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知と記憶の回廊を抜けて:異世界で二度目の生を  作者: 三木 天
バルドー王国編

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第十七話 勇者としての第一歩

さて、これからどうするか。

国王にはやり方はまかせるなんて言われたが、何からやっていけばいいんだ?

魔王を倒すことは約束しちゃったから、オード村に帰って静かに暮らそう!なんてわけにもいかないしな。

じゃあ世界を旅しよう!って思ったけど、俺さっきとあることに気づいたんだ。

金がねえ…

そういえば、村を出るときにお金もらうの忘れてたな。

城にも戻れないから今日泊まる場所も必要だし。

となるとまずはお金の工面からか。

…よし、では異世界定番の冒険者にでもなってみるか。

カエルやヴィヴィの強さの基準も知れるしな。


俺は冒険者への登録をするためにギルド(本部)に来た。

中に入ると結構な人数がいる。

俺が知らない人間っていうのが分かるのか、何人かがこちらを見てきた。

品定めでもしているのか知らんが気にしないようにしよう。

前回は、外からちらっと中を見ただけだったが、外見通り中は広い。

受付窓口が6つもあり建物の壁を伝うように依頼の内容が書かれてるであろう紙が大量に貼られていて、受付の前には待合用のテーブルとイスもある。

さっそく登録するために開いている窓口に行く。



「すみません。冒険者登録をしたいんですけど」


「登録のお手続きですね。ではこちらに記入をお願いします」



あるあるな紙と羽ペンを渡された。

名前と年齢を書けばいいっぽいな。



「こちらでお願いします」



「はい。では少々お待ちください」



そういうと受付の人は裏に行ってしまった。


少しして受付の人が戻ってきた。

その手には見覚えのあるものが握られている。



「アルケウス様、お待たせしました。こちらが冒険者カードになります」



受け取ったカードには名前と年齢が記入されていて、裏面にデカデカと「D」と書いてあるかなりシンプルなものだった。



「こちらで登録は以上になります。続いて冒険者についてのご説明ですがお聞きになりますか?」


「ぜひお願いします」


「かしこまりました」



要約すると、


・ランクはD、C、B、A、Sの5つ、D~Aは個人及びパーティに与えられ、Sは個人のみ

・依頼は自分のランクのものまでしか受けれない

・複数の依頼を同時に受けることもできるが、一度に3つまで

・依頼に失敗すると違約金として報酬の半分を支払う

・国や町などに魔物や盗賊などの襲撃が発生し依頼のある場合は、是非を問わず参加

・国同士や種族同士の戦争行為については、ギルドは関与しない(参加するかは自由)

・依頼等で死亡した場合の責任をギルドに追及は出来ない

・ギルドの信頼を著しく損なうような行為等をした場合、ランク降格や最悪の場合冒険者称号の剥奪


こんなかんじだな。

あとは冒険者のカードに関しては、紛失等をしても再発行を無料でしてもらえる。

ランクの変動や名前や年齢が変わる場合はギルドに持ってくれば更新してくれる。

といった感じだな。



「アルケウス様はパーティには参加等はしますか?」


「いえ。今のところはないですね」


「最初であればかまいませんが、後々はパーティでの依頼を受けることを強く勧めます」


「わかりました。困ったら頼ってみます」


「さっそく依頼はお受けになりますか?」


「まあ見てみてからにはなりますが」


「ではDランクの依頼はあちらの掲示板になります」



そういって受付の人が俺から見て左の方を指した。



「お決まりになりましたら紙をこちらにお持ちください」



とりあえずどんな依頼があるか見てみるか。


Dランクの依頼はまさに初心者向けのものが多かった。

街中のお手伝いや、薬草とかの採取、討伐依頼もあるが定番のスライムやゴブリンとかだな。

この中だったら、まだゴブリンには会ったことがないからこれにするか。

ゴブリンの討伐依頼の紙を持って受付に行った。



「これ受けれますか?」


「拝見します。えっ…ゴブリンの討伐をいきなりなさるんですか?危険ですよ?」


「え?でも受けれはしますよね?」


「それは可能ですが。先ほど登録なさった方がいきなり討伐依頼、さらにソロであるならなおさらです」


「どうしてもだめですか?」


「もしお受けになりたいのでしたら、せめてもう1人同伴の方が居たほうがよいかと」

「あくまで個人的な意見なので無視してお受けになっても構いませんが、ケガをしたり死亡した際の責任はギルドでは負いかねますので」


「わかりました」



ここは大人しく退こう、もう1人同伴を連れてくればいいんだろ?すぐ見つかるはずさ。




なんて思ってた時期が俺にもありました。

あのあとギルド内にいたほかの冒険者に声をかけたが、Dランクは報酬が旨くないとか、新人だからとかでまさかの全滅だった。

はあ、どうしよう。

もうすぐお昼だが、金はないし、城壁の外に言って狩りをするのも面倒だ。

いっそ討伐じゃなくて、採取系とかの依頼にするか?



「いったいこんな所で何をしているのよ?」



誰だ?こんな時に声を掛けてくるのは?聞き覚えがある声だけど…

そう思い振り返るとそこには、



「勇者ともあろう人が、広場の椅子で何をしているの?」



モナ・マナリアがいた。



「あなたこそここで何を?」


「私はたまたま通りがかっただけよ」


「宮廷魔術師は暇なんですか?」


「今日はお休みなの!それよりあんたは何してたの?」


「冒険者になって依頼を受けようとしたらもう1人同伴が居たほうがいいって断られたんです」


「何を受けようとしたの?」


「ゴブリンの討伐です」


「ふーん。あなたならゴブリン相手は楽勝でしょう?」


「まあ新人がいきなりソロで討伐なんてやろうとしてるから止められたんですよ」


「そういうことね」




「ねえ…私が一緒に行ってあげようか?」



は?今一緒に行くって言ったのか?

だがこれは好都合か、モナなら実力もあるし、依頼を受ける条件を達成できる!

あっでもこいつって…



「宮廷魔術師が冒険者の依頼なんか受けていいんですか?」


「なんで?」


「依頼を受けるには冒険者の登録が必要ですよ。国王様は許してくれるんですか?」


「ああ、そういうことね…ちょっとここで待ってなさい」



そう言って彼女は何処かへ行ってしまった。

待ってろって言われたけど何をしに行ったんだ?

しかし彼女が助っ人として来てくれるならかなりありがたい。


30分ほどして彼女は帰ってきた。



「おまたせ、じゃあいきましょ」


「え?今何をしてきたんですか?」


「宮廷魔術師、やめてきたわ」


「は?」



やめたって言ったの?この人。

てかそんな簡単にやめれるものなのか?



「なんでそこまでして」


「あなたの魔法やその使い方に興味があるからよ」


「それだけですか?」


「あとはそうね、私のような魔術師がいれば魔王を倒すあなたの目的も達成しやすくなるでしょ?」



それはそうかもしれないが…って魔王を倒す旅にもついてくる気か?



「なによ、文句でもあるの?」


「ないです、ないです。とってもありがたいです!」


「あたりまえでしょ?ほら、早くいくわよ」



その後モナの冒険者登録をしにギルドに向かった。

中に入ったときなんとなく予想はしていたが、モナが入った途端周りの冒険者がざわついていた。

当の本人はあまり気にしていない様子。



「すみません。彼女の登録をお願いしてもいいですか?」


「はいかしこ…って宮廷魔術師のモナ様?!なぜこちらに?」


「さっきそいつが言ったでしょ?私も冒険者になるのよ」


「しかし、王宮の任は?」


「もうやめたから大丈夫」


「はあ…」


「本人曰くやめたそうなので登録していただいてもいいですか?」


「かしこまりました。ではこちらに記入を」



そういって俺が登録した時と同じものを渡されたっモナは、サクッと書いて受付の人に渡した。



「はい。ところでモナ様。あなた様のような方ですので、いきなりAランクからでも…」


「そういうのいいから、他の新人と同じでお願い」


「しかし…」


「いいって言ってるの!」


「かしこまりましたぁ。少々お待ちください」



受付の人は慌てて裏へ行ってしまった。



「あんな言い方しなくてもいいんじゃないですか?」


「最初から贔屓されるなんて御免よ」



なんか謎のプライドみたいなものか?



「お待たせしました。モナ様の冒険者カードはこちらです」


「ありがとう」


「ところで先ほどの討伐以来はまだ残ってますか?」


「はい、まだ誰も受注しておりません。お二人はパーティを組まれるんですか?」


「そうですね」


「ではパーティ名をお決めください」



パーティ名か、どうしよう。

たしかカエルとヴィヴィのパーティは、ニュースターだったか?

名前に勇者っていう直接的なのは入れないほうがいいよな。




よし決めた。



「『魔断の集い』でおねがいします」


「ええ?!なんで勇んぐっ!」



慌てて俺は、モナの口をふさいだ。



「えっと『魔断の集い』でよろしいでしょうか」


「はい。お願いします」


「では更新しますのでカードの提示をお願いします」


「モウ、ハアシテ!」


「あっすみません」



口から手を放し、お互いのカードを渡した。

受付の人はまた裏へ向かっていった。



「(ねえ、どうして勇者パーティみたいな名前にしないのよ)」


「(あんまり目立ちたくないからです)」

「(まわりを見てください。あなたのような人が俺のような新人と関わるだけでも、あのように周りで噂をし合うんです。俺はそういう存在にはなりたくないので)」



そういってモナは周りを見て納得したのかそこからは静かにしてくれた。



「お待たせしました。更新が終わりましたのでお返しします」



受け取ったカードの裏面に個人とパーティのランクが追加されていた。



「それではパーティについてのご説明です」



これも要約すると、

・ランクは同じD~Aであり、メンバーの平均もしくは上位数名のランクに応じて決まる

・メンバーの追加はリーダーそしてギルドの承認が必要

・脱退はリーダーのみで可 ただしギルドへ報告を忘れないように

・報酬金の分配についてはリーダーに依存する その際の問題等にはギルドは一切関与しない

・パーティの解散についてはリーダーの申請で可 または全滅した場合は自動解散となる


あとはランクに応じて追加の報酬が出る場合があったりとかもあるがほとんど個人と一緒だ。



「説明は以上になります。それでは早速依頼をお受けしますか?」


「おねがいします」


「かしこまりました。では受理いたしましたのでお二方、頑張ってください」



ようやく初めての依頼を受けることができた。

なんだか長かったな。



「これでようやく依頼に行けるわね」


「ええ。ただその前に…お昼食べてもいいですか?」


「そうね。そうしましょ」


「ちなみに一文無しなんですが」


「それぐらい奢るわよ!」



さすが元宮廷魔術師様!助かります!


昼食は露店で売ってた、ホットドッグのようなものを食べた。

簡素なパンに葉と肉を挟んだだけだが、まあ、シンプルに美味しかったかな。



「ねえ」


「どうしました?」


「その喋り方やめてくれない?」


「どうしてです?」


「パーティ仲間なのに距離を感じるから」



そっか、本人がそういうなら…



「ならこれでいいか?」


「いいわね。ところであなた歳は?」


「15」


「15?!じゃあ私の方が二つ上ね、やっぱりさっきの喋り方に戻してもらおうかしら?」


「どっちだよ」


「ふふっ、冗談よ」


「ところで俺も一つ俺も気になったこと聞いていいか?」


「何?」


「昨日の模擬戦の時、俺の魔力量が何とかって言っただろ?俺の知る限り魔力量を計る魔法なんて無いと思うんだけど」


「ええ、無いわねそんな魔法」


「じゃあどうやって?」


「あたし実はあんたと同じ加護持ちなのよ。魔力検知って加護」

「魔力探知の魔法と同じように、魔力を探知もできて、見る相手を限定すればその者の魔力量とかを数値で見れるの。結構便利よ?」


まさか加護を持って生まれるのってかなり稀って聞いてたのに、俺以外で持ってるやつがもう出てくるのは予想外だった。

だがモナのその力はかなり便利そうだ、言っていることが本当なら相手の強さが大方分かる力ってことだろう。多分



「とりあえず討伐に向かうか」


「ささっと終わらせましょ」



勇者の旅に突如、元宮廷魔術師が加わり二人となった。

そしてこれからゴブリンの討伐へ向かっていく。



―――

・ガルシルド国王視点・

アルケウス・クロニカ…

奴の実力は本物だが未熟でもある。

5年前、息子が見つけた人物。

当時はまだ子供だったから連れてこなかったのだろうな。

まだ成人して間もない者だったとは。

モナが本領を発揮できない場とはいえ、彼女に勝ったのだからな。


国王はそんなことを考えていると突然謁見の間の扉が開いた。

その人物はモナ・マナリアだった



「どうしたモナよ。我に何か用でもあるのか?」


「宮廷魔術師をやめれないでしょうか」


「???」


「陛下…」


「待て、宮廷魔術師をやめたいと申したか?」


「はい」


「理由を聞いても?」


「アル…勇者の使っていた魔法に興味があります、彼の近くでその研究などをしたいというのと、彼一人で魔王を倒すというのは難しいでしょう。なので私が一緒についていき、魔王を倒す助力になれればと」


「ふむ…本当にそれだけか?」


「……」


「まあよいだろう、ではお主の宮廷魔術師としての任を解く、何処へでも好きなように行くがよい。ただし、今後この城に個人で立ち入ることは許さぬ、よいな?」


「かしこまりました」


「では行け」



モナ・マナリアが去ったあと、息子のザイン=バルドーが入ってきた。



「いいんですか?父上。あのような貴重な人材をこうも簡単に手放してしまって」


「よい。あやつは確かに強い、それは儂も認める程に。12歳で宮廷魔術師となった天才箱入り娘は現実を知らなすぎる。自分以外に興味を持った今こそ良い機会だと思っただけの話」


「父上はお優しいですね」


「お前もいつかこの座に就いたときに分かる。次に王位を継ぐのはお前なのだから」

モナ・マナリア 17歳

職業:元宮廷魔術師 現Dランク魔術師

魔術:ほぼすべての魔術を詠唱破棄して扱える

若干12歳で宮廷魔術師となった天才 魔力検知の加護を持って生まれた 魔力の探知や相手の魔力を数値化したりして詳細な情報を見ることができる特異体質

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