【怪異シリーズ(奇妙な布編)】
椛「……鍵が閉まってる。ああ、万が校長の所に行ったからか」
椛「めんどくせぇな。ヘスティ、開けてくれないか?」
ガチャン!!
ガラガラ
椛「ありがとう。愛してるよ」
椛「さてと、何のゲームやろうかな~?」
幽「あれ、今日は岸先輩だけですか? 珍しいですね」
椛「よう、空木。時雨はどうした?」
幽「時雨くんなら水山先生に呼ばれて職員室に行きましたよ」
椛「アイツなんかしたのか?」
幽「いや、日直だっただけです」
椛「……一個聞いていいか?」
幽「僕が答えられることであればなんでもどうぞ」
椛「俺は、物体の記憶を読むが使える。俺が眼鏡を掛けている間は、どんなものであっても記憶や感情を丸裸にできるんだ」
幽「ええ、知ってますよ?」
椛「もし、俺が記憶を読めないものがあるとすれば、それは死んでるのか?」
幽「……何が言いたいんです?」
椛「そこのカーテンあるだろ。俺は今まで一度もこのカーテンの記憶を読めたことがない。最初は照れてるだけだろうと思っていたが、そうじゃない。何の感情も抱いてないんだよ」
幽「だから、死んでると? それは突飛な発想じゃありませんか?」
椛「誤魔化すなよ。お前は死者と交信をする霊能力者だ。このカーテンに憑いてる付喪神とも会話が出来るんじゃないのか?」
幽「あはは。付喪神? 面白いジョークですね」
椛「俺が冗談を言っているように思えるか?」
幽「……ずいぶんと勘が良いんですね。出来れば、教えたくなかったことなんですけど」
幽「そうです。先輩の言う通り、このカーテンはすでに死んでいます。物としての機能を失わずに、中身だけが死んでいるんです。最初の持ち主が行方不明になってからね。
椛「行方不明!?」
幽「このカーテンはただのカーテンじゃない。立派な妖怪だ。紛れもなく危険で、今すぐにでも処分するべきです。けれど、しないんでしょう?」
椛「当然だ。曰く付きと聞いて、余計にコレクションとして手元に置いておきたくなった」
幽「このカーテンは異界暖簾という妖怪です。こちらの世界とあちらの世界を布で隔てていて、場所を問わず繋げてしまう。前の持ち主もあちらの世界に行ってしまった」
椛「だが、俺たちは普通に使えているぞ?」
幽「異界暖簾は付喪神が憑くことで異界と繋がるようにしています。神が認める相手には都合のいい異界と繋げているんです」
幽「ほんらい、カーテンの先に部屋はありません。そもそも、ただの部室として与えられている部屋がそんなに広いはずがないでしょう? この先は、本来はただの壁です」
椛「付喪神か……。俺の能力はそいつらと話していると思っていたが、お前の言い分だと違うようだな」
幽「ええ、神と話せるのは霊能力者である僕だけです。岸先輩は正真正銘、物と話しています」
椛「……異界暖簾。せいぜい、神様の機嫌を損ねないようにするよ」
暖簾「…………」




