調査報告書③ 迷ったら道案内を致しましょう
【聖鑑定】
氏名:ゴットフリート・ベルクソン
レベル:50
性別:非表示
年齢:非表示
種族:レイス
属性:火☆水☆風★土★聖☆闇★
魔法:短文詠唱 非表示 即死魔法
:長文魔法 非表示 精神支配
:長文魔法 非表示 眷属創造
ギフト:探査妨害
:非表示
:非表示
:非表示
称号:ノーライフキング
ソフィアの不安が的中した。
永年共に暮らした主人なのだ。
死霊体になっても魂の波動というか、
色というか。そういうものは分かるのだろう。
僕もソフィアと隷属契約をしてから、
そのような繋がりを感じるこ事があった。
「大丈夫。レイスになっているようだけど、別に問題はない。ソフィアは潜ってていいぞ」
「いえ、後にいてもよろしいでしょうか・・・」
かつての主人のレイスである。
見届けたい気持ちってヤツは良く理解できる訳で・・・
鑑定では詳細が分からない部分もあるけど、
吸血鬼・真祖の時よりステータスは大分劣っている。
これで思考能力が同程度あれば脅威なのだが、
レイスといえど、うかつに僕たちの目の前に現れたところをみれば、
とてもそのような知能が備わっているとは思えない。
彼もまた聖者の墓所に囚われた、
うつろな魂のひとつとなり果てたのだろう。
自動追尾を付与した、
【火球】や【氷槍】を発動させたがダメージは皆無の様だ。
吸血鬼・真祖の時より弱そうだと言ってもそこはレベル50。
動きも早ければ、使用してくる魔法も威力は桁違いだ。
使用できる魔法の欄に【即死魔法:極大(禁呪)】という恐ろしいものが表示された。
こんなものを食らっていたのかと思うとぞっとする。
魔剣の効果がどのくらいのものなのか。
実験したいところであったのだけれと、
再びソフイアを抱きかかえて移動をする羽目になっていたので、
とてもじゃないが魔力を使った物理攻撃まで気が回らない。
ソフィアにも僕と密着している以上、
【絶対魔法防御】の効果は付与されているが、
それでも『アンデットのみ効果的な魔法攻撃』というものが否定できない以上、
戦闘を長引かせるのは得策ではないだろう。
ここはやはり対消滅弾か漆黒の球体で・・・
「・・・ご主人様。ベルクソン様の中から錫杖と同じ魔素を感じるのですが」
「なんだって!?」
僕も魔素探知の感度は最大限に上げている。
相手に対してもそうだったが、
周りに対しても警戒は怠っていない。
アンとペトラを守れなかった事は絶対に繰り返せないからだ。
それに、吸血鬼の真祖がレイス化しているって事は、
あの爆乳魔王だって・・・
いや。あれは魂ごと漆黒の球体に飲み込まれている。
あの中に何があってどうなっているのか。
使用者である僕でさえまったく知ることが出来ない。
爆乳魔王といえど、与えられた魔法といっていたから、
僕と同程度の知識しかなかったはずだ。
ひとつ言える事は、魂でさえも脱出不可能であること。
それほどあの漆黒の球体というのは異質なのである。
自動追尾している魔法が、確実にレイス本体を捉えているが、
ことごとく本体を素通りしている。
実体を持っていない思念体に近い存在なのだろうか。
物理攻撃も魔法攻撃も通用しないって事は、
レベル以上に面倒な敵ということになる。
「ソフィア、それって間違いないのか?僕は感じ取ることが出来ないけど・・・」
「はい、胸のあたりから同じ波動を感じます。間違いありません」
それじゃ尚更のこと漆黒の球体の方は使えない。
全てを飲み込んでしまっては、なんでこんな夜中に、
好き好んで墓場で肝試しに来たんだという事になってしまう。
対消滅だってすべて消し飛ばしてしまったら結果は同じだ。
今夜の僕たちの目的は、あくまでも『調査』であるのだから。
他に何か使える魔法か。
【火属性】【水属性】【風属性】【土属性】【聖属性】【闇属性】
それに複合属性である【雷系】【氷系】【木系】【金系】があるげと、
レベル50以上の相手に通用する上位魔法で攻撃系でいえば、
数えるほどしか扱えない。
そのほどんどがさっきコピーした【即死魔法】系や【呪詛】系であり、
使いたくない筆頭が【即死魔法:極大(禁呪)】なのだ。
ランクでいえば上位魔法の熾天使に分類されている。
あとは空間転移や時間停止くらいだ。
今時間を止めたとしても、
ソフィアの戦闘力の大きさを触診するくらいしか役に立たないだろう。
・・・むう。その手があったか。
【私が自動運転に切り替えて全力で阻止しますよ】
しまった。
脳内のコンプライアンスが自動的に働いた。
あとでセキュリティーレベルを引き下げる方法を見つけ出さねば。
「ソフィア、魔法の絶対防御があるから大丈夫だと思うんだけど、辛くなったら僕を叩いて知らせてくれ。発動する魔法をすぐ止めるから。いいな」
「はっ、はい。すぐお知らせしますがいったいなんの魔法を・・・」
「それ言ったらソフィアが泣くから言わない。じゃあいくぞ!」
威力は最大限の魔素を練り込んだ。
聖者の墓所に来てすぐ使った時より100倍以上の魔力だ。
同じ魔法とは思えない威力を発揮するだろう。
「極大の、退魔魔法ぉ!」
魂を浄化する事によるアンデット系には効果が絶大な退魔魔法。
これに自動追尾を付与して、
一方向に凝縮した砲を放つ。
ビリビリと空気や大地が震動するような衝撃波とともに、
退魔砲はレイス化したゴットフリート・ベルクソンを確実にとらえた。
頼むからこれで天国に行ってくれ。
「あああああああああああっっっっっっっっっ!!!」
僕の腕の中にいたソフィアも同時に声をあげる。
激しくカラダをふるわせて痙攣するかの如くぐったり力が抜けた。
辛くなったら僕を叩けと命じてはいたが、
それが出来ないくらいの衝撃が彼女を蝕んでいたようだ。
「ソフィア、大丈夫か!?」
ベルクソンを捉えた退魔砲は、
囚われの魂が何者かから解放されたかのように、
その動きを止め天に召されていったように見えた。
だが、今はそれどころではない。
何重もの魔法障壁による結界を超えて、
退魔魔法がソフィアに害を及ぼしたのだ。
ここでソフィアを失うようなことになれば、
彼女を人間に戻してやると言った僕の目標はどうすけばいいのだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
ソフィアを失うって事は、何に変えても耐え難い事だった。
「・・・ごっ、ご主人様ぁ。私ぃ、恥ずかしながら●ってしまいました♪」
・・・心配して損した。




