第十三話 それぞれの祝い日
第二王子から5年後に王国に来てほしいと言われた。
5年後、つまり15歳になったらこの村を出る。
なんだか上京するみたいだな。
まさか俺が勇者とは、人生なにがあるのかわからないもんだ。
それにしても、王子は俺のことを五代目って言ってたな、俺よりも前ってどんな奴が勇者をやってたんだ?その強さはどれくらいだ?気になってレイルに聞いてみた。
しかし勇者に関する情報はほとんど不明らしく。レイルですら一部しか知らなかった。
・先代は約250年前に召喚された
・歴代の勇者は全員が魔王に敗北し死亡している
これしか明確に判明していないそうだ。
強さに関して、ほとんど正確な情報はないとか。
まあ言伝だけじゃ実体のないものなんて伝わらないよな。
とにかく、俺は5年後の旅立ちまでに今よりも腕を上げないといけない。
今のままでは、魔王とやらには勝てないだろう。
最低でも、人類最強!ぐらいか?
なんて考えつつ、旅立つ日が楽しみな自分もあった。
―――
2年後、シャーリーが10歳を迎えた。
今では家族のような関係になっていた。
彼女には伝えてないが、今日サプライズで祝う予定だ。
そこで俺は両親にこのことを伝えると、二人は快く了承してくれた。
二人も元々お祝いする予定だったらしい。
そしてヴィヴィにも手伝ってもらうことにした。
シャーリーはいまだに魔法が苦手だったからそこを一日かけて改善してもらうよう頼んだ。ついでにジルの面倒も。
まあこれはあくまで口実なんだが。
そして俺とカエルで夕飯の調達、レイルは朝から王国にプレゼントを買いに行ってもらった。
俺とカエルはあの懐かしき森に来ていた。
初めて魔物討伐をしに行った、あのフォレスト・ハウンドを倒した森に。
カエルと一緒に来たのは何だかんだであの時以来、実に5年ぶりぐらいだな。
その間も来てはいたが、彼女は出産とかがあって基本はヴィヴィと一緒だったから二人でくるのは本当に久しぶりだ。
今回狩る獲物は、フォレスト・ホーンという牛のような魔物だ。
温厚で人に害をもたらすことのない魔物だが、その肉は脂がのって柔らかくて美味い。和牛ほどではないけどね?
森の奥地にひっそりと住まうから、実はレアものだったりとか。
強さは大したことない、せいぜい激怒した際の強さがCランク下位ぐらいだ。
俺たちは森の奥地まで来た。
そこで俺は「魔力探知」を使って獲物を探す。
半径は20メートルぐらいまで探知できる。
不必要な部分とかを削って前だけに集中とかであればもう少し行けるが、今はこれが限界だ。
ちなみにヴィヴィは60メートルぐらいはいけるとか。
まあそんなことは置いといて、見つけた。
カエルに位置を伝えると、彼女は「よし」と言って静かに先行していった後を俺も続く。
実際に目視してから、二人で息を合わせて先ずは足を狙って移動を制限した。
そして動けなくなったところを、心臓を一突きだ。
あまりにも簡単すぎたな。
まさか帰り道にとんでもない勇者の試練が?なんて考えてたが何事もなかった。
ちょうどいい機会だから、魔物の解体も教えてもらい無事こっちのミッションはコンプリートだ。
その日の夕飯、サプライズパーティを受けたシャーリーはとても驚いていた。
普段より豪華な食事、そして俺の発案とカエルによって決まったプレゼント、その中身は剣にした。
提案されたときは女の子に剣はどうなんだと思ったが、カエルは彼女の実力と将来性を加味して今のうちに送りたいと言い出した。
上手く機会を利用したわけだ。
まあ、俺も彼女の剣の実力については認めていたから承諾したんだけどね。
シャーリーは喜んでいた。
これで守りたいものが守れる。
何て言いながら喜んでいたな。
―――
それから1年後
今日はジルの5歳になった祝い日だ。
最近こういうことが多い気がするがまあいいだろう。
ジルは父親似に育っていた。
最近はレイルの書斎で一緒になにかをしていることが多い。
今年5歳になる子供とは思えないほどの知識をつけている。
IQだけならシャーリーよりも上かもしれないな。
そんな弟へは、レイル提案の様々な図鑑をプレゼントすることになった。
受け取った時の弟のキラキラした目はしばらく忘れられないだろう。
―――
そしてついに俺は15歳になった。
10歳からの5年という時間はなんだかあっという間だった。
15歳を祝われた翌日に俺は王国に向かう予定だ。
どれぐらいの期間、家に帰れないかは分からない。
数か月か、1年か、もしくはそれ以上か。
そう考えたらさみしく思えてきた。
その日の夕飯も恒例のごとく、普段よりも豪華だった。
そして両親が俺にプレゼントを用意していた。
緑色の生地で編まれたマントだった。
カエルの自作らしい。
レイルからはバッグと旅の小道具をもらった。
まさか二人して用意してくれてるとは思わなかったな。大事にしよう。
生前孤独な時間が多い人生だった、死に際ですら孤独だった俺。
ここでは前世では味わえなかった家族愛があった。
それはもう十分すぎるほどに。
それは、俺が村を出て行った後も変わらないはずだ。
だから胸を張っていこう。
ちなみに勇者の加護の力に関してはマジで何もわかってないからな。
第一章 オード村編 終




