【校長先生と熊】
檜「急に呼び出してしまってすみませんね」
芽「一体何の用だ傍観者。私と義妹を山の中に呼び出して」
麻「お兄様、足が疲れました。やっぱりパワードスーツを貸してください」
檜「実は、この山に熊が出たようでしてね。秘密裏に無力化してほしんです」
芽「それ、校長の仕事なのか? 猟友会にでも頼め」
檜「普通はこの辺りに熊は出ないんですよ。猟友会なんてありませよ」
檜「まぁ、生徒の身を守るという意味では校長の仕事の範疇です」
麻「たしかに、この山を下りてすぐの道は通学路にもなってますしね」
芽「だからって熊殺しを頼むなよ。私はともかく、守るべき生徒のことまで巻き込んで」
檜「薬さんにお願いしたのはあくまで伝言だけです」
麻「お兄様のお手伝いがしたくて、着いてきちゃいました!!」
芽「あのなぁ……」
芽「ハァ……。熊を殺すのは簡単だが、許可とかが必要なんじゃないのか?」
檜「その必要はありません。熊を見つけたのはもう少し奥の方です。私達以外は熊の存在を知りませんから、そのまま知らぬ存ぜぬを通せばいいんです」
芽「それでいいのか教職員……。まぁ、秘密裏というならうってつけの発明品があるが……」
麻「熊にだけ有効な神経毒も用意できますよ」
檜「お2人ともとても準備がいいですね。助かります」
芽「未来が見えるのはお前だけじゃない。実は熊のことも知っていたしな。静観を貫くつもりだったが、頼まれたのなら始末してやろう。傍観者に恩を売るのは得策だろうしな」
麻「具体的にどうするんですか?」
芽「まずはお前の神経毒を森に撒け。どうせ熊にしか効かないんだろう? 弱った熊を空間転移装置で、どこかの海か火山にでも落としてやる」
檜「いえいえ、私は熊の始末ではなく、無力化を望んでいます。毒だけで済むのなら、それ以上はも止めませんよ」
芽「殺すのはかわいそうだとか言う綺麗事か?」
檜「いえ、ここで熊を殺してしまうと、未来が変わるんです。バタフライエフェクト、並行世界理論、タイムパラドクス……呼び方は何でもいいですが、とにかくそういうものです」
芽「多次元並列宇宙説……。自分が見ている未来を信用できないんだな?」
檜「そうです。私の見る未来は石ころひとつで180°変わってしまいます。だから私は全てにおいて傍観を選んだんです」
芽「はぁーあ。大人は仰々しくていやだね。麻美、神経毒の出番は無い。私の時間停止銃で熊の動きを止める。機を見て適切に処理できる準備を整えるよ」
檜「臆病な大人ですみませんね。もう少し若者には迷惑を掛けると思いますが、どうか協力をお願いしますよ」
芽「そうやって重い雰囲気を作るから出番が少ないんじゃないか?」
麻「お兄さま、そういう発言は色々な意味で危ないです」
檜「私の出番が少ないのは、私が傍観者だからです!! 重い性格とは関係ないです!!」
麻「校長先生もやめてください!!」




