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三十通目 蒼き葉は女神の便り(ゆきは)
雨が降る
冷たい雨が
主の消えた城下の町に
水は伝う
大樹の雫は
水の女神の嫋やかな胸に
せめて一滴なりと望んだ少女
目の見えぬ友のために
倒れる王を目の当たりにした
奇跡などやはりないのか
それでも向かうは城の北壁
来る日も来る日も友のために
水取りの口にある女神の祠
姿認むは長き髪の女
訪ねる者のついぞ見ぬ
忘れられた場所とばかり
いはくこの地を去るところ
いはく邂逅の縁に餞別を
開いた手には群青の若葉
少女の手に落ちて露を落とさぬ
それは毒の水に穢れし物
この世で最たる憎しみを添えよ
女は去り際ふり返る
栄えるこの地に永く留めと
女は問われ名を残す
私はライア嘘つきの女神
少女は話すなにからなにまで
友は見張る見えぬ目を
それは毒の水に穢れぬ物
言葉は全て嘘なのだと
少女は悟り願いをこめた
友に光を清き水を愛でる眼を
城下は凍え滅びゆく
白き雪と空映う氷に閉ざす
祝福された眼の少女
強く優しき心の少女
二人はいずこかへと旅立った




