【小桜ちよの昔話(超能力先輩編)】
12年前――
万「あれ、あの娘……。前に迷子になってた子だ」
ち「フンフフ~ン」
万「ねぇ、砂遊び楽しい?」
ち「うん!! いっしょにする?」
万(警戒心が無いな……。椛が言ってたのってこういうことか)
万「何作ろうとしてるの? お山?」
ち「全然違うよ~!! 砂のお城だよ。分かんない?」
万(ただの砂の塊にしか見えない。ちょっと手伝ってあげよう……)
万「ねぇ、これからのこと、他の人には内緒ね」
ち「うん?」
ザザァザザザ……
ち「わ、すごい!! あっというまにお城が出来ちゃった……」
万「もっとすごい物も作れるよ。何が好き?」
ち「うんとね……。私、お姫様になりたいの!!」
万「お姫様……?」
ち「うん。テレビに出てくるみたいな、キラキラしたお姫様になりたい!!」
万「僕がかなえてあげるよ。ドレスが良い? 馬車が良い?」
ち「う~ん。私、白馬の王子様に会ってみたいな」
万「分かった。すぐに用意するね」
万(どうしてかな。この娘の我儘は聞いてあげたくなっちゃう……)
ち「ねぇねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはどこかで会ったことある?」
万(記憶は椛が消したはず。なんで覚えてるんだろう……?)
万「会ったことないよ。今日、はじめて会った」
ち「そうなの? でも、お兄ちゃんと一緒にいると、すごく安心する」
万「僕は君の王子様だからね。どんな時も守ってあげるよ」
ち「……それ、どこかで聞いたことある。あれ……? お兄ちゃん……!?」
万(しまった。つい嬉しくなっちゃって、余計なことまで言っちゃった)
ち「ねぇ、やっぱりあったことあるでしょ? 前に助けてくれたお兄ちゃん?」
万「……そうだよ。でもごめん、忘れてもらうね」
ち「え……? やだ、やだよ。忘れたくない。ちよは、お兄ちゃんの事忘れない!!」
椛「あれほど、他人に超能力を使うなって注意したんだがな……」
ち「あ……」ガクンッ
万「ちよちゃん!?」
椛「心配するな。少し眠ってもらっただけだから」
万「椛、この娘どうするの?」
椛「また、忘れてもらう。この前の愛のこともあるから、超能力は人前で使わない方が良い」
椛「この娘を守りたいのか? そのたびに記憶を消すぞ」
万「まぁ、それでもいいかな。この娘を取り巻く運命は、不安が多すぎる」
椛(なんだかよくない傾向が見えてきてる。だったらいっそのこと……)
椛「なぁ、万。俺は大人を信用しない」
万「いまさら言われなくても知ってるよ……?」
椛「だから、お前や愛を守るのは、俺の役割だと思っている」
万「えっと急に何の話?」
椛「お前から、この娘の記憶も消す。お前から恨まれてもいい」
万「何言ってるの……。ウッ!!」バタン
椛「2人は相性が良すぎる……。せめてどっちかだけは歪んでくれれば」
椛「このままじゃ、万が危険な目に遭うかもしれない……。俺は、俺たち3人が一番大事なんだ。謝らないし理解してもらえるとも思ってないが、そういうものだと思ってくれ……」




