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3Dプリンターで異世界調査はじめました!  作者: しゅーる君
調査報告書②
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調査報告書② 頼れる人に頼みましょう

「どーも。おひさしぶりです」


宿屋兼食堂の「石の家」には、

魔族襲撃の際に壊れた部分の補修工事の為、

屋根まで足場が組みあげられている。

屋根が吹き飛ぶなど、建物の大半を壊された「石の家」は、

修繕工事の真っただ中である。

それでも壊れていない部屋の一部と、

食堂の営業を続けているマーサさんの根性は見上げたものだ。


あれから2ヵ月近くが経過している。

僕との再会も、サテラさんとこの村を去った日以来なのだから、

さぞかし感動的なものとなるだろうと、

ハグされて苦しいという様なリアンションを準備していたのだけれども、

厨房で料理をしていたマーサさんは、チラリ僕の方を見るだけで、

まったく動く気配は無かった。


「ただいま、マーサさん!」

ってな具合で元気よく登場した方が良かったのだろうか。

なんだか気恥ずかしさの方が勝ってしまい、

フレンドリーな登場となったのだが、

まったくもって裏目に出た感じだった。


とにかく、だまって食堂の椅子に腰をかけてみる。

「石の家」を含め、まだ村の建物の再建は道半ばのようだ。

魔族襲撃事件解決の英雄と歓迎されるのかと思ったけど、

元凶として非難されている可能性もあるのだろうか。

一緒に付いてきたアンもなにやらこの空重苦しい空気に、

いたたまれないような冴えない表情をしていた。


どんっ。


テーブルの上に野菜と肉の入った煮込み料理が置かれた。

あの堅くて噛むほどにあごが痛くなる黒パンも一緒である。

相変わらずマーサさんは不愛想な表情をしているけど、

どうやら歓迎していない訳ではなさそうだった。

そういえば、マーサさんはそんな愛情表現しかできない人だった。

さっき食事はとってきたばかりだけど、

残したら生きてここから帰れないだろう。


マーサさんが料理中、

僕たちに鑑定スキルを使用していたのは、

僕の魔素探知(マナソナー)能力が感知していた。

もちろん本物の偽物(トュルーフェイク)を発動している為、

僕とアンの真のステータスは偽装後のものに見えているだろう。


レベルが上がった今だからわかる。

マーサさんの強さは本物だったという事が。

マーサさんの鑑定が終わると同時に、

僕もマーサさんを聖鑑定させてもらった。

もちろん光の輪は見えないように遮蔽してある。


【聖鑑定】

氏名:マーサ・グレンスフィールド

レベル:49

性別:女性

年齢:148才

種族:ヒューマン

属性:火★水☆風☆土★聖★闇☆

魔法:長文詠唱 非表示

  :超長文詠唱 非表示(禁呪)

ギフト:鑑定(アプレイザル) 鑑定能力

   :体力強化(オーバードライヴ) 身体能力向上

   :炎属性攻撃無効(ファイアレジスト) 身体能力超向上

   :非表示

所属:石の家の女将 

称号:炎帝 爆炎のマーサ



うわっ。

サテラさんよりレベルが高かった。

それになんだよ、超長文詠唱で非表示(禁呪)って。

クリシュナイ伯ほどじゃないけど、

年だって普通の人の年齢じゃない。

化け物・・・という点で全く異論はないのだけれど、

これも高レベルな魔素(マナ)を極めた人の見た目とのギャップという事か。

それに、超長文詠唱で非表示(禁呪)って

非表示という事は、それだけ秘密が深いってことだ。

僕の聖鑑定で分からないという事は、

とんでもないハイレベルな魔法障壁にガードされているか、

聖鑑定を使用する者の能力が低いかということなのだが。

もしかして、あの魔族襲撃の時も、

僕があの魔法を使わなくても、

マーサさんひとりで魔族を退治出来た可能性がある。

そんなマーサさんが、この開拓村で何故ひとりで宿屋を経営しているのか。

よほどの事情があるのだろうが、

それを聞き出せる関係はまだ僕には構築できていない。



「マーサさん、クリシュナイ伯に会ってきました」


「ふん、まだ元気で生きてたのか」


「じさいんって聞いてたから、あんな若い人が出てきたとき驚いちゃいましたよ」

マーサさんが怪訝そうな顔になる。


「・・・クリシュナイ伯とはどこで会ったんだ?」


「聖都にあるなんだかでっかい建物の中にあった小さな祠堂ですが・・・」


「エリザベスも一緒か」


「エリザベスさんも知ってるんでか?」


「まあね。いいかい、世の中には見た目では判断できない事が山ほどあるんだ。人は見かけによらないって事を証明するのに、あの化け物の二人はいい教材なんだよ・・・」


二人は化け物。

その後に、何かを言いかけたところでマーサさんの口が止まる。

まぁ、それがふたりの秘密なのか。マーサさんの秘密なのか。

いまの僕たちが聞いたところでどうにもならない事なのだろう。

それならば聞き出してマーサさんを苦しませるわけにはいかない。


「ええ、おふたりは1000年生きてるって聞きましたよ。びっくりしましたって。思わずサテラさんも1000年生きているのかって聞いたら、思いっきり剣の柄で殴られました。サテラさんは正真正銘の17才でよかったですけど」


「・・・エルフの嬢ちゃんか。役目は果たしたって事かい」


「マーサさんはマクリシュナイ伯が命じた事を聞いていたんですか」


「聖騎士がそんな情報漏らす訳ない。クリシュナイ伯は長年この国の諜報部を司る枢機卿のひとりだ。その直属の部下が何を命じられているのかは知らないが、この村で起こった一番不可解な事っていうのはボースが村に現われた事さ。しかもあんな威力の魔法まで使って見せた。レベル1のひよっこがだ。わたしも長い事因果な商売をやってきたが、あんな魔法を見たのは1度もない」


「・・・レベルに関してはエリザベスさんが見てくれました。ステータスを改ざんするギフトがあったようです」


「それでもレベル16のガキが使えるようなレベルの魔法じゃない。まぁ、エリザベスが見てくれたのなら大丈夫だろう」


「何の事です?」


「レベルの低いやつがハイレベルの魔法を使うと魔素(マナ)に飲み込まれるんだ。そういった警告はなかったんだろう」


・・・しまった。

魔法の能力は無詠唱以外隠蔽したままだ。

今更みてくれという訳にもいかないだろうから、

やっぱりあの魔法はしばらくの間封印するべきなのか。


「ところでそっちのお嬢ちゃんは」


「はっ、はじめまして。アンと申します。ごっ、ごっ、ごしゅ、ごしゅ」


「・・・取って食おうって訳じゃないんだ。そんなに緊張しなさんな」


この人から貴様を食ってやろうと言われれば信じるだろうな。


「あんたのことも鑑定済さ。サテラ嬢の従者ってことはわかる。聞きたかったのは、ボーズと一緒に何しに来たって事だ」


「・・・私はご主人様、ボーズ様の奴隷ですから、ご主人様の行くところへはどこにでもお供します」


この後、マーサさんからグーで3発殴られた。


「誤解だ、誤解だってマーサさん!」


初めて会う人に、

あんな自己紹介は止めろってしっかり教える必要がある。

マーサさんには、この開拓村を出た後の顛末と、

クリシュナイ伯とエリザベスさんとの面談の事。

そしてサテラさんの隷属契約を残したまま、

聖騎士団の小姓として雇われた事。

・・・もっとも給料は貰っていないんだけどね。

「聖魔の雛」という才を見込まれ、

当面の間、自由に自己研鑽する事を許されたけど、

定期的な報告を義務付けられている事などを説明した。


「それでアンが洗礼を受けたから本格的な修行の旅に出ようとした初日なんだけど、ひと悶着あってさ」


「ふん、修行という名の観光旅行だろうが」


「ははっ、否定はできないけど、ここからが今日マーサさんにお願いしたかった本題なんだよ」


「・・・前置きが長すぎだ」


「マーサさんの宿で小間使いの子を雇ってほしいんだ。できれば2~3人」



マーサさんがどんな顔して聞いてるのか。

まともに目を合わせる事は難しい。









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