【小菊万の恋愛相談(校長先生編)】
檜「お悩みのようですね」
万「校長先生……」
檜「超能力者が非能力者を好きになると苦労しますね」
万「そういえば先生は、普通の人と結婚したんでしたっけ」
檜「そうです。古くからの顔なじみでしてね」
万「それは……信用できそうですね」
檜「自分の能力が怖いですか?」
万「正直、怖いです。いつか、拒絶されそうで……」
檜「あはは。私が若いころと同じ悩みを抱えていますね。気持ちはわかります」
檜「けれど、超能力が無ければ、人を信じられるようになるのでしょうか?」
万「それは……どういう意味でしょう?」
檜「小菊くんを見ていると、超能力とは関係なしに、他人に壁を作ってしまいそうですね」
檜「たとえ能力が無くても、誰かの役に立って存在意義を確かめようとしていそうです」
万「そんな仮定の話、意味がないじゃないですか」
檜「私は、ありとあらゆる世界を見通す能力者ですよ? 当然、並行世界の小菊くんも見ています。むこうでは、うわべだけの関係に疑念を抱いているようでした」
万「なんですか。俺は人を信用できない異端者って言いたいんですか?」
檜「人を信用できない? 違いますよね。君は、ただの臆病者です」
檜「拒絶、裏切り、否定、そういうものを恐れてお人よしを演じているだけでしょう?」
万「先生に何がわかるっていうんですか!! そりゃ、怖いに決まってるじゃないですか!!」
檜「私はわかりますよ。ずっと君たちを見守ってきましたから」
万「それがなんですか。見てるだけじゃ、何も解決しないでしょう?」
檜「その通りです。見ているだけでは解決しません。そして私は見ることしかできません」
檜「けれどね。結局、何かを買えることができるのは君たちだけなんですよ」
檜「私や、周りの友人じゃない。君と、君に信頼されたいと思っている女の子だけが、君を変えることができる。あの娘は、きっと決断をしているはずですよ」
万「小桜さんが……? でも、もしかしたら彼女の期待に応えられないかもしれない……!!」
万「あの娘は、とても繊細だから……。絶対に傷つけたくないんです!!」
檜「それも結局は、君が人を傷つけることを恐れているだけでしょう?」
万「……それは、先生もそうだったから、分かるんですか? それとも、俺の心も見透かしてるんですか?」
檜「前者ですよ。誰だって、人を傷つけるかもしれないと思うと足が竦むものです」
檜「けれど、その先に進んだ私の経験則からすると、案外何とかなるものですよ」
万「そうなんですね。それは……いいことを聞いた」
檜「いい加減、あの娘の優しさに甘えるのはやめなさい。2人の問題は、きちんと2人で向き合いましょう?」
万「ええ、分かってます。今、分かりました。もう、怖くないです」
万「世界一頼りになる先生がいますから」




