【超能力先輩と『何もしないドッキリ』】
その日、鏡柳 愛は無償にドッキリがしたい気分だった。
愛(なんでもいいからドッキリを仕掛けたい。誰かを驚かせたい)
なかなか最悪な欲求だったが、それが満たされることはない。
愛(春休みだし、誰かとの約束もない。ドッキリのアイデアもない。けど、諦めたくはない!!)
愛(一番呼びやすいのは万と椛だけど、2人とも心が読めるからなぁ)
愛(富士見にドッキリを仕掛けると怪我するし、小桜ちゃんと友田ちゃんは呼びにくい……。椿先輩は卒業旅行だって話してたし……)
愛「いいや、行き当たりばったりでやろう!!」
万と椛の不幸が決定した瞬間である。
椛の家にて……
椛「急にカードゲームやりたいなんて、どういう風の吹き回しだ?」
愛「ちょっとTikT〇kにあげようと思ってね」
万「でも、愛はヘタじゃん。そんなもん投稿して、みんな見てくれるの?」
愛「別にいいんだよ。だいたいの人が僕の顔目的で見てるんだから、カードなんて二の次だよ」
椛「お前、ぶっ飛ばすぞ!?」
愛(あ~。ドッキリしたいな~!!)
万「……!!」
椛「……!?」
愛(どんなドッキリにしようかなぁ。突然、椛のカード破ってみるとかいいかも)
椛「…………」カードをしまう
愛(万が使うカードにイチャモン言うとかいいかも)
万「…………!?」コイツマジか!?っていう顔
愛(ゲームに負けたら突然泣き出すっていうのもいいかもな~!!)
万「椛、ちょっといい?」ヒソヒソ
椛「あ、ああ……」ヒソヒソ
愛「じゃあ、ゲーム始めようか」
椛「え、あ、おう……?」
万「ふ、2人ともがんばれ~……」
愛「正々堂々、いい勝負にしようね!!」
椛「めちゃくちゃ胡散臭いな!! お前、負けてもカード破ったりするなよ……?」
15分後
椛「えと、じゃあ、コレでブロック……?」
愛「残念、コイツの効果でブロック貫通でーす!!」
椛「アー、ソウダッタナー(棒)」
愛「わーい。久しぶりに椛に勝った~。じゃあ、次万が相手ね」
万「え、俺もやるの!? 椛だけでよくない?」
愛「なんか調子いいから万にも勝ちたいんだ~」
万「別にいいけど、禁止カードとか使うわけじゃないんだから、ケチ付けないでよ?」
20分後……
愛「わ~い。万にも勝てた!!」
椛「そりゃカード破られたくないしな」ボソッ
万「泣かれたくもないしね」ボソッ
愛「ねぇ、もう一戦だけやってくれない?」
椛「……お前、何企んでるんだ?」
万「心の声、ダダ洩れだったよ。俺たちに嘘とかドッキリが通じないの分かってるよね?」
愛「知ってるよ。だから、頭の中で考えてるだけで、何もするつもりはなかったよ」
万「……は?」
椛「ん? な、何を言ってるんだ?」
愛「カード破ろうとしたって、躱されるだろうし、イチャモン言おうとしても、論破されるだろうから、最初からそんなことするつもりなかったってこと。勿論、負けても泣かないしね」
万「心を読ませた上でのドッキリってこと!?」
椛「クッソだるいこと考えたな」
愛「ふふん。ドッキリエンターテイナーは日々進化するってことさ」
万「進化しなくていいよ」
椛「クソダサい異名だな……」




