【超能力先輩とランドセル】
ち「お母さん、ちょっと出かけてくるね」
母「いいけど、どこに行くの? 楓ちゃんとお買い物?」
ち「まぁ、そんな感じ。駅前の大きいお店に行ってくる」
母「ああ、あそこね。たしか、不審者が徘徊してるって噂になってるから気を付けるのよ?」
ち「え、そうなの? 一応気を付けるよ」
ち(まぁ、いざとなったら先輩が助けてくれるだろうし、大丈夫かな)
ショッピングモールにて……
ち「春服はこの前見たからなぁ。先に靴でも見に行こうかな」
店「新学期スタート!! ランドセルの在庫は残り僅か!! お早めに~」
ち(そっか、新学期だもんね。楓も美容室行ってイメチェンするって言ってたし、私も何かしようかな)
ち「先輩って、どういうのが好きなんだろうなぁ。幼女なら何でもいいのかな?」
ち「……って、いやいや。私、幼女じゃないし!!」
ち(懐かしいなぁ。私のランドセル、おじいちゃんとおばあちゃんが買ってくれたんだっけ)
万「…………」ジー
ち(すごーく、見知った顔。けど、なんか話しかけたくない……)
ち「はぁ、先輩、こんなところで何してるんですか? 私、彼氏を通報することになりそうですかね?」
万「うぇ!? こ、小桜さん!? ど、どどど、どうしてこんなところに!?」
ち「どうして?はお互い様ですよね。何してるんですか?」
万「一応警備のアルバイト中だよ。知り合いから頼まれたんだ」
ち「私服警備員って奴ですか? 知り合いって……?」
万「サイコメーカーこと海發オーナー。ここの運営会社は海發さんらしいよ」
ち「あの人、ビックリ発明家じゃないんですか!?」
万「なんでも、海發さんの研究は金がかかるから、いろんなところで仕事してるんだって」
ち「大きいショッピングモールの運営が片手間なんですね……!?」
ち「それで、どうして先輩はランドセル売り場から離れないんですか? 仕事してくださいよ」
万「いやいや、どうせ千里眼であちこち監視してるんだから、俺の居場所はどうでもいいんだよ。警備員室には渋い感じのオジサンがいるだけだから、パトロールのフリしてここにいるってわけ」
万「それにね。ここのお客さんからいくつか通報があって、若い男がこの近くをずっとうろついているってことらしいんだ。もし疑わしい人を見かけたら、すぐに離れて俺に教えてね」
ち「先輩、その疑わしい人、心当たりあります」
万「え!? ど、どこにいる? 向こうのマネキンの前に立ってる人? それともあっちの眼鏡の人?」
ち「どっちでもないです」
ち「その不審者って、先輩のことだと思いますよ」
万「いやいやまさか。だって俺、この店で雇われてる警備員だよ? アルバイトだけど」
ち「私服警備員じゃないですか。しかも高校生がずっとランドセル売り場の前にいるって、めちゃくちゃ怪しいですよ」
万「マジ!? ……すこし身の振り方を考えようかなぁ」
ち「そうした方が良いと思います。私も先輩が捕まるところは見たくないので」
万「小桜さんが声を掛けてから、通報はめっきり減ったよ」
ち「……どうしてですか?」
万「妹のランドセルを選んでる優しいお兄ちゃんだと思われたらしい」
ち「私は!! 幼女じゃ!! 無い!!」




