【サーモキネシス先輩と宝石】
鉄「おーい、超能力研究会に依頼があるんだけど」
万「久住くん。どうしたの?」
ち「えっと、たしか金属加工部部長の久住先輩でしたっけ?」
鉄「この前さ、椛が見せてくれた動画あるじゃん?」
椛「ああ、ガラス瓶から宝石みたいなやつを作る動画か。それがどうかしたのか?」
鉄「あの時作ってみたいなって話したよな。で、ちょっと本気で作ってみようと思ってさ」
ち「ガラス瓶から宝石!? なんかの法律に引っ掛からないんですか?」
鉄「いや、金属加工部らしく金属から作る。あと、売ったりしなけりゃ、合法だと思う」
万「すげぇ、不安なんだけど……」
椛「なんで急に宝石なんて?」
鉄「前にすれ違った美人の先輩に渡そうと思って。めっちゃ綺麗だったんだよ」
万「それ、愛と間違えてない?」
鉄「いや黒髪だったから鏡柳じゃない。あ、どうだろう、アイツたまに黒髪で来るよな……?」
椛「そんな不安そうな顔するなよ。まぁ、協力はしてやる」
鉄「ありがとう。とりあえず、ロールのアルミホイルを熱しながら叩いて、アクセサリーみたいにしようと思ってるんだ。だから、高温にしてほしい」
万「簡単そうに言うけど、出来ると思う?」
鉄「椛なら出来るだろ?」
椛「いやぁ。さすがの俺も超高温ってなると難しいぜ」
万「ちょっと待って、いつの間にそんなに仲良くなってたの!?」
鉄「何度か遊びに来てくれたんだよ。ただ、その度に作った物持っていくのは勘弁してほしいけど」
ち「岸先輩、そんなところにまで迷惑かけてたんですか?」
椛「いや、ここで作るものって、可愛くてきれいだからさ」
鉄「そんな気持ちで作ってるわけじゃねぇよ。ただのベアリングだぞ!?」
万「と、とりあえず椛が迷惑を掛けてるみたいでゴメンね。それより、アルミホイルの用意はしてあるの? 超高温を操れる能力者なら伝手があるから呼んでみるよ」
鉄「ほんとに!? ありがとう小菊くん」
しばらくして……
椿「で、私が呼ばれたのね」
鉄「……」
椛「どうかしたのか?」
鉄「あ、いや、何でもない。じゃあ、お願いします!!」
万「ああー。えっと、改めて、この人は暖冷 椿先輩。温度を操れる。去年の海岸清掃活動は、疲れるからってサボった人」
椿「違うわよ。タイミングよく生徒会からの依頼があったから、そっちを優先したのよ!!」
ち「依頼を引っ張ってきたの間違いじゃないですかね……?」
椿「オッホン!! そんなことより、このアルミホイルを温めればいいのよね?」
鉄「そうですね。具体的な温度とか、状態とかは適宜指示しますんで……」
万「で、アルミホイルを叩く役は、椿先輩以外の全員で交代しながらやるわけね」
ち「私の力でも大丈夫なんですかね?」
鉄「後半は、弱い力が必要になるから大丈夫」
椿「それじゃ、温度上げ始めるわよ」
カンッ
カンッ
カンカンッ!!
パチパチッ……
しばらくして……
鉄「小菊くん、この辺り、もっと歪めて!! 円形にしちゃっていいよ」
万「え、うん?」
ち(特に聞かなかったけれど、何を作ってるんだろう)
鉄「できた~。暖冷先輩、ゆっくり冷やしてもらっていいですか」
椿「分かったわ」
さらに5分後
鉄「あとは、汚れを拭いて少し磨いたら完成!!」
椿「あら、綺麗なイヤリングね。素敵だわ」
椛「ほぉ、すげぇいい出来だな」
ち「アルミホイルだけで出来てるとは思えませんね」
鉄「あ、あの!! 暖冷先輩、コレ受け取ってもらえませんか!?」
椿「はい? わ、私に?」
鉄「そうです。前にすれ違った時に一目ぼれしました」
ち「わぁ、すごい急展開」
万「なんとなく嫌な予感はしていたけれど、こういうことか……」
椛「愛のせいで分かりにくいけど、あの先輩も顔だけはいいからな」
椿「ええっと、ごめんなさいね。ちょっと、受け取れないわ」
鉄「……そうっすよね。急にごめんなさい」
椿「うん。気持ちはありがたいけれど……。私は受け取るにふさわしくないから」
鉄「急に変なこと言ってすみませんでした。3人にも迷惑かけてごめん」
ち「あ、いや、迷惑とかではないけど……」
椛「まあ、また今度遊びに来いよ」
万「そうそう。この人結構ワガママだし、もっと良い人居るって……」
椿「わがままで悪かったわね!!」




