィヴィ・ドレイクに魔法を教わることになる。




