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知と記憶の回廊を抜けて:異世界で二度目の生を  作者: 三木 天
獣人編

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第三十三話 純粋無垢な大男

斬撃に複数の属性を纏えるようになった。

あの後色々模索して、他の属性も試した。

もちろんできた。

これでバリエーション豊富な技に進化した。

単体ではあまり有用性を見いだせなかった氷や水なんかも、もしかしたら使えることがあるかもしれない。


オード村には二日だけ滞在した。

今回は旅の途中で寄ったにすぎない。

またふらっと帰ってくることになるかもしれないしな。

レイルとジル、そしてヴィヴィは朝早くから村を出ていたので、見送りはカエルだけだった。

見送る際、カエルがモナに「頑張んなよ」と言っていた。

二人は俺の知らないところで仲が良くなっていた。

カエルがモナに何か教えたのだろう。


オード村からビスティア王国までは、距離的には2週間程度なのだが、実際には1ヶ月かかる。

その理由は、このあたりから魔物の蔓延る森が増えるからだ。

獣人族やエルフ族の住む地域は森が主体なので、そこに近づくにつれ木々が増えていくのだ。

ビスティア王国も森の中を切り開いて作られた国だからな。

魔物もそれに伴い、植物系の魔物が増えていった。

その代表格が、ウッドパペットだ。

森のある所ならどこにでも出現するこの魔物は、特にこのあたりから増えている気がする。

強さは大したことはない。

Dランクの薪を集める依頼とかで狩られるような魔物だからな。

木の枝で構成された人の形をしているところが不気味なポイントだ。


ビスティア王国は、人族が唯一獣人族と交易をしている国だ。

そのためか、この国には獣人族の人たちを少なからず見かける機会がある。

体の一部が獣と同じで主にイヌ科やネコ科が多い人種だ。


森を切り開いて作られたこの国は、建物の構造が木造が主体になっている。

前世でいう、ログハウスに近い。

そしてほかの国と違い、王族の住む城が小さい。

城というより館に近い感じだな。

体感だが、大きさは半分程度だろう。


俺たちはビスティア王国に1週間ほど滞在した。

あくまでこの国は通過点。

本来の目的は獣人族の本拠地に行くこと。

食料を買い込む際に獣人族がやっている店があったので、現地について聞いてみた。

すると、今はリオンという人が獣人族全体を統治しているらしい。

拠点は領の中央にあり、名前はないが行けばすぐにわかるとのこと。

ただあまり他種族が訪れることがないので警戒されるかもとも言われた。


出国する際、衛兵に目的を聞かれたので、世界を旅している旨を伝えた。

問題等も起きることなくすんなり出国できた。

一応獣人族に迷惑をかけないようにと釘は刺された。

人族で唯一交流のある国だ。

ある意味国の存在理由でもあるのだろう。

紛争が起きた時に、意味を持たない国は真っ先につぶされる。

なんてことを恐れているのかもしれない。

実際ビスティア王国は、今までの国と比べて国力は小さい。

簡単に潰されてしまうだろう。

それこそ、モナの地獄の雨(インフェルノレイン)を広範囲に撃っただけで、国全体が火の海になる。

モナレベルの魔術師一人で滅べてしまう、そんな国だ。

平和でよかったね。

もっとも魔族とはまだ戦争中だが…


ビスティア王国を抜けてもひたすら森が続く。

変わったことといえば、木々の大きさだ。

太くそして高くなった。

この森に生活している生物は、この環境に慣れているから厄介だ。

特にフォレスト・モンキー。

魔力探知で居場所を特定しているのに、木々が生い茂っていて、立体的な動きをして奇襲を仕掛けてくる。

そしてモナや俺の魔法を避けたりするんだ。

だが、イニシ法国にいる頃よりシャーリーの攻撃が通用するからまだマシだ。

シャーリーは、魔法を避けた直後の隙を的確に突いていた。

ただそれでも苦戦はしているほうだ。

人族の領域に生息する魔物よりも、現状は強さは劣るが厄介という評価だ。


そんな森を進み続けて3日。

突如誰かが戦っている音が聞こえてきた。

俺たちは急いで音のするほうへ向かった。


音の発生源にたどり着くと、既に戦闘は終わっていた。

いくつもの魔物の死骸の中に立ち尽くす血まみれの大男。

二本の角が生えている獣人だった。


「大丈夫か?」


「ン?オマエタチダレ?」


「私たちは冒険者だよ」


「ボウケンシャ?」


冒険者を知らない?

いやいや。

そんなことないだろ。


「えっと…ここで何を?」


「ヤリカエシタ」


なんだか言葉が伝わりにくいというか、言葉足らずというか…

男の周りは、魔物の死骸だらけ。

それも力で潰されたような惨状だ。

そして男は血まみれ。

この惨状から察するに、


「襲われたのか?」


「ウン」


だろうな。

それにしてもすごい数だ。

判別つくものでも、ざっと数えて7体は倒している。


「あなたは一人なの?」


「ソウダ」


仲間もなしにこの数を倒せるのか。

しかも見た感じ、武器とかも使ってない。

すべて素手による撲殺だろう。


「名前を聞いてもいいか?」


「オレ、ガデム」


「俺たちは魔断の集いというパーティで、俺はアルケウス、魔術師のモナ、そして剣士のシャーリーだ」


「アルケスス!モナ!シャリー!」


なんかちょっと違うように聞こえるが、まあいいだろう。

さて、いろいろ聞きたいことはあるが、ガデムに聞いたところでしっかりした回答が来るかが不明すぎる。

今の少しの会話で分ってしまうレベルだ。


グゥ~~~~~ウ


突如とんでもない大きさの音が鳴った。

音の出どころは、ガデムからだった。


「お腹が空いてるの?」


「オレ、ハラヘッタ」


「だそうだよ、モナ」


まあ、ここに食べれそうな奴らはいるし。


「わかったわ、少し待っててちょうだい」


「よかったね!ガデム。モナがご飯作ってくれるって」


「アリガトウ!モナ!」


なんだかガデムは、喋り方や仕草を見てると、体だけ大人になったような感じがする。

それか獣人の成長がこういうものなのかもしれないが。


「ほらあんた達も手伝いなさい」


ガデムが仕留めた獲物を解体する際、ガデムは気にしてないようだが、俺たちがフォレスト・モンキーを食べるのには抵抗があったので、ホーンラビットにした。


「ホーンラビットってなんだかんだで初めて見たけど、意外と大きいんだな」


「私が前に見たのより大きいね」


「この森のおかげでしょうね」


「イメージしている大きさより大きいのはそのせいか」


そもそもウサギって大きくても全長1Mとかそんなところのイメージだが、こいつは大型犬ぐらいある個体だ。

それが環境によってここまで変わるとは驚きだ。


料理ができ、みんなで食べてみた。

意外とウサギの肉は美味しかった。

よく言う、鶏肉に似ているというのはあながち間違いではなかったな。


「モナ、コレウマイ、アリガトウ」


「それはよかったわ」


ガデムの純粋無垢な笑顔、小さい頃のジルを思い出した。

ガデム 年齢不詳

性格:純粋

魔術:???

身長が2m20cmもある巨漢 (魔断の集いの平均身長は160ぐらい)

頭に牛のような二本の角が生えている大男

流暢に喋ることができない程の知能だが、善悪はつく


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