調査報告書① 公衆浴場でけしからん経験をしました
公衆浴場と聞いたので、
てっきり湯船につかる風呂を想像したのだけれど、
大きなサウナで汗をかいた後、
湯あみするスタイルの浴場だった。
ただし、石鹸で体を洗うことが出来たし、
アカスリのサービスを受けることもできた。
綺麗なお姉さんからアカスリをセールスされ、
ダウンサイジングされた僕の分身が、
うまく機能できるのかが不安であったが、
案内された個室では、屈強なマッチョマンが待ち構えており、
僕の不安はまったくの杞憂である事を理解することが出来た。
ここが地球だったら詐欺と訴えてやるところだ。
アバターのカラダでも結構垢ってでるものだと、
今更ながらにこのカラダの事に関心をしてしまう。
全身もみくちゃにされながらも、
作り物のカラダがバレることは無かった。
日本人の感覚だと、入浴は夕食の後とか、
寝る前に行う習慣のように思えるのだが、
公衆浴場の営業は日の出から午後3時頃まで。
朝の身支度を整えたり、夕方からのおめかしの前に利用する為の文化なのだとか。
調査員としては、この世界のそういったところに興味をすする。
それに公衆浴場を利用する人たちは、
なんとも薄い衣をまとっている事か。
特に女性の湯浴み着はエロい。
エロすぎる。
まったくもってけしからん。
浴場まではその上にコートのようなものを着ているのだけれど、
施設の中に入れば皆がそれを脱いでしまうのだが、
薄い湯浴み着は濡れていなくてもスケスケなのである。
水浴びの際、他の人のカラダは見ないことがルールだってサテラさんから聞いてはいたが、
決してのぞき見をしているのではない。
僕の視線の先に、そういう綺麗なお姉さんたちがあんなスケスケな格好で、
●●●●の●●●があんなにも開放的なことになって、
●●●●な●●●はこんなにも悩殺的なことになっているのだから、
僕としてもたまったものではない。
【マスター、病気が出てます】
おっと、文化的な調査を再開しよう。
意外だったのが、浴場にパン屋が併設されていた事だ。
午前中に営業を終えているが、聖都でも主食は麦を使ったパン類である。
ちょっと酸味のあるハードタイプのパンが主力らしく、
毎朝山のように店先に並んでいるらしい。
ハードタイプだとしても焼きたてのパンは旨いだろうな。
明日の朝、ちっょと早起きして買いに来てみよう。
それに上質な麦を発行させた柔らかいパンもあるのだとか。
主に聖域内部で消費される為のものらしいが、
この上層部でも店頭で販売はしているらしい。
主力のパンは驚くほど安いかった。
値段は30センチの円形サイズで小銅貨1枚。
小銅貨10枚で銅貨1枚となるので、
100円程度の価値観ということだろうか。
聖都に入城してから延々と続いていた麦畑。
聖都で暮らす人々に最低限の食の保証をしていることが、
公設の公共浴場に併設してある公設のパン屋の役割なのかもしれない。
燃料を共有している点では理にかなっているのだけれど、
これもやはり魔法の力を利用しているのだろうか。
そんなところまでアレコレ聞くと怪しまれるだろうから、
顔を覚えられたら少しづつ聞き出す事にしよう。
調査はまだまだ続きそうなのだが、
なんだか草原で魔獣を狩っていた時より、
ずっと心躍るような気がしてきた。
ようやく見知らぬ世界の調査が出来る。
でも、あの兄さんからの願いはどういう真意があるのだろう。
1000年、いや2000年生きているってのも不思議な話なのだが、
魔道に落ちたって割には、普通に僕と会話することが出来た。
クリシュナイ伯とエリザベスさんの手練れを前に、
僕とアンのをどこが別の場所に転移させ同じ時間に戻した。
それをあの二人は気が付くことが無かった。
あの二人はアンの事を誰かの生まれ変わりと評していたけど、
兄さんはアンの魂は誰かさんの分霊であり、
本人そのものの生まれ変わりではないと言ってた。
仮に兄さんの見立てが正しかったら、
アンにとってどのような不利益があるのか。
そこらへんは慎重に判断するしかないだろうな。
とにかく兄さんの事は倒すなんてもってのほか。
助け出すことが最優先だ。
それを達成するには、クリシュナイ伯への答えは、
どういったものにすればいいのか。
「お待たせぇ!」
ネラちゃんが手を挙げて浴場から出てきた。
彼女の湯浴み着は浴場からのレンタルだった為、
幾分布地が厚くスケスケにはなっていないけれど、
カラダのラインはよくわかってしまう。
アンに比べればとてつもない戦闘力を持ち合わせているのが分かった。
うーん、この年でこの膨らみ。
けしからん。
まったくもってけしからん。
将来が楽しみな逸材だ。
「・・・おたませしました」
うつむき加減で出て来るアン。
それにしても同世代の子に浴場の使い方を教えてもらってよかった。
サウナとか湯浴みとか、なかなか難しい手順を必要とした浴場だったので、
ひとりで放り出す訳には酷なところだったからね。
「きちも良かっただろう」
そうアンに問いかけて僕は固唾をのんだ。
これがあのアンか?
「・・・恥ずかしいからあまり見ないでください」
癖のある赤毛は変わらないのだが、
湯上りの濡れ髪が外ハネしており、
今まで感じる事のなかった大人女性が持つ色気を漂わせている。
両目の開いた碧眼の潤んだ瞳がさらに男心をくすぐった。
「あーっ、ボーズさん。私たちをイヤラシイ目で見てる。浴場でそーゆー視線はダメなんだぞぉ!」
「まてまて、そんなんじゃないよ。ネラちゃんがあまりにも可愛かったから見とれちゃったんだって。ほら宿に帰る前に、何か買い食いでもして帰ろう。なんでもご馳走してやる」
「ラッキー。当分このネタで揺すれちゃうなぁ♪」
「お手柔らかに頼むぜ・・・」
・・・まずい。
僕は絶対に幼女趣味ではないと確信しているが、
今夜下手をするとサテラさんの所有物を汚した罪により、
聖なる魔法で殺されるかもしれない。




