第二十話 貿易拠点シト
王国を出発して2週間程した。
道中あったことと言えば、野宿が初めてだったモナが最初は俺の土魔法でつくる器具や寝床に驚いていた。
寝床が固いと文句を言われたが、仕方ないだろう。
なんだったら一人の時は、首にクッションなんて物は無く魔法で作った固い枕だったんだから改善されているほうだろう。
実際モナに文句を言うなら作ってみろと言ったんだが、出来栄えに一番失望していたのはモナ自身だった。
魔物にも襲われたりしたが大したことのないやつにしか遭遇しなかった。
そしてイニシ法国への道中にある、シトという名の町に着いた。
城壁に囲まれたこの町はイニシ法国とバルドー王国の貿易拠点の役割を持っている。
なのでここは商人が多くいる町だ。
俺たちはここで旅の物資を整えようとしたが、
「うん…金がねえ。商人の町だからか物価がかなり高い」
「さっきの宿も王国の頃の金額の倍だったわね」
「しょうがない、この町で少しお金を貯めてから行くか」
そこでギルドに向かった。
流石に王国と比べると小さいがしっかりしている。
中へ入り受付の人にカードを渡した。
「冒険者パーティ『魔断の集い』様、お待ちしておりました」
「待ってたというのは?」
「実はギルド本部からあなた方あてにご報告が入っております」
「魔断の集い、及びメンバーであるアルケウス様、そしてモナ様は、Bランクに昇格となります」
「ええ!?ついこの間Cになったばかりなのにですか?」
あっ…
思い出した、そういえば王国を出る前の日になんか審査があって次の日に来てとかって言われてたなそういえば。
まあ晴れてBランクに昇格できたということで、よかった…のか?
「グレイブ・ボアを倒したやつのことでしょ?よかったじゃない」
「そうだな。とりあえず依頼を見てみるか」
Bランクの依頼にもなってくると、基本的には討伐の依頼がほとんどだ。
だが数が少ない、どうしたものか。
Cランクで少し気になったのは捜索依頼がチラホラあったことぐらいか。
とりあえず俺たちは、その日は旅の疲れもあって依頼は受けなかった。
宿に関しては食事付きで一泊銅貨12枚の所にした。
最安の所は泊まりたいと思えるような場所ではないと、モナと意見が合ったためやめた。
手持ちには、緊急用で金貨が一枚あるがこれもこのままだとすぐに消えそうだ。
とりあえずこの町でしばらくお金稼ぎをすることにした。
Bランクの依頼は報酬はいい、ましてやこの町は王国よりも多くもらえる。
だが日数がかかる依頼が多い、そのほとんどが移動にかかる時間だ。
Bランクの魔物は人の住むテリトリーに近づいてくることがない。
あったとしてもCやDランクの魔物が集団で襲撃をする、いわゆるスタンピードしかない。
しかしそんなことはめったに起きないたのだ。
Bランクの依頼は早くても丸一日掛かる。
下位の依頼を受けようとも思ったが、王国と比べそもそもの冒険者の数が少ないかつ、Bランク以上の冒険者も少なくCランク以下が多い。
なので下位の依頼を受けるとその人たちの分がなくなってしまう。
他は知らんがCランク程度であれば一日に複数の依頼を同時に受け同日に完了できるからな。
そう考えるとグレイブ・ボアって絶対Cランクの魔物じゃないよな。
そんな感じなので、依頼を完了した次の日は休みにすることになった。
そして今日はそんな貴重なお休みDAYだ。
俺はこの町を探検してみることにした。
「改めてみるとすごいな」
この町、最安の剣とかの装備品でさえ銀貨一枚からなのだ。
王国では銅貨三枚とかもあったのに。
「お!これは」
町の中央には、この世界の宗教でもあるイニシ教の教会が建っている。
石造りの正しく教会という見た目をしている。
「そういえば王国にもあったんだろうけど見なかったな」
「王国にはまだ信徒が少ないからでしょう」
後ろから唐突に声をかけられた。
「どちらさま?」
「失礼。私は教会のものです」
まあ見た目からしてそうだと思ったよ。
まさに神父ってかんじだな。
右手に持ってるのは、俗に言う聖典的なやつか?
「冒険者様、あなた様はイニシ教をご存じですか?」
「たしか、始まりの神を崇拝しているんでしたか?」
「左様でございます。この世界のすべてを創造した」
「で?要件は何ですか?」
こういう宗教じみたものは、俺はあまり興味がない。
神がいるかはさておき、それを行動を起こしてまで崇拝するかと言われれば別だ。
「我々は、この素晴らしき神に祈りその恩恵を受けています。その恩恵を世界の皆様にも分けて差し上げたいと思っております」
「俺は結構です」
「それはどうしてでしょうか?」
前世にもいたな、こういう勧誘してくるやつ。
しかも断ってもしつこいんだよな。
こういうときの対処法それは、
「俺は神なんてものは信じてないんですよ」
「ではあなたは祈ったりはしないのですか?」
「しますよ、俺に」
「あなたに?それはどういう」
「己自身を神と思い、祈るときは己に祈り誓うんですよ」
必殺、俺自身が神様宣言!
こう言ってやばいやつ認定させれば大抵は帰るのだ。
「何をおっしゃっているのか分かりませんが、それは神ではないのでは?」
「それで言うなら、あなた方のおっしゃる神も違うのでは?」
「…」
「要件はそれだけですか?では失礼します」
ほれ見ろ、あまりにやばいやつすぎて言葉を失ったぞ。
この戦法は万物共通のかもな。
それにしても、実際の信徒を見たのは初めてな気がするな。
あんな感じで入信する人を募ってるのだろうか。
さて、この町の構造とかも大体把握したし宿に戻ろう。
また明日もモナとの依頼を頑張ろう。
といか、もう一人ぐらいメンバーがいれば少しは楽になるのか?
なんてことを考えながら近道を通っているとき、俺の意識はそこで消えた。




