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3Dプリンターで異世界調査はじめました!  作者: しゅーる君
調査報告書②
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調査報告書② 遺跡調査を開始します

あれから1ヵ月が経過した。

僕とアンはクリシュナイ伯とエリザベスさんに、

勇者ダイドージ討伐の協力はするが、

直属で召し抱えるという申し出は丁重に断ることとなった。

アンの事はちょっと渋られたのだけれども、

もう一度鑑定してほしいとの僕の願いが聞き入れられた。

その結果「カルディナの分霊だ・・・」ってことになったのだけど、

なんだかとてもがっかりしていた様子であり分霊とわかったとたん、

自由にしていいって投げやりな感じとなったのはちょっとムカついた。

なんでも分霊は魂の練度が低いため、

本霊を超えられないらしい。

そんなのやってみなければ分からないはずなのだが、

まぁ、解放されたという事を素直に喜ぶべきなのだろう。


そして本日、アンの15才の誕生日を迎えたのだ。

エリザベスさんの計らいで、

洗礼の儀式は聖域の祠堂で行われることになった。

もちろんお布施は無料である。

収入が限られている僕にとって、

これが非常にありがたい。



【聖鑑定】

氏名:アン

レベル:6

性別:女性

年齢:15才

種族:ヒューマン

属性:火★水★風★土★聖★闇☆

魔法:短文詠唱 妖精の矢(フェアリーアロー)【彼方彷徨う妖精の光、集え我が蒼穹の鏃】

  :短文詠唱 回復魔法(キュアヒール)【天上の福音我がもとに参らん】

  :非表示

ギフト:魔法連鎖(マジックチェイン) 発動魔法の連射化

   :非表示

   :非表示

   :非表示

所属:サテラ・ベンツピルスの奴隷

称号:聖魔の雛 


「やはり先天性の魔法が与えられたわ。ギフトも稀少な能力ね。魔導士になるべきして生まれてきたのは間違いないわ。さすがカルディナの分霊ってところかしら。今からでも私の弟子にならない?」


「エリザベスさん、お言葉ですが・・・」


「ふふっ、言ってみただけよ。あなたたちの意見はちゃんと尊重するわ。この1000年、私たちのやってきたのは失敗の歴史そのものだもの」


「定期連絡は欠かしませんからクリシュナイ伯とサテラさんにもよろしくお伝えください」


「ええ、伝えておくわ」


あの日以来、サテラさんは僕たちの前から姿を消した。

表向きは新しい任務が与えられ聖都から出かけたと聞いているけど、

あのクリシュナイ伯の直属の配下である。

また良からぬことに巻き込まれているのではないかと不安になってきた。


いつまでもサテラさんの世話になる訳にもいかず、

ベンツピルス家の経営する門前宿の金獅子亭を引き払い、

下層の安宿、踊る子豚亭に拠点を変えていた。


聖都に滞在している間、

クリシュナイ伯から、

聖騎士団所属の「小姓」の身分を与えられた。

これでサテラさんの奴隷の身分じゃなくても、

聖都に滞在することが出来る。

とはいっても、聖騎士団から給与が出る訳ではない。

この1ヵ月間、僕は市場のアルバイトで生計を立てていた。

つまり聖騎士団の小姓とは、

定期的に近況を報告しなくてはいけない義務を負う、

首輪と鎖の役割なのである。


聖都のギルドに所属すれば、

冒険者として登録されるのだが、

登録料は銀貨5枚と、

いまの僕達にはなかなか手の届かない金額だった。

なんとか僕とアンのふたり分の登録料を確保して、

聖都ギルドの冒険者として登録することが出来た。

初心者はブロンズのメダルが渡されるのだが、

9つある冒険者ランクの最低ランクである。

ランクに応じてクエストを受ける事が出来るのだが、

報酬は当然ながらランクと仕事の内容毎に報酬が変わる。

まぁ、冒険者になるつもりは無いのだけれど、

収入を得るには、ただのアルバイトより、

冒険者としてクエストを請け負うほうが実入りが良い。

冒険者もまた成人にならないと登録が出来ないため、

アンが洗礼を受けたこの日が登録日という事になったのだ。



「アンの魔法早く使ってみたいよな」


「はい、ご主人様」


エリザベスさんには申し訳なかったけど、

アンのステータスは、僕の真実の嘘(トュルーフェイク)によって、

一部を詐称させてもらった。

魔法欄には【超長文魔法 非表示】と、

ギフトには【妖精の小箱(フェアリーボックス)】と【魔眼(マジックアイ)】なるレアスキルがあるからだ。

またアンの事をスカウトされるような事態になったらややこしくなるし、

断る事で、エリザベスさんとクリシュナイ伯を敵に回すわけにはいかない。

もちろん、僕がダイドージの弟だという事もバレる事は出来ない訳で。


勇者ダイドージが僕の兄だという事は、

アンはもちろん理解している。

というか祠堂で会っているからね。

僕たちに何が出来るのか。

そして勇者ダイドージに何が起こっているのか。

それを知るにはこの国の歴史を知ることが近道であり、

僕の本来の目的である調査報告とも合致するところだった。


兄さんの事はエミリーの計らいもあり、

本部には真実が分かるまでは秘密にすることになっている。

幸い、資材不足で本部に通信する手段がない。

アナログ的な報告の為、

定期的に開拓村まで戻らなくちゃいけない。


最初に僕たちが調査しなければいけない場所の目星は付いていた。

ウォールバルカの北門付近にある「聖者の墓所」と言われる1000年前、

魔族が突如として現れた大穴があるのだという。

現在その大穴は塞がれているのだけれど、

今もって衛士が大穴を見張っているらしい。

勇者ダイドージが初めて歴史に記された場所であり、

僕たちのスタートには最もふさわしい場所なのだろう。

かつて兄さんが辿った軌跡を追い続けてみよう。

きっと歴史がそれを教えてくれるはずだ。


「それじゃアン、出発しよう」


「はい、ご主人様」


僕とアンの二人で歩む、

調査という冒険がいま始まったのだ。


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