第十八話 Dランクの苦悩
今回の依頼はゴブリン討伐。
場所は、王国の東に位置する城門からそのまま東に行った所の森だ。
歩いて2時間ほどしたところだな。
「いいか、討伐の証として左耳が必要になるからやりすぎないようになモナ」
「わかってるわ、それに森で火魔法とか使わないから」
分ってるならいいんだが。
「そういえばあんた、魔力探知の範囲ってどれぐらいまで行けるの?」
「30ぐらいかな」
「それ本気で言ってる?」
「そういうモナはどれくらい?」
「200ぐらいは行けるわね」
200?ちょっと規格外すぎません?
だってヴィヴィですら60が限界って言ってたけど…俺ですらこれ以上範囲を広げるのは難しいと感じてるのに。
天才と言われるだけのことはある。
「じゃあ索敵は任せた」
「ええ、というかもう見つけたわよ」
「早いな、どこにいる?」
「ここから西の方に10体いるわね、しかも反応の強い個体が2体紛れてるわ」
「反応が強い?ゴブリンじゃないやつでもいるのか?」
「さあ?そこまでは分からないわ」
「加護の力で分らないの?」
「あのねえ、私の力って目視しないと見れないのよ」
そうなのか、便利ではあるけど万能ではないのか。
「とにかく行けば分かるでしょ」
「そうだな」
俺たちは西に進んでいき少しすると奴らがいた。
そうゴブリンだ。
見た目はまさに異世界って感じの、緑色の肌、鼻や耳は尖っている魔物。
そしてここを縄張りにしているのか、木の棒をかき集めて作ったような家みたいなのもあるな。
「ゴブリンって意外と文明人なのか?」
「そんなわけないでしょ」
何て話してたら、明らかに違うサイズのゴブリンがいた。
ホブゴブリンってやつか?
「なるほど。反応が強い個体はこいつだったのね」
「あれはホブゴブリンか?」
「そうね」
「強いのか?」
「ゴブリンと比べればだけど、私たちの敵ではないわね」
そうなのか。
まあゴブリンキングとかだったら強いんだろうな。いるかは知らんけど…
おそらくだが、加護の力で見たモナが大したことないってい言ってるんだから、
「じゃあ早速、初めて共同作業と行くか」
「足引っ張らないようにね、勇者様」
「言ってろ」
そういって俺は攻撃を仕掛けた。
まずは手前にいる2体を片付けに剣を振るうとあっさりと倒せた。
やはり弱い魔物なのか。
この地点でゴブリンは攻撃されていることに気づき戦闘態勢に入った。
そして5体のゴブリンと2体のホブゴブリンがこちらに向かってくる。
俺が迎え撃とうした次の瞬間、目の前に土魔法の棘が大量に生え、ゴブリンを串刺しにした。
ホブゴブリンはこれをすんでのところで回避していた。
あとはホブゴブリンだけか、俺も負けてられない。
再度剣を構え攻撃に行く。
ホブゴブリン達は、回避はしたものの魔法によって作られたフィールドにあたふたしている。
俺は難なくその2体を倒した。
あれ?さっき10体ってモナは言ってなかったか?
モナの方を見たとき、木を伝って奇襲を仕掛けるゴブリンがモナに攻撃を仕掛けていた。
「後ろ!」
「問題ないわよ」
そういうとモナは、「炎の槍」を見向きもせず命中させた。
そうしていとも簡単に依頼は完了した。
本来は3体だけでいいんだが、まあ群れをたまたま討伐したんだしいいか。
依頼の完了の証明に、ゴブリンの左耳を切って持ち帰る。
一応ホブゴブリンも持ち帰る。
「なあ、一つお願いなんだけどさ」
「なによ」
「援護してくれる時、せめて何を発動するかは言ってくれると助かるんだが」
「別にあなたに当てることなんてないんだから大丈夫でしょ」
「もし当ててしまったらどうするんだよ?」
「あててもあなたの実力なら死なないわ」
「もしもの話をしてるんだ。もしもお前の援護が俺に命中して、けがや最悪死んだ場合お前はどうするんだ?」
「それは…」
「最後のゴブリンを仕留めた時のような場面ならいいけど、あの土魔法で援護してくれた時のような場面はせめて何を発動するのか言ってくれたほうが、俺は安心できるんだが」
実際あの場面、向かってきたゴブリンたちを俺は迎え撃とうしていたからな。
発動がもう少し遅くて俺が攻撃をしていたら、俺も串刺しになっていただろう。
「わかったわよ、次からは気を付ける」
「ありがとう。そのほうが俺もお前に背中を預けれるから」
「じゃあさっさと耳回収して帰ろう」
「そうね」
そういえば、あの土魔法はなんだ?大地の棘とは違う魔法だったが、
「ところでさっき援護してくれた魔法ってなんだ?大地の棘じゃないだろ?あれ」
「あれは土の上位魔法大地の牙よ」
「上位魔法にしては範囲が狭くないか?」
「あたりまえよ、範囲狭めて使ったんだから」
「上位魔法は範囲が広すぎるのと消費魔力が多いのが欠点だけど、範囲を狭めるだけでも威力をそのままにして魔力消費を抑えれるわ」
その発想は無かったな。
てっきり上位魔法は、魔力消費の激しい分範囲と威力に長けているものだと思っていたな。
ヴィヴィはこれをできないんだろう、初めて聞いたし。
今日は昼過ぎてからの依頼だったから、帰還したときには夕方になっていた。
とりあえずギルドに完了報告をしに行かないと、今日野宿することになってしまう。
「すみません。以来の完了の報告を」
「はい。パーティ名をお伺いしてもいいですか?」
「魔断の集いです」
「少々お待ちください」
この世界には魔道具は存在するが、あまり発展してないのかハイテクってほどの物はない。
そのため管理系はすべて手作業でやっているんだろう。
「お待たせしました、ゴブリンの討伐ですね。左耳はお持ちですか?」
「持っているんですけどその前に聞いても?」
「はい。なんでしょう」
「討伐に向かったゴブリンがそこそこの群れになっていまして、ホブゴブリンもいたので討伐したんですけどこの場合」
「え!?ホブゴブリンを倒したんですか?見せていただけます?」
そんなに驚くことか?あのホブゴブリン対して強くなかったけどな。
とりあえず、取ってきた耳を受付に提出した。
「たしかにゴブリン8体とホブゴブリン2体ですね」
「今回の依頼は3体なんですけど、他やそれ以上倒すのって駄目だったりします?」
「いいえ、それは大丈夫です。ただ新人Dランクの方がホブゴブリンの群れを討伐したのであれば…」
なんかものすごく迷っているが…
「とりあえずこれに応じた報酬はお渡ししますので少々お待ちください」
ホッ…追加は出るのかよかった。
正直Dランクの依頼単体はあまりおいしくないしな。
「お待たせしました、今回の報酬になります」
そう言って渡された報酬は、
・依頼分 銅貨 3枚 鉄貨 5枚
・追加分 銀貨 2枚 銅貨 8枚
となった。
まあご飯付きの宿を二人で3,4日分ぐらいか。
とりあえず報酬は半分ずつでいいだろう。
俺たちは宿に泊まることにした。もちろん部屋は別だ。
一泊食事付きで銅貨4枚。
この辺りでは安いほうだった。
他だと6枚とかもあるからな。
だがこんな調子だと、お金はいつまでもたまらない。
ランクが上がれば少しは改善されるだろう。
「ねえアルケウス、一度に三つまで受けれるんでしょ?なら三つ同時にこなしていけばいいじゃない」
たしかにそれはそうだな、一個一個じゃなくて一回複数を同時にやれば移動時間を減らせるな。
それにDランクは荷物が増えそうな依頼はほとんどないからそれが一番効率的だ。
「そうだな、明日からそうするか」
次の日から俺たちは三つの依頼を同時に受けるようにした。種別を問わずに。
成功や失敗から学ぶ機会も多かった。
例えば、スライムの討伐では証明として核を持ち帰るのだが、モナが倒すと核もろとも消滅するので出禁にした。基本は俺が剣で倒すことになったり。
町中の依頼でも、町の人の手伝いはモナは向いていない。
それで依頼失敗なんてことも多かったしな。
だが、数の多いゴブリン討伐や、薬草の採取に探し物の手伝いでは大いにモナの力が役に立つ場面も多くあったのだ。
そんなこんなでCランクに昇格できるようになるまで3ヶ月も掛かっていた。
俺って本当に勇者だよな?なんでこんな序盤でぐだってるんだろうか。
Cランクになれば出来る事や報酬も増える。
お金もだいぶ余裕が出て来たし、Cランクになったら王国から出て旅にいこう。
魔王を倒しに…
この世界の貨幣
鉄貨 約100円
銅貨 約1000円
銀貨 約10000円
金貨 約100000円




