第四話 招待状ととある力
三日後。
ひだまり孤児院に、一通の招待状が届いた。
朝食の時間だった。
マーサのスープが並び、トトが自分の十回の呼吸宿題を終え、ガルが朝の正拳突き五百回を済ませ、ユアンがその記録を勝手に確認しようとしてガルに睨まれていた頃。
門の外から、声がした。
「王城より使者です!」
トトは立ち上がった。
走らない。
一度、壁の二十七番を見てから玄関へ向かう。
「合言葉!」
使者は慣れた様子で答えた。
「どこへ帰る? ひだまりへ帰る」
トト「よし!」
マーサ「最近、王城の人も慣れてきたねぇ」
ガル「慣れないと入れないからな」
ユアン「防犯意識としては正しい」
ミリ「合言葉」
リリィ「猫にも必要?」
猫「……」
使者が持ってきたのは、王城からの書状。
そして、もう一通。
白い封筒に、青銀の封蝋が押されている。
セシリアが封を見て、少しだけ眉を上げた。
「学院印ですね」
トト「学院?」
ユアン「王都学院?」
エル「貴族や王族、魔法使いの子たちが行くところ?」
リュシア「正確には、王立アルクレア学院ね。王族、貴族、有力な騎士家、魔導士候補、特別推薦者が通う場所よ」
ガル「俺たちには関係なさそうだな」
レオンは封筒を見た。
「そうとも限らない」
トト「えっ?」
レオンは封を開けた。
中には、丁寧な文字でこう書かれていた。
『王都冒険者ギルドマスター、レオン・ガルディア殿。
ならびに、ひだまり孤児院関係者各位。
王立アルクレア学院は、王族御二方の基礎教育および今後の入学準備に関し、協力者としてレオン・ガルディア殿、ならびに関係者の見学を歓迎いたします。
つきましては、三日後、学院見学および適性測定会への参加をお願い申し上げます』
食堂が静かになった。
そして、次の瞬間。
トト「学院見学!?」
マーサ「声」
トト「学院見学……!」
ミリ「がくいん」
リリィ「猫も行く?」
猫「……」
フィリア「猫はたぶん入れません」
リリィ「猫、落選」
猫「……」
ガル「なんで俺たちまで?」
セシリア「“関係者の見学”とあります。おそらく、王族御二方の教育にレオン様が関わっているためでしょう」
リュシア「それだけじゃないわね。学院側は、ひだまりの子どもたちにも興味があるのよ」
エルの肩が少しだけ揺れた。
レオンはそれを見て、すぐ言った。
「無理に行かせない」
エル「……」
マーサ「見学なら、見るだけでもいい。行くかどうかは、ちゃんと考えて決めよう」
トト「俺、行きたい!」
ガル「早い」
ユアン「まだ内容を読んでいる途中」
トト「でも学院だよ! ルカ王子もいるかもしれない!」
レオン「ルカ殿下とアリシア王女は来る」
トト「行きます!」
ガル「目的が分かりやすいな」
ミリ「学院すーぷある?」
リュシア「そこは分からないわ」
マーサ「スープの基準で行き先を決めない」
フィリア「でも昼食環境の確認は大事です」
レオン「そこまで確認するのか」
フィリア「します」
セシリア「では、学院見学予定表を作成します」
レオン「早いな」
マーサは招待状を見ながら、小さく息を吐いた。
「学院か。王子様や王女様が行く場所だろう?」
リュシア「ええ。でも、特別推薦なら平民出身でも入れるわ。特に魔法、学術、騎士、治癒、神聖系の適性があれば」
エル「神聖系……?」
その言葉に、レオンの目が少しだけ動いた。
ほんの一瞬。
誰も気づかないほど小さな動き。
ただ一人、リュシアだけがそれを見た。
「レオン?」
レオン「何でもない」
リュシアは少しだけ目を細めた。
何でもない顔ではなかった。
同じ日の午後。
王城訓練場では、学院から届いた招待状の話で少しだけ騒がしくなっていた。
ルカは木太刀を持ったまま、そわそわしている。
アリシアは落ち着いているように見えるが、指先が少しだけ忙しい。
国王エルドランも、今日は訓練場まで顔を出していた。
国王「学院側も動き出したか」
グレン「王族御二方の入学準備としては自然です」
ルカ「学院……!」
レオン「声」
ルカ「学院」
アリシア「ルカ、まだ行くだけよ」
ルカ「分かっています。でも、いよいよという感じがします」
アリシアは少しだけ微笑んだ。
「そうね」
リュシアは水晶を取り出した。
「今日は学院見学の前に、二人の魔力と戦気の状態を確認しましょう。学院に行けば、必ず適性測定を受けることになるわ」
アリシア「適性測定……」
ルカ「僕は太刀適性ありってもう記録されています!」
レオン「喜ぶな」
ルカ「はい!」
フィリア「今日は無理な訓練ではなく、確認中心ですね」
レオン「ああ」
ルカには、いつもの宿題が出ている。
第1段階を解放したまま、素振り千回。
朝五百、夕方五百。
すでに三日続けている。
まだ三日。
だが、三日ですでにルカは理解し始めていた。
千回は、ただの数ではない。
最初の百回は気持ちが走る。
二百回で肩が重くなる。
三百回で呼吸が乱れ始める。
四百回で戦気が薄くなる。
五百回の頃には、太刀筋よりも、立っているだけで大変になる。
それを雑にやれば、全部やり直し。
レオンの宿題は、やはり地味で厳しかった。
ルカ「昨日、三百七十二回目で戦気が消えました」
レオン「なぜだ」
ルカ「呼吸が浅くなりました」
「どうした」
「休みました。戻してから再開しました」
レオン「いい」
その一言で、ルカは少しだけ嬉しそうになる。
だが、すぐ呼吸を整える。
喜びで戦気を乱さない。
アリシアはその横で、自分の魔力を整えていた。
彼女の魔力は、以前よりずっと澄んでいる。
白銀のような光。
リュシアが補助水晶をかざす。
「アリシア、今日は少し深く見てみるわ。怖かったらすぐ言って」
アリシア「はい」
レオン「無理はするな」
アリシア「はい」
グレンは少し離れた場所で見守っている。
国王も、表情は穏やかだが、目は真剣だった。
アリシアは目を閉じた。
足の裏。
呼吸。
胸。
心臓。
魔力の流れ。
そして、体の奥。
リュシア「魔力は安定。以前より流れが太くなっているわ」
アリシアの周囲に、白銀の光が淡く広がる。
魔法の光だ。
風が揺れ、砂が少しだけ舞う。
ルカ「姉上……」
フィリア「魔力上昇、急激ではありません。安定しています」
リュシア「いいわ。そのまま、手のひらに集めて」
アリシアは右手を前へ出した。
白銀の魔力が集まる。
小さな光の球になる。
リュシア「形を保って」
アリシア「はい」
その瞬間だった。
光の色が変わった。
白銀の奥から、柔らかな金白色がにじみ出た。
魔力ではない。
闘気でもない。
戦気でもない。
もっと深く、もっと温かく、もっと静かな力。
訓練場の空気が一瞬で変わった。
フィリアが息を呑む。
「これは……」
リュシアの顔色が変わった。
「待って。これは魔力じゃない」
アリシア「え?」
アリシア自身も戸惑っていた。
手のひらの光は、魔法の光ではなくなっている。
傷を塞ぐ魔法とは違う。
治癒術の光とも違う。
そこにあるだけで、空気が清められていくような力。
国王が立ち上がる。
「アリシア?」
ルカ「姉上!」
その時、訓練場の端にいた一羽の小鳥が、ふらりと落ちた。
昨日の防衛訓練で結界にぶつかり、弱っていた鳥だった。
アリシアの金白色の光が、その小鳥へ流れた。
誰も止められなかった。
小鳥の折れかけていた翼が、淡い光に包まれる。
羽が整う。
呼吸が戻る。
そして数秒後。
小鳥は小さく鳴き、空へ飛び上がった。
訓練場が完全に静まり返った。
フィリアが震える声で言った。
「回復……いえ、違う。治癒魔法ではありません」
リュシア「魔法式がない。詠唱も、構築もない。魔力の消費でもない」
グレン「では、今のは何ですか」
レオンが静かに言った。
「聖力だ」
その一言で、空気が凍った。
ルカ「聖力……?」
アリシア「聖力、ですか?」
国王「聖女が使うとされる、あの力か」
リュシアはレオンを見る。
「あなた、今、はっきり言ったわね」
レオンは黙っていた。
フィリアの表情がいつになく真剣になる。
「聖力は、回復の力です。ですが、魔法による回復とは根本から違います。治癒魔法は、魔力で肉体の修復を促すもの。けれど聖力は、生命そのものの歪みを戻す力に近い」
リュシア「回復力、浄化力、呪いへの耐性、生命維持。どれも桁違いになると聞いたことがあるわ」
グレン「聞いたことがある、という程度なのですか」
リュシア「実物を見る機会なんて、普通はないわ。聖力を扱えるのは、聖女か……」
リュシアの視線がレオンへ向く。
レオンは静かに言った。
「俺だけだ」
再び、沈黙。
今度の沈黙は、先ほどより重かった。
ルカ「レオン殿が……?」
アリシア「聖力を……?」
国王「待て、レオン。今、何と言った」
レオン「聖力を使えるのは、聖女か俺だけだ。今は聖女がいない。だから実質、俺だけだった」
リュシア「だった、ということは……」
レオンはアリシアを見る。
「アリシア王女にも、芽が出た」
アリシアは自分の手を見る。
金白色の光はもう消えている。
だが、手のひらにはまだ温かさが残っていた。
「私に……」
ルカは驚きと喜びと不安が混ざった顔をしている。
「姉上が、聖力を……」
国王はレオンを見た。
「なぜ、今まで言わなかった」
レオン「必要がなかった」
リュシア「またそれ?」
レオン「使わなければならない状況が少なかった」
フィリア「少なかった、ということは……使ったことはあるのですね」
レオンは少し黙った。
「ああ」
グレン「いつですか」
レオン「戦場で数度。あとは、死にかけた者を戻した時に」
フィリア「それは治癒魔法では説明できない回復です」
リュシア「あなた、今までそれを隠していたの?」
レオン「隠していたわけではない」
全員がレオンを見た。
レオン「……言わなかった」
リュシア「それを隠していたと言うのよ」
そこへ、息を切らせてマーサが訓練場に入ってきた。
王城からひだまりへ緊急伝令が飛んだのだ。
アリシアに異常な力が現れた。
その報告を受け、マーサは子どもたちをセシリアに任せて来ていた。
マーサ「アリシア王女様は無事かい!?」
アリシア「はい。大丈夫です」
マーサはほっと息を吐いた。
「ならよかった」
しかし、その場の空気が妙に重いことに気づく。
「何があったんだい」
リュシアが言った。
「アリシア王女が聖力を覚醒したわ」
マーサの表情が変わった。
「聖力?」
フィリア「はい。魔法の回復とは違う、聖女が扱うとされる力です」
マーサ「聖女……」
そして、リュシアは続けた。
「それと、レオンも使えるそうよ」
マーサが固まった。
ゆっくり、レオンを見る。
「レオン」
レオン「……」
「私は聞いてないよ」
レオン「言っていない」
「なぜだい」
「必要が……」
マーサの目が細くなった。
レオンは途中で言葉を止めた。
訓練場にいた全員が、はっきり見た。
王都最強のギルドマスター。
魔族を第8段階で討った男。
灰天太刀の太刀使い。
そのレオンが、マーサの視線で黙った。
マーサ「必要がなかった、かい?」
レオン「……違います」
ルカが小声で言った。
「レオン殿が謝る前の顔です」
グレン「静かに」
マーサは一歩近づいた。
「私は、あんたが怪我を隠すのは何度も見た。無茶を隠すのも見た。書類を隠すのも見た」
レオン「書類は今関係ない」
「関係あるよ」
レオン「……はい」
マーサ「でも、聖力まで隠してたとはね」
レオン「隠していたつもりは」
マーサ「言わないのは隠すのと同じだよ」
レオンは黙った。
マーサは怒っていた。
だが、怒りの奥にあるのは心配だった。
誰も知らなかった。
リュシアも。
フィリアも。
グレンも。
国王も。
そして、マーサでさえ。
レオンが聖力を持っていたことを知らなかった。
マーサ「その力、体に負担はないんだろうね」
レオン「ある」
マーサ「あるのかい」
フィリア「詳しく聞く必要があります」
リュシア「今すぐね」
レオン「今はアリシア王女が先だ」
その言葉で、全員の視線がアリシアへ戻った。
アリシアは静かに立っている。
怖がっている。
けれど、逃げてはいない。
アリシア「レオン様」
レオン「はい」
「私は、危険なのでしょうか」
レオンは少しだけ考えた。
そして、正直に答える。
「力そのものは危険ではありません」
アリシア「では」
「使い方を知らなければ危険です」
アリシアは深く息を吸った。
「教えてください」
国王が顔を上げる。
「アリシア」
アリシア「父上。私は、知らないままでいたくありません。今、あの小鳥を治しました。でも、なぜできたのか分かりません。分からないままなら、また誰かを傷つけるかもしれません」
レオンはアリシアを見た。
その言葉は、ひだまりの二十七番に近かった。
分からないまま、たくさんやらない。
聞いてからやる。
レオン「まず、今日は使わない」
アリシア「はい」
「呼吸。体調確認。記録。魔力と聖力を分ける感覚を覚える。回復しようとするな。祈ろうとするな。救おうとするな」
アリシア「救おうとするな、ですか」
「ああ。聖力は、助けたい気持ちに強く反応する」
フィリア「つまり、感情に引っ張られやすいのですね」
レオン「そうだ」
リュシア「危ないわね。アリシアは責任感が強い」
ルカ「姉上……」
アリシアは少しだけ目を伏せた。
「私は、助けたいと思うと、止まれない時があります」
レオン「だから止まる練習をする」
ルカ「僕と同じですね」
レオン「ああ」
マーサ「力が違っても、やることは同じだね」
レオン「そうです」
国王は静かに言った。
「レオン。アリシアを頼めるか」
レオンは頷いた。
「できる範囲で」
リュシア「できる範囲じゃなくて、ちゃんと説明してもらうわよ。あなた自身の聖力も含めて」
フィリア「はい。体への負担、使用条件、限界、すべて確認します」
マーサ「私も聞くよ」
レオン「……はい」
その日の夕方。
ひだまり孤児院の食堂では、王城で起きた出来事が説明された。
トトは目を丸くしたまま固まっていた。
「アリシア王女様が、聖力……?」
ユアン「魔法じゃない回復の力」
ガル「回復魔法とは違うのか」
フィリア「違います。治癒魔法は魔力で体の治りを助ける力です。聖力は、もっと深い部分に働きかけます。傷だけでなく、毒、呪い、生命力の乱れ、場合によっては失われかけた命にまで触れます」
ミリ「すごい」
リリィ「猫も治る?」
猫「……」
フィリア「簡単に使っていい力ではありません」
エルは静かに聞いていた。
「助けたい気持ちに反応する力……」
リュシア「ええ。だから、優しい人ほど危ない力でもあるわ」
トト「アリシア王女様、大丈夫?」
レオン「ああ。今日は止めた」
ガル「止めるの、大事だな」
ユアン「どの力でも同じだね」
マーサはレオンを見た。
「それで、あんたが聖力を使えることを誰にも言ってなかった話だけどね」
食堂が静かになった。
トト「え?」
ガル「レオン兄ちゃんも使えるのか?」
ユアン「聖力を?」
エル「レオンさんが……」
ミリ「せいりょく」
リリィ「猫も知らなかった」
猫「……」
マーサ「私も知らなかったよ」
その一言は重かった。
レオンは少しだけ視線を落とした。
トト「マーサ先生も知らなかったの?」
マーサ「ああ」
トト「すごい秘密……」
ガル「なんで言わなかったんだよ」
レオン「使う場面がなかった」
全員がレオンを見た。
レオン「……言う機会を逃した」
リュシア「だいぶ柔らかく言ったわね」
マーサ「まあ、今日はそこまでにしておくよ。ただし、後で全部聞く」
レオン「はい」
トトは少し考えてから言った。
「聖力って、レオン兄ちゃんの太刀と同じで、帰る道を作る力?」
レオンは少しだけ目を細めた。
「近い」
エル「傷ついた人を、帰す力?」
レオン「ああ」
フィリア「命を、本来の場所へ戻す力とも言えます」
ユアン「でも、使う人が無理したら?」
フィリア「危険です」
リュシア「大きすぎる回復力は、使う側の心や体も削る可能性があるわ」
マーサ「だから隠してたのかい?」
レオンは少し黙る。
「昔、そういう力を狙う者がいた」
食堂が静かになる。
「聖女がいなくなった理由にも関わるかもしれない。だから、言わなかった」
マーサの表情が変わった。
怒りだけではない。
理解も少し混ざった。
「それでも、今後は話しな」
レオン「ああ」
トトは壁を見た。
二十七、分からないまま、たくさんやらない。聞いてからやる。
今日の話にぴったりだった。
「二十八番目、いる?」
レオン「また増えるのか」
マーサ「今日は必要だね」
ガル「秘密にしすぎるな、か?」
ユアン「でも、秘密にしないと危ないこともあるよ」
エル「じゃあ、大事な力は、信じられる大人に話す?」
ミリ「はなす」
リリィ「猫には?」
猫「……」
トトは紙を持ってきた。
かなり悩んだ。
そして、少し曲がった字で書いた。
二十八、大事な力は、ひとりで抱えない。
食堂が静かになった。
マーサが頷く。
「いいね」
フィリア「とても大事です」
リュシア「今日のレオンにも必要ね」
レオン「……」
セシリア「記録します」
レオン「今日はしていい」
セシリアが少し驚いた。
「よろしいのですか?」
レオン「ああ」
セシリアは静かに微笑んだ。
「では、記録します」
トトは紙を壁に貼った。
二十八、大事な力は、ひとりで抱えない。
アリシア王女の聖力。
レオンの聖力。
エルの大きな魔力。
ルカの太刀。
ガルの拳。
トトの小さな火種。
どれも、ひとりで抱えるには重い。
だから、話す。
聞く。
止める。
記録する。
帰る場所へ持ち帰る。
夜。
レオンは食堂の灯りを落とす前、二十八番目の約束を見ていた。
大事な力は、ひとりで抱えない。
それは、子どもたちだけの約束ではなかった。
自分にも向けられている。
マーサが隣に立った。
「レオン」
「はい」
「今度、ちゃんと話しな」
「……はい」
「怒ってるけど、心配してるんだよ」
「分かっています」
マーサはため息をつく。
「あんたは本当に、強いくせに不器用だね」
レオンは何も言わなかった。
ただ、壁の約束を見続けた。
学院からの招待状。
アリシア王女の魔法と聖力の覚醒。
誰も知らなかった、レオンの聖力。
日々は、少しずつ大きな場所へ向かっている。
学院。
王城。
ひだまり。
そして、聖女不在の時代に現れた、新しい光。
レオンは静かに息を吐いた。
守るものが、また一つ増えた。
けれど今度は。
一人で抱えない。
壁の二十八番目が、そう言っていた。




