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3Dプリンターで異世界調査はじめました!  作者: しゅーる君
調査報告書②
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調査報告書② そうだお風呂に行こう

アンとペトラを金獅子亭まで送っていくと、

時刻は丁度昼の時間となった。

実は金獅子亭には、僕とアンの為に常時1部屋確保されている。

サテラさんの計らいで、食べる事と住むことは保証されていたのだけれど、

いつまでもサテラさんの世話になり続ける訳にはいかない。

下層の安宿に拠点を移していたのだった。


金獅子亭の支配人が僕の姿を見つけると、

親指を上に振りながらいつもの部屋は空いているとサインをくれた。

この部屋にはベットがふたつしか無いのだけれど、

さすがにもうひとつ無料で頼むという訳にはいかない。

持ち合わせのお金もたいぶ底をついて来たので、

聖都直営ギルドまで魔石を換金しに出かけることにした。


「アンとペトラは公衆浴場にでも行ってきたらどうだ。カラダの具合次第だろうけど」


「私はもう大丈夫ですが、ご主人様に同行します」


「・・・でも、せっかくボーズさんがそうおっしゃってくださってるんだから」


ペトラは浴場に興味津々だ。

聖者の墓所近くの農村宿で、

公衆浴場でゆっくり風呂に入るのが、

あこがれだとか言ってたな。

アンとお風呂の話で盛り上がっていたのを、

ソフィアも目を輝かせていた。


アンとペトラが、

二人一緒で大きな風呂で入浴か。

ふたりで洗いっこなんかするんだろうか。

生れたままの姿であんなところやこんなところを・・・


【マスター、壊れてますよ】


「・・・そうだ。浴場に行ってくれたらパンを買ってきてほしいんだよ。マーサさんから頼まれてたんだ。一人で買い占めると怪しまれるだろうから、ふたりで買ってきてくれ。ひとり10個ずつ買うことができたら上出来だ」


「・・・そういう事でしたら」


「やったぁ、はやくいこうよアン!」


アンとペトラに入浴料とパンの代金、

そして何か買い食いできる程度のお金を渡す。

自分たちだけで浴場に行くからなのか、

アンはなんだか気まずそうなのだが、

ペトラはそんなことはお構いなしの表情だ。

女の子が風呂好きだというのは、

どこの世界でも共通した趣向なのだろうな。


聖都ギルドは上層東地区の大通りに面したところにあった。

パルテノン神殿を彷彿させる重厚な建物は、

聖都の威厳を象徴しているかのようだった。

聖都ギルドは、他の独立系ギルドとは違い、

発注するクエストは聖都行政府のお墨付き案件が多く、

成功すれば対価となる金銭的報酬だけではなく、

冒険者レベルの昇格点数がより多く貰える。

効率よく昇格を狙いたい冒険者たちで、

いつも混雑しているらしい。

またギルド本部は、

聖都における冒険者たちの情報交換のサロンでもあるのだ。


「・・・ランクアップの申請をしたいのですが」


まずは冒険者情報の登録窓口へ向かった。

さすがに魔王討伐は世間に向けて公開できる情報ではなかったのだが、

上級魔族を倒したという事で、

ブロンズからミスリルに一気に昇格できる運びとなっていた。

最高ランクであるアダマンタイトメダルを筆頭に、

全部で9つある冒険者レベル。

最底辺のブロンズメダルから、

上から3番目のミスリルメダルへと、

驚異的な飛び級での昇格を果すことが出来た。

パーティーの登録メンバー全員が昇格対象であるので、

アン・ペトラ・ソフィアの3人も、

ミスリルメダルのホルダーに昇格だ。

ただし、リーダーである僕がこのパーティーに在籍している事が必須条件であり、

パーティーから離脱したメンバーは、

他のメンバーはミスリルメダルを返上しなくてはならない。


この昇格はエリザベスさんの計らいなのだが、

高額な魔石や魔核を換金する際、

ブロンズメダルのホルダーがそのような換金をすれば、

あらぬ疑いを招くだろうとの親心なのだろう。

聖都でのエリザベスさんの実力のほどが垣間見える。

大賢者、司教枢機卿、行政府最高責任者・・・。

いったいいくつの肩書があるのだろう。


ミスリルってのはよく耳にする、

架空の金属だってことしか知らなかったけど、

実際に手に取ってみると、

シルバーの輝きの他に凝縮した魔素の力が宿っている。

普通の銀は、その色を鈍らせていくが、

ミスリルは黄金と同じくその輝きは色あせないらしい。

鋼より軽量で強度は勝る為、

剣や防具などに用いられるが、

お値段はとてつもなく高いのだとか・・・


僕の身の丈に相応しくないと諦めていたけど、

思いがけない吸血鬼の真祖や爆乳魔王との遭遇を考えれば、

備えるものは備えておかないと、大切なものを失くしてしまう。

アンとペトラの事を思い出すとなんだか胸が苦しくなる。

もうあんな思いはさせたくない。


【エミリー、このメダルになにか刻んであるな】


神聖文字(ヒエログリフ)ですね。アン・シャーリー。名前が刻まれています】


そうか。

身分証明の役割があると言ってたな。

もっとも免許証のような役割より、

死んで躯となった際の識別証明に近いのだろうが。

ブロンズだと通し番号しか刻まれてなかったけど、

昇格すれば待遇も違うものだな。

宿に帰ったらアンたちに渡してやろう。

ちょっと無粋だけど、お揃いのネックレスだからな。


【えーと、次は魔石の換金所だな。窓口はどこだ?】


【マスター、換金所はクエスト受付の手前を左です】


おっと、行き過ぎたか。

あわてて足を止め、急に方向転換してしまったから、

他の冒険者の人と思いがけずぶつかってしまった。


「おっと、あぶねぇ!」


「すみません、突然方向変えてしまって・・・」


大柄な冒険者のお腹めがけて顔を突っ込んでしまった。

もっとも相手はミスリルのスケールメイルを着用していたので、

ダメージはほとんど無いように見えたのだが、

お腹のあたりが真っ二つに割れていた。


「サルドウスさん!」


「ボーズか。お前こんなところで何やってるんだ」


「サルドウスさんこそ。お怪我は大丈夫でしたか?」


「なに、ボーズに切られた傷より今のはちっとも痛くねーな」


「それ、笑えないですよ」


「もしかしてお前換金に来たのか。実は俺も同じだ。しかし悪いな、気を使ってもらって。こんな高価な魔石を預けてくれてたなんて。知ったのは昨日の夜だ。どうするか一晩みんなで考えた結果、厚意に甘えて換金することにした」


「そうしてくれると僕もありがたいです。みなさんには感謝してますから」


「それはこっちのセリフだ。でもまいったな。ちっょと問題があるぞ・・・」


「どうしたんですか?」


「いやなに、この魔石。買い取るには金が足りないらしい。今すぐ準備できないって換金所がパニックになってな」


「どんだけの金額だったんですか?」


「金貨1500枚」


「1500枚!?」


あの計算方法でいうところの1億5千万円。

僕の手元には4つの魔石があるから、

全部で6億円。

サマージャンボ一等前後賞当たったのと同じである。


「それでな、ビリアンティとも話してたんだが、換金で400枚を超えるようだったら、残りはお前に返そうって事になった。俺たちはそれに見合う働きをしていねえからな。1人100枚貰っても多すぎだろ」


「でも、サルドウスさんの鎧も壊してますし・・・」


「これは金貨100枚もしねえ。20枚もありゃ新品が買える。十分すぎるほどのお礼だよ。それにこんな代物がもうひとつ換金だなんて事になればギルド中がひっくり返るぞ」


エリザベスさんも換金するタイミングをみろって言ってたな。

ここはサルドウスさんの言うとおりにしておくべきか。


「それじゃ、残金は僕が預かります」


「1時間後にまた来てくれって事だ。それまで何か食いに行くか」


「はい、お供します。サルドウスさん、皆さん今夜のご都合っていかがてすか?」


「ああ、今夜は何も入っちゃいねえ。しばらくはカラダを休めるつもりだ」


「今夜、夕飯をご一緒できませんか?アンもペトラもみなさんと会いたがってます。それにもう一人紹介したいヤツがいまして」


「なんだ。アンちゃんやペトラちゃんみたいな美少女なら大歓迎だが、汚いオッサンなら勘弁だぜ。果実は青いほうがいいからな♪」


「・・・そういう趣味ならど真ん中のはずですが」


「よし、それじゃ招かれるとするか。場所はどこがいい?」


「聖域への門前にある【金獅子亭】はいかがでしょう。しばらくそこに滞在しようかと思ってまして」


「よし。それじゃ日暮れの時刻で邪魔しよう」



ということで、手放したはずの魔石であったが、

思いもかけず金貨1100枚を手に入れることになった。










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