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安宿(やすやど)  作者: ウィリアム輝夫
ノート 1
38/70


 私は次々と繰り出される彼女の積極姿勢を気付かぬふりをしてもう少し受け止め続けてれば良かったのであるが、そこから、彼女はもっと積極性を強めてゆき、「だったらどこかで会おう」という風に、いわば合気道のような形で受けていれば良かったのであるが、彼女が「夏も終わりですね。夏祭りも終わっちゃうなあ」と呟いた時に、「これは辛抱たまらん」と思ったのであった。というのも、前にそういうことを私に言ってきた相手がいて、その人のことを「惜しかったなあ」と思っていたので、常々、その気持ちがあったから爆発したというのと、「ある日、急にアメリカにゆきたくなったんですよ。で、学校の先生も、あたしが一回決意したら、絶対に変えない女、というのがわかっていたんで、止めなかったんだけど、9・11の貿易センタービル爆破の事件があったじゃないですか。あれでやめたんですよね」「へえー!」と私は驚いてしまったのと、彼女が情熱的な女だということがわかったのだった。これは愛おしい。私は、次の日辺りに、彼女とLINEを交換しようと言ってしまったのであった。思えば、これが失敗だった。まだまだ相手が誰なのかわからないので、その情報不足を埋めるためにLINEをやったのであるが、交換はすぐにしてくれたものの、「あたし、LINEあんまりやらないんで」と言い出してきたのだった。いや、アップルウォッチしとるやん。それなのに、LINEはやっていない?しかし、それでも送ったら、かなり乗り気ではない返事だった。いや、あんたが誘ったようなもんじゃん。え?何で、俺が積極姿勢みたいなことになっとんの?え?どういうこと?私は信じられなかった。どこかで、彼女の熱が冷めてしまったのであろうか。しかし、態度自体はあんまり変わらなかった。これは、つまり、誰にでも意味もなく親しくしてくる女性ということだろうか。ごく稀にそういう女性がいると聞く。私の友人で、ある女性に童貞を捧げたら、そのサークルのほとんどの男と彼女はやっていた、ということがあったのらしい。そこまで極端ではないが、似たようなものなのかもしれない。ここは異常気象と弁えて、通り過ぎるのを待つかなんて思ったのであるが、しかし、行動の端々にこっちを求めているような雰囲気を纏わせているのである。妙なエロさであった。そういえば、この頃、私に挨拶をして一回りしたこともあった。あれは何だったのか。

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